月例会見学ご希望の方々へ
今月(5月)の月例会は総会となっており、会員発表がありませんので見学もありません。来月6月は通常通り見学できますので5日以降に当HPをご確認下さい。
2014年5月10日 | トピック:例会
和紙文化研究会(和紙研)の公式サイトです。
例会
今月(5月)の月例会は総会となっており、会員発表がありませんので見学もありません。来月6月は通常通り見学できますので5日以降に当HPをご確認下さい。
2014年5月10日 | トピック:例会
見学希望の方は、4月16日(水)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03−5685−7780)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたします。なお、当日見学代として2,000円ご用意下さい。
また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。 FAX 申し込み書<Wordファイルです>
4月例会
日 時:4月19日(土)13:30〜17:00 会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
13:30~14:30 原典講読 「造紙説 越前紙漉図説」 増田勝彦 会員
14:40~16:10 会員発表 「日本美術の構造と和紙の位置」(下記参照)
16:10~16:20 休憩
16:20~16:50 調査報告 「吉野商店『和紙資料館』」 (下記参照)
16:50~17:00 事務連絡・片付け・退出会員発表
会員発表
題名「日本美術の構造と和紙の位置」 朽見行雄 会員
昔はただ紙と言われていたに違いない和紙も、今は工芸品と呼ばれています。和紙は芸術品とされている日本画とは、様々な理由で切り離せない存在です。とすると和紙は芸術品として一段格が上がったのでしょうか。それとも日本画の中で、ただ使用されているだけなのでしょうか。
一般的に日本画は支持体・基底材と呼ばれる紙の上に描かれ、その後、表装された状態になって鑑賞されます。しかし私の調べが不十分なせいか、日本画の構造にまで立ち入って基底材とは何か、どこまでが基底でどこまでが画なのか等について、正面から取り組んだ研究を見つけることは出来ませんでした。また表装の意味や役割、作品との関わりをどのように考えればよいのか、和紙はそのための単なる素材・材料なのか等についても、同様でした。
どちらかと言うと、和紙は日本画の支持体・基底材あるいは表装の材料として決まっていて、作品の内容、ましてや芸術性とは関係ないものであり、その位置や役割は論ずるにも値しない事、だったかのようでもあります。
一方、ヨーロッパの美術研究者の間では、長い年月をかけて、西洋絵画作品の素材・基底材という言葉で呼ばれて来たものの役割などの研究・分析が行われています。また作品を囲む額縁等、作品の周辺にある物事に、parergon(ギリシャ語)という呼び名の概念を設定した上で、様々な研究が行われて来ました。そこには、今までの日本美術研究の世界から見ると、思いもよらない多様な考え方がある事に驚かされます。
和紙や表装は日本画が作品として存在する為の欠かせない物体、という事は誰でも知っています。しかし西洋での研究と、日本での様々な関連研究を重ね合わせてみると、和紙は支持体・表装としては勿論ですが、日本画の芸術性が形成される上でも、重要・不可欠なものと考えられます。
実は西洋絵画に比べて日本画は様々な意味で、より複雑な重層的構造を持つ芸術であり、それだけ和紙や表装の役割をより深く考える研究が必要だったのではないでしょうか。そして日本画を芸術として成立させているのは、アーチストと呼ばれる作家一人ではなく、実は和紙作りや表装をする人もまた、アーチストとして参加しているのではないか、などとは考えられないでしょうか。
