第19回和紙文化講演会

「古代・中世の和紙文化 -造る・使う・愛でる-」

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講演1 「料紙の美とわが国の美意識」
名児耶 明(財団法人五島美術館 学芸部長)
仮名用の料紙には、色紙を使用したもの、あるいはそれらの紙に下絵を施したもの、雲母を使って文様を刷りだしたものなどがある。それらの紙を様々に加工した継紙がある。その独自の美はどこから生まれたものであるのか、それについて考えてみるものである。現在では気づかない人も多いが、日本は身近なところに自然があり、その自然の美しさに触れる機会が多いことが仮名文字を作りだし、さらに料紙も生み出したと思われるからである。

講演2 「春日懐紙・春日本万葉集 表裏一体の和歌資料」
田中 大士(文部科学省初等中等教育局 主任教科書調査官)
春日懐紙・春日本万葉集は、鎌倉時代和歌懐紙の紙背を万葉集の書写に利用したことに由来する表裏一体の和歌資料である。江戸期に入って、和歌懐紙に再び価値が見出されるようになり、裏の万葉集面は「相剥ぎ」の手法で除去された。だが、剥がされている以上万葉集面もどこかに残されている可能性がある。最近、相剥ぎによって部分的に残された万葉集の事例が初めて明らかになった。その発見の経緯と究明の過程を解説する。

講演3 「日・中・韓の料紙について」
高橋 裕次(東京国立博物館 学芸企画部 博物館情報課長)
紀元前150年頃に中国で発明された紙の製法は、朝鮮半島を経て、日本に伝わりました。奈良時代には、料紙の染色、箔散らしなど装飾技法の基礎ができあがりますが、平安時代以降も、書風や作品の内容にふさわしい優雅で繊細な紙を求めて、中国や朝鮮から多くの料紙が輸入されました。この報告では、東京国立博物館の所蔵する日・中・韓の料紙を中心に、顕微鏡、透過光などを用いて観察し、それぞれの材質や技法などから、その特徴について検討を行います。

講演4 「正倉院文書料紙について」
増田 勝彦(昭和女子大学大学院 教授)
8世紀を中心とする紙資料が一万点を越えて保存されている正倉院紙資料の内134点について調査をした結果をお話します。今次の調査では、昭和30年代の調査以来、積み重ねられて来た多くの研究や調査結果を踏まえて、透過光や斜光による紙としての出来具合の観察を中心に調査を行いました。調査記録機器の発達により前回の調査より詳細な調査が行われただけでなく、初めての繊維分析が行われた結果、外観観察での判断を覆す結果も得ています。

※やむを得ぬ事情で講演者が変更になる場合は、申し訳ありませんがご容赦ください。

日時 : 2011年12月11日(日) 10時から17時(開場:9時40分)
場所 : 昭和女子大学グリーンホール
入場料: 3,500円<機関誌『和紙文化研究』19号(1,500円)を含む>
申込 : 事前受付制。参加費の事前払い込みが必要です。郵便振替用紙に住所、氏名、電話・FAX番号、専門分野もしくは所属をご記入の上、参加費を払い込みください。
締切 : 11月25日(金)振込先口座00170-8-402506 和紙文化講演会
問合せ: 特設電話080-5860-5943(講演会前日までの平日13時から18時のみ受付)
懇親会 : 講演会終了後、隣接する建物にて懇親会を予定しております。講演会での質問時間は限られているため、演者に直接ご質問できる貴重な機会となっております。皆さまのご出席をお待ちしております。(詳細は決まり次第、当ブログにてご案内いたします。)