例会

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、1月14日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>
  
日 時:1月16日(土)13:30~17:00 
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
  13:00~13:30 フリートーク
  13:30~14:45 特別講義「中世の竹紙」 宍倉佐敏 会員 (下記参照)   
  14:45~15:00 休憩
  15:00~16:40 招聘講師発表「平安時代の装飾料紙と作り方」(下記参照)
  16:40~17:00 事務連絡・片付け・退出
  17:30~19:30 新年会 (見学者も参加できます。参加は当日受付ます)

                  
招聘講師発表                  PC・プロジェクター使用  
題 名「平安時代の装飾料紙と作り方」         藤本孝一 講師
    
平安時代から古写本には多くの装飾料紙が使われている。世界的に見ても装飾料紙本の最高作品は西本願寺本『三十六人家集』であろう。この作り方を中心に検討していきたい。また、装飾で特徴的なのは、漉返しといわれる黒い紙が再生紙でなく、装飾の一種であった。また、重ね継や破れ継の技法は、表裏を合わせた二枚重ねである。平安時代から江戸時代まで同じような作り方であったことを例示したい。
【講師プロフィール】
冷泉家時雨亭文庫調査主任 大本山随心院顧問(文化財担当)

装飾料紙
2回目 装飾料紙 4C
特別講義 「中世の竹紙」    宍倉佐敏 会員 PC・プロジェクター使用
一番唐紙、毛辺、連史紙、白紙など、歴史的に竹紙といえば中国製ということになっています。
“なぜ日本では竹紙が発展しなかったのか”誰もが疑問に感じる興味溢れる内容です。竹紙の歴史と製法をはじめ、中世日本で使われた歴史的な6種の竹紙をプロジェクターを使い繊維画像と共に解説。
下の竹繊維画像は何のものでしょう。答えは講義中に説明があります。

竹繊維1と2
1

2

小津和紙ご案内200

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、12月17日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>

月例会
日 時:12月19日(土)13:30~17:00
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
13:00~13:30 フリートーク
13:30~14:45 特別講義「トロロアオイについて」増田勝彦 副会長
14:45~15:00 休憩
15:00~16:40 招聘講師発表
「紙の時代判定―紙漉方法の変遷―  (下記参照)
16:40~17:00 事務連絡・片付け・退出

招聘講師発表
PC・プロジェクター使用
題  名
「紙の時代判定  ―紙漉方法の変遷― 」     藤本孝一 講師
古文書や古写本の時代判定をする場合、年号のないものを判定する時は、多くは、判定者の知識の形成による年表で判断してきた。それは個人の判定でしかない。客観的な方法はどのようなものかと模索してきた。現在おおよそ、江戸時代か、それ以前かに分けることが出来た。その方法は時代の漉き方の変遷により、判定できる。溜漉と流漉である。古写本を中心に検討していきたい。
 1回紙の時代判定 

【講師プロフィール】
冷泉家時雨亭文庫調査主任 大本山随心院顧問(文化財担当)

特別講義
                        PC・プロジェクター使用                             
題  名
「トロロアオイについて」              増田勝彦 副会長
 和紙の手漉き作業にはトロロアオイの根から浸出する粘液が大きな働きをしています。まず、『和紙文化辞典』久米康生著、わがみ堂、1995.10.1に当たってみると、平凡社版『寺崎日本植物図譜』の記述を典拠として、江戸期に製紙家がその知識を応用してトロロアオイを使い始めたと考えられる、と書かれていました。しかし『寺崎日本植物図譜』には渡来時期の典拠は示されていません。
 和紙に興味を持つ私にとってトロロアオイの渡来時期は重要な問題なのですが、肝心の植物事典が典拠を示していないのでは、頼りない限りです。
 そんなこともあって、実際にトロロアオイが描かれている絵画を探すことにしたところ江戸時代以前に描かれた絵画にもトロロアオイが美しく描かれていました。そのような事情をお話ししようと思います。

トロロアオイの写真
ロンドンのV&A博物館で撮影した中国清朝の磁器に描かれたトロロアオイ

 

小津和紙ご案内200

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、10月15日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>

10月例会
日 時:10月17 日(土)
13:30~17:00 会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
13:00~13:30 フリートーク
13:30~14:45 特別講義 「紺紙金泥経」 増田勝彦 副会長(下記参照)
14:45~15:00 休憩
15:00~16:30 招聘講師講演
「記者が触れた和紙」 河原理子 講師 (下記参照)
16:30~16:45 紹介「ペーパー?ペーパー!-世界は紙にも還元できる-」
奈良本真紀(大岡信ことば館学芸員)
16:45~17:00 事務連絡・片付け・退出