今まで和紙研では紙や表装、他に墨、筆、顔料、箔など多種多様の構成要素について、様々の実証的な研究が行われました。それぞれに西洋画にはない重要な役割を担っているものです。今回は発表を「素材としての和紙」、「parergonと表装」、「和紙の力」の三つに分けて、内外の研究や論文などを比較検討しながら、日本画における和紙の位置や、表装の持つ意味、和紙や表装の新しい位置付けの可能性について考えてみたいと思います。4月19日の発表では一番目のテーマである、「素材としての和紙」を中心にする予定です。
参考映像
「松林図屏風」(左隻)国宝 長谷川等伯
東京国立博物館蔵日本人の最も好きな日本画に選ばれた事もある等伯の代表作。余白が途方もなく大きい。また表装をやり直し、画の構成まで変えていると言われている。今回の研究発表に大きな示唆を与えてくれる。
「美術書に掲載されている額縁」 ナポリ・ドゥーカ・ディ・マルティーナ美術館蔵
『イタリア人に学ぶ日本人が知らない名画の見かた』(ダニエラ・タラブラ著)から」
中世以降のヨーロッパ中の美術の名作を集めた画集に、18世紀シチリアで作られた
額縁が、一つの美術作品として紹介されている。日本画の画集で、表装がこのように扱われた事はない。
【発表会員プロフィール】
和紙文化研究会会員 1934年生。1959年NHKに入局し、報道番組の制作等に従事した。退職後の1990年にイタリアに渡り、イタリア各地の伝統工芸や工芸職人等について取材した。著書『フィレンツェの職人たち』(JTB出版・1993年、講談社文庫・2007年)、『イタリア職人の国物語』(JTB出版・1996年)など。論文「周防岩国藩に於ける和紙専売制について」(國學院大學文学部卒業論文・2012年)。
調査報告
題 名「吉野商店『和紙資料館』」 白井麻美 会員
埼玉県比企郡小川町にある吉野商店『和紙資料館』は、古典籍・古文書、工芸品など近現代までの和紙及び関連資料が展示収蔵されています。
閉館にあたり、資料を小川町に寄贈できる状態にするため、2012年3月から2013年12月にかけて目録作成のための調査を行いました。調査内容及び結果をご報告いたします。
1 外観〈資料館は緑に囲まれた静かな住宅街にあります〉
2 内観〈館内には様々な資料が数多く展示されています〉
3 作業風景〈館内の図面を作成した後、展示ケースごとの員数調査から始めました〉
4 作業風景〈全10回の調査のうち、記録用紙に書名や著者名などを記入する書籍調査が大半を占めました〉
Photo by GENJI Koikawa
2014年4月5日 | トピック:例会
見学希望の方は、3月13日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03−3759−7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたします。なお、当日見学代として2,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。
3月例会
日 時:3月15日(土)13:30〜17:00 会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
13:30~14:30 原典講読 「造紙説 越前紙漉図説」 佐藤夕紀 会員
14:40~16:10 特別講義 「私の思う和紙の魅力/楮の種類による紙質の評価」
16:10~16:20 休憩
16:20~16:50 特別発表 「韓国全州における手漉き韓紙の製造体験と保存現況について」
16:50~17:00 事務連絡・片付け・退出
特別講義
題名「私の思う和紙の魅力/楮の種類による紙質の評価」
講師:Rogier Uitenboogaart氏(ロギール アウテンボーガルト)
私が日本に来てから30年が経ちましたが、まだまだその奥深さと魅力は色褪せることがありません。自然との関わりや原料、技術など、私の考える和紙の魅力を梼原での紙作りを紹介しながら発表させて頂きます。
自分で栽培している楮(原料)は、他と比較してどのようなものだろうかという疑問から、原料と紙質の調査が始まりました。6種類の楮の葉形や樹形などを実観察、靭皮繊維を電子顕微鏡やDNA分析などによって調査・差別化し、種類別に漉いた紙を、引っ張る力・表面の強さ・紙に残っている樹脂の量・断面の顕微鏡での検査をしましたので紹介します。(その内アカソ・トラフ・若山楮・地楮で漉いた4種の紙で書、プリント、木版画、表具での比較検討が間に合えば使用感によっての違いを報告します。)サンプルを持参しますので実際に手に取って見て下さい。この調査は始めて間もなく、分からないことばかりなので、ぜひ皆様のご意見をお聞かせ頂ければと思います。
