月例会・見学

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 12月例会 ハイブリット型 (オンライン+会場)

日 時:2024年12月21日(土) 13:30~16:30
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信

タイムスケジュール
13:30~14:30
稲葉ゼミ「日本画用紙と打紙」 稲葉政満 会長【オンライン発表】

14:40~15:40
題名「 古文書修理における近年の取り組み 漉嵌~DIIPS法」
宇都宮正紀会員(株式会社 修美 代表取締役)【オンライン発表】

15:50~16:30〈 シリーズ 原物を見る〉 第2回「コロタイプ印刷」
日野楠雄会員【会場発表】

*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表  【会場発表】

題名:「日本画用紙と打紙」
                稲葉政満 会長

越前の岩野平三郎氏が開発した雲肌麻紙は、日本画の基材となっているが、ミョウバンドウサを引いた際の保存性が問題となっていた。これに対して保存性を考慮して開発された大濱紙、雲肌麻紙の代替としての韓国製の麻紙の3種の保存性を評価した。この際に酸性劣化を防止する目的などで開発されたレジンドーサについても評価した。これらの結果について報告する。
会員の宮下真理子氏は博士研究として東京芸術大学蔵『小野雪見御幸絵巻』の模写を行ったが、その模写に適した中世の和紙の再現を試みた。そこでは打紙を行っている。その和紙抄造の方法と打紙処理による紙物性の変化について報告する。

題 名「古文書修理における近年の取り組み 漉嵌~DIIPS法」 

              宇都宮正紀 氏(株式会社 修美 代表取締役) 

紙文化財の保存修理における補紙の目的は、本紙の欠失部を補填し、1枚の紙に戻すことによって全体のバランスを合わせることや、本紙欠失部の小口保護であり、視覚的にも本紙と補修部分のバランスをとらなければならない。
これらの目的を達成するためには補修作業の正確さだけではなく、補修紙の選択が重要となる。
日本の紙の場合、近年料紙研究が飛躍的に進み、現在においては時代、産地、材質、製法、紙質などによって様々な分類が確立されている。それに沿って補修紙の研究も進み、平成以降においての紙文化財修理は、既存の紙では全く対応出来なくなった。そのため、我々修理技術者は、修理対象となる紙の分析を行い、紙の復元を試み、現在は様々な補修紙を製作するようになった。現在の修理において補修紙に求められる最大の条件のひとつは、本紙料紙オリジナルに可能な限り近づいた紙と言える。補修紙を製作する場合、その料紙がいかにして作製され、加工されたのかということを根本に考え、製作に当たることとなる。紙を前にして我々技術者が第一に行うことは、綿密な調査である。古文書の場合、関連書籍よりその古文書の情報を収集することから始め、料紙の原料(繊維種類・加工)・填料(種類・含有量)・簀目・糸目・密度や料紙への加工などを科学的に調査、分析を行い、その結果に基づき補修紙を製作する。
出来上がった補修紙を本紙欠失部分に補填し「補紙」を施すが、一つ一つの補紙を全て手作業のみで行う「手繕い」が一般的であった。1枚ものに限らず、大量文書群、大量資料群と呼ばれる紙文化財に対しても、オリジナルへの理解を深めてから作業を本格的に展開するということは言うまでもないが、上記のような補修紙製作の延長として、欠失部の補填を効果的に進捗させる流し漉きを取り入れた「漉嵌法」、さらには欠失部と同形の補修紙を製作する「DIIPS法」の実用化取り組み、現在も日々進化し続けている。
*DIIPS法等は、株)岡墨光堂の特許による

 

〈シリーズ 原物を見る〉                        
第2回 「コロタイプ印刷」
                            日野楠雄 会員

