3月2017

◆和紙だより

[季刊 和紙だより53号 2017冬号の紹介]
目次
〈越前和紙への提言〉…… 1頁
増田勝彦さん(文化財保存・和紙研究家)和紙文化研究会副会長
「修復用和紙のグローバル化と未来」
〈ショップレポート〉…… 2頁
修復用和紙供給事情 (株)マスミ 和紙文化研究会会員
〈レポート〉…… 3頁
漉場探訪–RYOZO-柳瀬良三製紙所「三代三様で受け継ぐ紙漉き」 
〈和紙ミニコーナー〉…… 4頁
公開研究会「日本とフランスにおける製紙の技術:日本とフランスの機械抄き紙」 
〈和紙ミニコーナー〉…… 4頁
「第三十三回伝統的工芸品月間国民会議全国大会、福井大会開催」
〈情報欄〉…… 4頁
「越前和紙青年部会創立50周年事業」「和紙の文化博物館リニューアルオープン」など

2017/冬号 (福井県和紙工業協同組合HPへリンク)

http://washidayori.jimdo.com/
http://www.washi.jp/

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、3月18日(木)まで、添付「Web 申し込み書」に必要事項を記入の上、下記例会委員専用アドレスへ添付してお送り下さい。entry@washiken.sakura.ne.jpまた、HP担当の日野宛に「FAX申し込み書」(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細はこちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>

3月例会 
日 時:3月18 日(土)13:30~17:00   
 会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
  13:00~13:30 フリートーク
  13:30~14:40 第7回 宍倉ゼミ 宍倉佐敏 会員(下記参照)
  14:40~14:50 休憩 
  14:50~16:40 会員発表 碑の楠雄 会員(下記参照)
  16:40~17:00 事務連絡
  16:50~17:00 片付け・退出
 ※当日の進行状況により、スケジュールが多少前後する場合がございます。予めご了承下さい。

2017年度 第7回 宍倉ゼミ         プロジェクター・DMS使
題名:和紙の歴史・中世の紙-2
 「紙は使う人の教養・知性・経済力が判る、中国産の竹紙は?」
                女子美術大学特別招碑教授  宍倉佐敏

貴族や高級僧侶だけでなく、武士や土豪も文字を読み・書く様になると紙の消費量が増し、紙の種類も拡大し、消費層も多種多様になった。
 書写材としての紙も印刷本・書写本・文書などの分野に別れ、それぞれの特性にマッチした紙が作られた。
 印刷本の料紙は印刷と製本に耐える強度が求められ、書写本は奈良時代の大型で厚紙の巻子本から、書写に便利で仮名文字が書け、両面にも書ける薄い料紙が使われた。文書の料紙は文章の格によって紙が選ばれたので料紙は多岐にわたった。
 紙の種類や消費者が複雑に増大した中世の紙は、使う人の家柄や人格などによって料紙は選ばれたが、その時代に中国で生産され輸入された竹紙の製造法やその紙質について、主な消費者はなどを検討した。

 

会員発表                  PC・プロジェクター使用

題 名「硯の違いで墨色が変わるのか」         日野楠雄  会員

 硯は文房四宝(筆墨硯紙)の他3者と異なることが二つある。その一つは、固形墨を液体化する道具であるため、直接書画作品と関わらないということ。別な言い方をすれば、書画作品を見る時、紙と墨は目の前にあり認識するが、それがどんな筆で書かれたのかは意識することはあっても、硯はその視界や思考から抜け落ちてしまう。
 墨をするということを、「墨を液体化する」と言うと機械的な感じがするが、その作業は「病人にすらせよ」と形容されるように、力の入れ具合や動かし方など非常に微妙なものがある。また、墨をする状態を説明するのに「おろし金で大根を下ろすように」と言われるが、このイメージが“墨をする行為”を雑で荒っぽいものにしてしまい、軽い扱いをされるようになってきたのである。「おろし金」論は墨をする情景は似ているが、墨と硯の材質とするという行為の本質的とは全く異なるのである。この液体の良し悪しが書画作品の優劣すら決めてしまうこともあり、古来、硯は重要な存在なのである。
 また、硯そのものには多くの種類がある。岩石学的・産地・色彩・形状・仕上げ方法などがあり、そのなかで優劣もつけられる。経験的にはいい硯ですってできた墨は、いいことになっているのであるが。硯の違いで、できた墨に違いがあるかを科学的に証明されたことは私の知る限りないのである。今回は、3種の板状にした硯材を使い。研ぎ具合を3段階にしたもの計9種を使い、それぞれに違いがでるかを検証する。墨は3種、紙は2000年以降の宣紙2種・最近の和紙2種・10年程前の西島和画宣あたりで墨色を見る。
 なお、硯は一般には馴染みがないので、「硯の歴史・形状」、「原物鑑賞と洗硯・試墨」などを紹介した上で、その検証結果をお伝えする。そのため、原物を知る必要があり、唐硯(中国産)と和硯(国産)の硯を大小30面程、墨も10種類程用意したい。(一部画像を紹介する)
 最後に、硯は他三者にない「鑑賞」という魅力もあって、宝物としてのコレクター熱はどの時代にもあり、今日もそうである。それに適う硯があるかは見てのお楽しみ。
展示予定硯種(都合により変更する場合もある)

中国製
端渓硯(老坑・坑仔巖・麻子坑・缶羅蕉・二格青・緑端・宋坑)
歙州硯〈眉子紋・魚子紋・金星紋・水波羅紋〉
松花江緑石硯・山西陶硯・洮河緑石見本石
日本製
紫雲硯・雄勝硯・雨畑硯・竜渓硯・鳳来寺硯・高島虎斑硯・高田硯・赤間硯・紅渓硯
その他 硝子硯・木硯・陶硯、原石など

【講師プロフィール】
日野楠雄(Nanyu HINO)  1961年山形県生まれ 
専門は文房四宝・拓本研究。大東文化大学非常勤講師・松窗印会会員・日本拓本社代表。筆墨硯紙及び拓本を連携させ並行して研究・調査する立場をとっている。和紙研では「和紙における墨色の変化」「和紙の拓本利用」「和紙を使う筆」などをテーマとして活動。

1、中国 端渓硯(老坑)〈24×13cm〉Exif_JPEG_PICTURE2、中国 端渓硯(坑仔巖)〈13×11cm〉Exif_JPEG_PICTURE3、中国 端渓硯(二格青)〈15×10cm〉Exif_JPEG_PICTURE4、中国 松花江緑石硯〈15.7×13.7cm〉Exif_JPEG_PICTURE5、中国 山西陶硯〈18×9cm〉Exif_JPEG_PICTURE6、日本 雨畑硯〈17×11cm〉Exif_JPEG_PICTURE7、日本 赤間硯(紫金石)〈16.5×11cm〉Exif_JPEG_PICTURE8日本 赤間硯〈16×9.5cm〉Exif_JPEG_PICTURE9、日本 雄勝玄昌石(御留石)〈12.5×10cm〉Exif_JPEG_PICTURE10、日本 紅渓硯〈17×10.5cm〉Exif_JPEG_PICTURE11、日本 竜渓硯(鍋倉水巖)〈10.5×9cm〉Exif_JPEG_PICTURE