1 伝統的手漉き和紙の製法で紙作りをしています。画像では谷の水を使って晒しています。
2 多くの方のご協力を頂いて楮の研究を進めています。
3 「かみこや」は四国カルストの麓、四万十川の源流点にあります。
4 内装、インテリアの制作もおこなっています。画像は藤かずらをフレームに使った提灯型の照明です。
5 楮、三椏の他、トロロアオイも自家栽培しています。保存や抄造にも薬品は使いません。
【招聘講師プロフィール】
Rogier Uitenboogaart氏(ロギール アウテンボーガルト)
経歴:1955年オランダ・ハーグ市生まれ。1980年に訪日、日本各地の手漉き工房を巡り歩く。中でも人間国宝の岩野市兵衛工房(越前)を訪ねた時のイメージが今日の紙漉につながっている。翌年から旧伊野町で紙漉修行を始め、以来在日30年以上、伝統的工法に拘っている。1992年から四万十川の源流に位置する高地檮原町に移り、紙漉工房「てんぐの風」開設、2006年には梼原和紙&「紙漉体験民宿かみこやをオープンして現在にいたる。楮・三椏など直栽培。現高知工科大学客員教授。高知県認定「土佐の匠」手漉き和紙工芸作家。
工 房:高知県高岡郡梼原町太田戸1678
特別発表
題名「韓国全州における手漉き韓紙の製造体験と保存現況について
李 壃 氏(イ ガン) 東京藝術大学大学院博士課程修了予定(博士)
専門は文化財保存科学
韓国の全羅北道に位置する全州は、高麗時代から楮の栽培が多く、韓紙製造業が盛んになっており、いわゆる「高麗紙」の原産地である。王室の進上物として高品質の高麗紙は高く評価されてきた。全州市に隣接する完州郡内の「大勝韓紙村」では、郡の支援を受けて専門抄紙工により伝統韓紙の生産、製紙技術の保存と改良を続けており、体験 学習の場を提供している。ここで行っている韓紙の抄紙様子と全州における韓紙保存の現況について紹介する。
2014年3月4日 | トピック:例会
◆2月の例会見学について
2月の例会は下記講演会に振替えになりました。参加ご希望の方は別紙を参照下さい。
書道芸術文化講演会 (資料代:1,500円必要です)
「 墨に息づく、中世・近世文人墨客の心像 」- 特別展示:古梅園伝世秘蔵文物
なお、講演会の参加は予約制となっておりすでに締切も過ぎておりますが。定員に満たない場合は、参加ができることもありますので、書道研究所までお問合せ下さい。
〒175-8571東京都板橋区高島平1‐9‐1
大東文化大学書道研究所「書道芸術文化講演会」係 ℡03・5399・7345
2014年2月7日 | トピック:例会
見学希望の方は、1月16日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03−5685−7780)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたします。なお、当日見学代として2,000円ご用意下さい。
また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。 FAX 申し込み書<Wordファイルです>
1月例会 日 時:1月18日(土)13:30〜17:00
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室 会場は地図参照
(現在耐震工事中につきご迷惑をかけております)
13:30~14:30 原典講読 「造紙説 越前紙漉図説」
佐々木紫乃 会員
14:40 ~16:10 会員発表 下記参照
16:10~16:20 休憩
16:20~16:50 産地交流と講演会越前開催関連
DVD「紙祖神 岡太神社・大瀧神社式年大祭・御開帳」後半部分放映
16:10~17:00 事務連絡・片付け・退出
17:30〜 新年会
会員発表