※こちらは会場およびZOOMの画面にて、実物を見ながらの発表となります。
第2回は「コロタイプ印刷」としてその印刷物を紙からの視点で見てみましょう。11月の例会では招聘講師の宮坂先生から活版印刷を中心に印刷の話しをしていただきましたので、その関連ともなりより印刷について深められると考えます。
コロタイプ印刷は明治時代、西洋から導入した当時最先端の印刷技術(平版)で、その後今日まで受継がれています。また、その技術は上海に渡り北京へ移っていきますが、現在は日中ともにわずかとなっています。この印刷の優れた所は、写真(デジカメは別)と同じように中間色を面でとらえることができ、和紙や宣紙のみならず、極薄紙などでも刷れるという特異性を持っています。 現在全盛を誇るオフセット印刷(平版)は、印刷面を拡大するとわかりますが、点の量で中間色を表しており、また宣紙や和紙類では刷ることはできないのです。
今回の展示物は私の専門から書道のテキストに使う法帖類が主となりますが、この印刷技術は戦前戦後を通して、書の世界では法帖(拓本)の印刷に大きく貢献したことになります。なお、半世紀前くらいまでは卒業アルバムなどでも使われる一般的なものにも利用されていました。 しかし、作業が手作業で1版の枚数が200~250枚、印刷サイズも限られたため、効率性からオフセットに変っていくのは自然の成り行きでした。今日では、国内で残る印刷所は2カ所のみと聞いており、ごく限られた世界となっています。
今回の展示品は冊ものが明治期~昭和期のもので日中30種程度、1枚ものとして平成期に北京の文物出版社珂羅版工場で印刷したものを2種、紙質は様々なものを用意します。また、前回のようにいくつかは繊維を分散させてデジタルマイクロスコープ(DMS)で観察した画像も用意し、会場では一つ一つカメラで追ってオンライン参加の方々にも様子をご覧に入れ、気になるものはその場でDMSの紙質チェックもしたいと考えています。
また、今回は会場で例会出席した方には、特典として平成期に北京で印刷した「権量銘(拓本)」(特漉き宣紙使用)を先着25名の方に差し上げたいと思います。手刷りですから、その加減でそれぞれ少しずつ味わいが異なります。サイズは435×325㎜ですから、折りたくない方は筒や厚紙などを用意してください。

♠ 2025年1月例会は、2025 年1 月18 日(土)です。
※予定の為、変更する場合もあります。ご了承ください。
渋谷綾子氏(東京大学史料編纂所)「古文書の科学-料紙を複眼的に分析する-(仮)」
第32 回研修旅行報告:黒谷和紙、吉野宇陀紙、美栖紙を訪ねる(2024年11月2日ー11月5日)

 

和紙研オンライン月例会の見学について

見学形態は会場型が2通り(①②)とオンライン型③となりました。お手数ですがどちらかを選びご対応のほどお願いします。
会場型:
① 一般の方々用ですが、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みとなります。参加料金1,000円で、事前入金締切りは12月16日(月)となります。当日会場(小津和紙6F)に直接お越し下さい。会場につきましては添付画像〔小津和紙こ案内〕を参照下さい。
② 会員紹介の方は会員と同伴し、当日参加費1,000円を会計担当にお支払ください。(複数の場合は会員が例会委員に前もって連絡してください)
③ オンライン型:専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みとなります。参加料金500円で、事前入金締切りは12月16日(月)となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/1b79498c49587fc049df77fba9c2d434
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。
→→→ 

申込期間:2024年12月16日(月)まで
参加人数:会場型は制限がありません。
     オンライン型は40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:会場型:例会1回あたり1,000円
オンライン型:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 12月16日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 11月例会 ハイブリット型 (オンライン+会場)

日 時:2024年11月16日(土) 13:30~16:25
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信