招聘講師講演
題  名「記者が触れた和紙」      河原理子  招聘講師
PC・プロジェクター使用
和紙って何? そんな素朴な疑問に立ち止まったのは、2年ほど前、物としての本について取材している途中のことでした。電子データは随時更新できるけれど、本は固定され「年をとる」ことができる、壊れそうな本を支えるのは日本の和紙だ……そうドイツで聞きました。和紙がいかにピュアで自然由来でサステイナブルか、熱く説かれました。しかし、帰国して和紙について調べ始めると、困惑することがたくさんありました。辞書の説明も少しずつ違います。それまで私がイメージしていたものは何だったのでしょう。私は楮の木を見たこともないじゃないか……。自分なりの手がかりを求め、信頼する人たちの助けを得て、高知県の川をたどり山を上がりました。そのとき書いた朝日新聞夕刊の連載「和紙をたどって」(2014年2月)を元に、私が感じとった和紙についてお話させていただき、和紙のことを深く考えてこられた皆様にご教示いただきたいと思います。

修復を待つ本たち
Exif_JPEG_PICTURE

【講師プロフィール】
河原 理子(かわはら・みちこ)
1961年 東京生まれ。東京大学文学部社会心理学科を卒業して、朝日新聞記者に。社会部記者が長く、AERA副編集長、文化部次長、編集委員などを経て、2014年3月から甲府総局長。
著書に『フランクル「夜と霧」への旅』(平凡社)、『戦争と検閲 石川達三を読み直す』(岩波新書)など。子どものころ両親が、和文・英文タイプを打つ印刷所のようなことをしていて、紙と活字が身近にあった。

※ なお、お仕事関係上重大事件などが起きた場合は、現場に急行しなければならず発表に間に合わない場合があり、急遽講師が変更になる場合がありますのでご了承下さい。(例会係より)

特別講義
「紺紙金泥経」 増田勝彦 副会長   PC・プロジェクター使用

10月から例会発表を担当します。いままで和紙に関する技術に注目してきた中で、思いついたタイトルを抜き出して例会発表としたいと思います。10月の例会では「紺紙金泥経」について発表いたします。

要 旨
私は、仏教寺院で使用された教典料紙を中心とする高級紙は、奈良・平安・鎌倉・室町時代を通して古法を維持して、文書用紙等の実用紙には、能率を図った結果としての流漉の技術発展あるいは工程の単純化などが見られると、主張しています。紺紙金泥経は、古法に従って製作されたはずですが、打瑩加工だけを受け継ぎ繊維調製はすでに実用紙製法に移行してしまっている例も見られます。
紺紙金泥経も和紙技術の変遷の大きな流れの中に存在している様子を発表しようと思います。

企画展紹介 「ペーパー?ペーパー!-世界は紙にも還元できる-」
大岡 信ことば館 奈良本真紀

和紙文化研究会が後援をすることになりました、本企画と大岡信ことば館の紹介を学芸員の奈良本さんがいたします。
会期:2015年11月21日(土)~2016年3月6日(日)
会場:大岡信ことば館
〒411-0033 静岡県三島市文教町1-9-11 Z会文教町ビル1,2F
TEL:055-976-9163 FAX:055-989-1360 担当:奈良本真紀  料金:未定

小津和紙ご案内200

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、9月17日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>

今月の月例会  
日 時:9月19日(土)13:30?17:00 
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
   13:00~13:30 フリートーク
   13:30~14:45 報告「飯能紙再生プロジェクトと
                       出ヶ原紙再生計画始動に当たって(仮)」
                     (下記参照)
   14:45~15:00 休憩
   15:00~16:40 会員発表 「関義城とその業績」(下記参照)  
   16:40~17:00 事務連絡・片付け・退出 

会員発表                   PC・プロジェクター使用

題  名 「関義城とその業績」             辻本直彦 会員
長く製紙業に従事し、古今東西の多種多様な紙の収集家であり、紙研究の草分けの一人でもあった関義城氏。そのコレクションは、現在では製造されていない貴重な和紙・洋紙、染紙や千代紙、ちりめん紙などの加工紙、古文書や記録、紙漉き図などの浮世絵、広告、商標や、和書・洋書、見本帳、製紙機械のカタログや図面、製紙原料まで多岐に渡ります。これらを見本帖として、多数の見本紙を添付した出版物を自費出版され、また、日本、中国の紙に関する文献を網羅した貴重な文献集も出版されています。これらの出版物を中心にお話します。
※当日の参考資料「百万塔143号 関義城コレクション展記念特別号」