題名「和紙と墨色」 PC・プロジェクター使用・実演
会員:日野楠雄(Nanyu HINO)
協力:今井香子(Kyoko IMAI)
発表は二部構成とします。
一部:「和紙と墨色 ―浸透性から見る―」をテーマに、この7、8年調査研究してきた和紙における墨色の変化を整理しながら、今回はその中から浸透性とそのスピードに注目し、4人の漉き手(谷野裕子・三宅賢三・田村 寛・ロギール アウテンボーガルト各氏)に協力していただいた紙などを使い実際の墨色の変化を見ていただきながらその変化と魅力を考察します。
二部:「和紙は書芸術に向くのか」をテーマにして、今井香子さんに協力をお願いして2人でそれぞれの表現をします。なぜ書道関係者は和紙を使わないのか、宣紙や和画仙などをどうとらえているのか、比較使用してその状況を説明します。また、和紙独自の魅力を実演の中や作品から説明し、今後の書道関係者への普及の糸口を探します。
【発表会員プロフィール】 日野楠雄(Nanyu HINO)
1961年山形県生まれ 松窗印会会員 専門は文房四宝(筆墨硯紙)・拓本研究 学生時代より書体字典の編集制作に関わり、長らく書道専門出版社で企画・編集・販売に携わり、現在(有)東京文物(日本拓本社)企画制作部勤務。和紙研では月例会・HP・産地交流担当、「和紙における墨色の変化」及び「和紙の拓本利用」をテーマとして活動。
日野作品3点 (画像をクリックすると拡大画像を表示できます)
【協力者プロフィール】 今井香子(Kyoko IMAI)
東京都生まれ 中央大学文学部(ドイツ文学専攻)卒業 玉川大学博物館学芸員課程修了・資格取得 現日会同人・理事 インテリアの書展創立委員 成和会会員(牛窪梧十に師事)照葉会会員 香書会主宰
<現在>
・日本橋小津和紙勤務 文化教室及び小津ギャラリー担当・学芸員
・小津文化教室「たのしむ現代書道」講師
・東日本のこどもたちを応援する会代表
・書文字で書籍題字、Tシャツデザイン、インテリア作品・生活雑貨等デザイン受注制作
<近年の展覧会紹介>
2010年 二人展「蘇る紙展~森羅万象~」開催 (日本橋小津ギャラリーにて)
2011年 和紙絵本展(日本橋めぐりの会主催)書文字で参加(日本橋小津ギャラリーにて)
2011年 東日本のこども達応援チャリティー色紙展 書家仲間と開催(日本橋小津ギャラリーにて)
2011年 第一回香書会展開催 (日本橋小津ギャラリーにて)
2013年 「手漉き和紙&紙の新表現」4人展開催 (川越市立美術館市民ギャラリーにて)
今井作品4点 (画像をクリックすると拡大画像を表示できます)
作品1
題: 「また桜の季節がやってきた、、、」
分野:近代詩文書
表装:アクリル額
紙 :彩色うずら紙(楮100%) 新井悦美さん2012年製造
作者コメント
淡墨で和紙に書くと、画仙紙に書いたのとまったく違った線がでるので、濃墨で書くよりもずっと効果的だと考えています。いえ、実感しています。
作品2
題 :「あなたはいつも笑顔、、、」
分野:近代詩文書
表装:隅丸木額
紙 :流線紙(糸を使った楮紙) 新井悦美さん製造
作者コメント
かなり濃墨を使いましたが、時々糸に引っ張られました。窓を避けながら書くのに苦労しましたが、面白く文字が踊っていて、優しさが、表現できたのではないかと思います。
作品3
題 :「七福神」
分野:漢字
表装:アルミ額
紙 :西ノ内紙(薄口楮紙)菊地正気氏製造
作者コメント
この滲みは宣紙に慣れた眼で見れば美しいとは言えないかもしれませんが、書家の方々には大変面白がられました。「何が美しいのか」ということを思い返させるのが和紙かもしれません。今までと違った表現にチャレンジしたい人が多くなっているように感じます。
作品4
題 :「しんと静まり返った、、、」
分野:近代詩文書
紙 :漉き返し紙 平澤桂子さん製造
2005年に古墨と都幾川村の原水を使用して書いた宣紙(紅星牌製)の反古紙と楮で作ったもので、あえてチリを残した紙です。
作者コメント
ブルーグレーの色合いで粗さを残して漉いていただいた関係で、ざるのように吸い込んで抜けてしまうところを墨の量と濃度でもたせ、雰囲気を出したいと思いました。
2014年1月7日 | トピック:例会