①紙の博物館企画展『関義城コレクション』(平成24年9月)1 関コレ

②関義城 著作集
2 著作集

③The Handmade Papers of Japan
3 the handmade papers of Japan

④関義城肖像写真とThe Handmade Papers of Japan
4 肖像写真

⑤繊維分析写真
5 繊維分析写真

⑥『古今和紙譜』の見本紙
6 古今和紙紙譜の見本紙

⑦光明皇后が書写させた「四分律」の一部が『古紙之鑑』に貼付
7 光明皇后が書写させた「四分律」の一部が『古紙之鑑』に貼付 調整

【講師プロフィール】
公益財団法人 紙の博物館 学芸部長 1973年京都大学大学院農学研究科終了後、王子製紙株式会社(現在王子ホールディングス株式会社)入社。研究開発業務で25年間研究所勤務。米国ウィスコンシン州「紙化学研究所」、およびニューヨーク州立シラキュース大学「ESPRI研究所」へ会社派遣留学。2006年から紙の博物館勤務。2009年11月の企画展示「手漉き和紙の今」では皇后陛下の御行啓を賜り御説明係を担当。紙の博物館は企業系博物館として我国でその歴史は古く、今年で創立65周年を迎える。

 

 
報告
「飯能紙再生プロジェクトと出ヶ原紙再生計画始動に当たって」 滝澤徹也氏   
PC・プロジェクター使用
この度8月16日(日)~8月30日(日)の間、埼玉県飯能市において、かつて武蔵国有数の紙生産を誇りながら、忘れられた飯能の製紙と現在の飯能在住の紙漉きや造形作家を繋げた、展覧会「飯能の紙」を開催いたしました。この報告では展示した古文書や作品の記録から、飯能の紙の状況について、また、今後の飯能の紙についての取り組みについて紹介いたします。また西会津の地で始動する会津藩御用紙「出ヶ原紙」の再生プロジェクトについても少し紹介できればと思います。

飯能紙再生プロジェクト (飯能の紙展の報告)
飯能の村々は、江戸前期の武蔵田園簿によれば、武蔵国有数の紙産地であったとされています。また716年の高句麗人の高麗郡移住による技術の流入や774年の正倉院文書に武蔵国の紙生産の初めての記録があることと重ね合わせると、武蔵国の手漉紙の根源や、展開にとって重要な地域である可能性があります。
この展覧会では歴史的な資料展示から、前述の歴史性を裏付けたいと考え、文書を探し展示いたしました。その文書類は正倉院文書の写真を始め、延喜式の武蔵国の中、男作物としての紙の記述(享保8年公刊)、慶長2年(1597)に行われ、徳川家により行われた最初の検地の際に作られた、「武州高麗之郡下吾野郷御地詰帳」(大野家文書 飯能市郷土館所蔵)に見られる楮生産の記録など、江戸から明治にいたる紙の生産記録文書、第2次大戦中のトロロアオイ生産の記録などになります。
その他、この地域は江戸時代「うりはかえで」(瓜木)の生産地であったといわれます。「うりはかえで」は殺菌力があるとされ、幕府で使われた楊枝などの原木とも言われますが、皮は「ねり」としても使うことができるものです。これに関する文書も展示いたしました。
また、現在の飯能の紙漉きとして、かつて盛んに紙生産を行っていた記録がある飯能市原市場地区に在住する紙漉きや造形作家、浅岡優索・加茂孝子・藤浪佳子・柳井嗣雄の4人を紹介しました。そして、会期中には吾野の紙のスタートとして、飯能の楮で紙を漉く「飯能紙 再生体験ツアー」も行いました。この報告も行いたいと思います。
〈展覧会及び展示資料「紙舟役・川運上・綿紬紙売出改帳 文政7年(1824)」
「武州高麗之郡下吾野郷御地詰帳 慶長2年(1597)」は8月の和紙研HP参照〉

(仮称) 出ヶ原プロジェクト (出ヶ原紙再生計画)
かつて会津藩御用紙であり、今の福島県西会津町の出ヶ原の集落で作られていた出ヶ原紙。この度、これを調査し、出ヶ原の集落で、復元を地域住民らとともに行い、過程を現代アートとして提示、また新たな紙工房にて、地域の産物を作るプロジェクトが始動します。

① 展示1
1 展示1

② 展示2
2 展示2

③ 展示3
3 展示3

④ 飯能紙再生体験ツアー 紙漉き場全景
4 体験 紙漉場全景

⑤ 飯能紙再生体験ツアー ちりより
5 体験 ちりより

⑥ 飯能紙再生体験ツアー 叩く
6 体験 叩く

⑦ 飯能紙再生体験ツアー 紙漉
7 紙漉き

⑧ 飯能紙再生体験ツアー 板干し
8 体験 紙干し

【講師プロフィール】 紙との関わりについて
東京造形大学絵画専攻 5年間にわたる小川和紙技術継承者育成事業で小川和紙の基本的な技術を修得後、小川和紙の生産や体験学習、一方、東京都無形文化財軍道紙(東京都あきる野市)の生産に携わる。これまで、埼玉伝統工芸会館20周年にあたり、小川和紙資文書の調査及び展示、小川和紙年表の作成、図録制作。また現代美術作品として、昨年の青森市ねぶた祭りの大型ねぶた数台に使われていた紙を再生したり、インドの手漉き紙の調査とあわせ、バラナシ市を流れるガンジス川の中でインドの素材で紙を造り、岩手県東和町における取り壊しの建物に在った古文書を再生するなどいくつかの側面から活動している。

小津和紙ご案内200

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、7月16日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>

月例会
日 時:7月18日(土)13:30~17:00
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
13:00~13:30 フリートーク
13:30~14:45 特別講義(下記参照)
14:45~15:00 休憩
15:00~16:40 会員発表(下記参照)
16:40~17:00 事務連絡・片付け・退出

会員発表                  PC・プロジェクター使用
題  名
「和紙に光を…一枚の和紙から始まった灯り」      岡嶋利英 会員
昨年“和紙文化in越前「和紙の姿展」”で様々な越前和紙との組み合わせで作られた灯りの数々。それらはもともと捨てられてしまう一枚14cm×14.5cmの手漉和紙から生まれたものです。そして、それは酒の「顔」として多くの人の目に触れ、人々の生活に潤いをもたらした日本酒のラベルだったのです。
家庭、飲食店、宴会など多くの場所で飲まれた瓶を回収、「瓶はリサイクル出来るが、和紙はこのまま捨てるには…」と思い、集めていた酒屋のご主人がいました。この紙を愛おしく思い、まだ多くの可能性があると信じたご主人は一枚一枚手で丁寧に剥がし大事に保管をしていました。そうしたある日、あるデザイナーとの出会いからこのラベルがアート作品として命が吹き込まれることになりました。更にその思いに賛同した他のデザイナーやアーティスト達から次々と作品が生まれ始めました。
あふれ出る数々の作品は各地での展覧会開催へと向かいます。そして、一枚の和紙をきっかけに漉き手との交流に発展し、デザイナーやアーティスト達は和紙表現を追求することへ進んでいきました。そうした中から生み出された私のあかり作品は、きっかけとは別に非常に相性が良い“和紙とあかり”という和紙の本質的なものへと踏み込むこととなって行きました。
この作品は和紙と接着材のみで作り、空間の中心から放つ光は、漏れ出る光と拡散透過し和紙に落ちる陰影がフォルムの立体感を引き出す事となりました。そして、会場が暗めで幻想的な「和紙の姿展」で明らかになったように、あかり作品の置かれた周辺部分には他の照明器具にない光の広がりが生まれました。それは和紙に光を通すことからくる柔らかさや暖かさによるもので、和紙の種類によっての差異もあります。更にいくつかの展覧会を通して各地の和紙との以外な組合わせに発展することに…。
今回は実際の灯り作品を用い、まだ、和紙の強度や保存性、電球の形や種類など課題はありますが、設計から製作過程や、その作品の特質を説明するとともに、その創作の発端となって捨てられるはずの和紙に魅せられた作家達と和紙について考える場、産地の交流から始まった「かみのみぞ展」。一連の活動をあわせて紹介したいと思っています。

【講師プロフィール】
東京都生まれ。多摩美術大学美術学部建築科卒業後、幾つかの建築プロジェクトに参加。その後、かみのみぞ展等の和紙の展覧会の企画・制作に携わる傍らで自ら作品を制作、公募展などにも出品。

1 和紙ラベルライト
1 

2 紙のみぞ展より
2 

3 akari 01
3 

4 akari 02
4 

5 和紙の姿展1
Exif_JPEG_PICTURE

6 和紙の姿展2
Exif_JPEG_PICTURE

特別講義3「荼毘紙」(大聖武)のこと           宍倉左敏 会員 
伝聖武天皇筆とされ「大聖武」の呼称がある『賢愚経』残巻は、国宝指定されている東大寺、前田育徳会、白鶴美術館、そして東京国立博物館が蔵するものが有名です。その他、多くの断簡が残っていますが、4月の例会で特別観覧した「文彩」が記憶に新しいところですが、この紙はいったいどういう料紙なのでしょう。釈迦の骨沫や香木の粉末が漉き込まれたと言われておりますが、また、墨色濃厚で書いた文字が今でも活き活きとしており、紙質や加工はどういうものなのか、これまでの分析結果と荼毘紙の試作を通して、宍倉先生がその謎に迫ります。同時に奈良時代の代表的料紙の紹介や、試作した貴重な荼毘紙も観覧できます。

小津和紙ご案内200