タイムスケジュール
13:30~14:30
題名「漉き返し紙」 増田勝彦 副会長【オンライン発表】

14:40~15:40
題名「宣教師が伝えた活版印刷――なぜ私たちは明朝体を使っているのか」
宮坂弥代生氏(東京都中央区立郷土資料館)【会場発表】

*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表  【会場発表】

題名:「漉き返し紙」
                増田勝彦 副会長

紙は、麻の再生技術の落とし子
廃品に紙という新しい生命を吹き込んだのが、製紙という技術です。中国の歴史書「後漢書巻七十八、宦者列伝蔡倫伝」に、蔡倫が樹膚、麻頭、弊布、漁網から紙を造ったと記載されているのは、疲れて廃棄される
べき状態の麻頭、弊布および漁網の麻繊維を原料にリサイクル品として貴重な紙が造られたことを物語っています。
正倉院文書の漉き返し紙
正倉院に保存されている膨大な量の文書料紙の中には、原料を惜しむばかり
に一度使った紙を繊維に戻して増量材として使っていたことが分かる文書も
あります。それも最も高貴な用途の紙にさえ、その証拠が見つかる。
平安時代から本格的な漉き返し紙
生前の手紙を漉き返させて法華経を書写供養した記事が見え、その漉き返し
紙は薄墨紙でした。
薄墨色を評価する
わざわざ薄墨色の料紙を使うのはそもそも薄墨色を積極的に評価して藍色や
紫色と同等に使用していた。
ちり紙と浅草紙
ちり紙は漉き返しではない。
浅草紙は、江戸市中で集められた反古紙を原料に浅草地域で漉かれた
表紙の芯紙
江戸時代に広く出版が行われ、表紙の芯紙に漉き返しが多用
現代の鋤き返し

 

 

題 名「宣教師が伝えた活版印刷ーなぜ私たちは明朝体を使っているのか」 

                宮坂 弥代生氏(東京都中央区立郷土資料館)

印刷物を目にしない日はありません。紙とともに、印刷は身近な情報伝達技術のひとつですが、印刷がどのような技術かはあまり知られていないように思います。コピーは印刷といえるのでしょうか。また、印刷された文字、特に紙媒体の新聞・雑誌・書籍の版面は主に明朝体で印刷されていますが、明朝体はなぜこのように標準的な書体として使われているのでしょうか。
今回の発表ではまず、印刷という技術や発展の歴史をひもとき「印刷はどのような技術か」を概説し、そのような技術(木版印刷)がなぜ中国で発明されたのか、その社会的条件についてお話しいたします。
そしてグーテンベルクに端を発する近代活版印刷術の東進―19世紀にキリスト教宣教師が伝道地に開設した印刷所(mission press)―によって東洋にもたらされた活字が、どのような変遷をへて明朝体として形を整え、私たちが使っているのかという点に焦点を当て、書体の変遷をご紹介したいと思います。

【プロフィール】
宮坂弥代生(MIYASAKA Yayoi)
中央大学総合政策研究科総合政策専攻博士課程後期課程満期退学
明治学院大学、中央大学などの非常勤講師を経て、現在東京都中央区立郷土資料館文化財調査指導員(学芸員)、明治学院大学キリスト教研究所協力研究員
専門は近代印刷史、ミッション・プレス研究
『活字印刷の文化史』(共著 2009年 勉誠出版)

予告:
11 月例会は、2024 年12月21 日(土)です。
内容は以下となります。  ※予定の為、変更する場合もあります。ご了承ください。
稲葉政満会長 稲葉ゼミ「日本画用紙(麻紙と打紙)」
宇都宮正紀会員(修美)「修美の修理作業について(仮)」

 

和紙研オンライン月例会の見学について

10月から見学も会場型が2通り(①②)とオンライン型③となりました。お手数ですがどちらかを選びご対応のほどお願いします。
会場型:
① 一般の方々用ですが、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みとなります。参加料金1,000円で、事前入金締切りは11月11日(月)となります。当日会場(小津和紙6F)に直接お越し下さい。会場につきましては添付画像〔小津和紙こ案内〕を参照下さい。
② 会員紹介の方は会員と同伴し、当日参加費1,000円を会計担当にお支払ください。(複数の場合は会員が例会委員に前もって連絡してください)
③ オンライン型:専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みとなります。参加料金500円で、事前入金締切りは11月11日(月)となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/84c9bddf665f17688c0233f350e6923b
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年11月11日(月)まで
参加人数:会場型は制限がありません。
     オンライン型は40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:会場型:例会1回あたり1,000円
オンライン型:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 11月11日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 10月例会 ハイブリット型 (オンライン+会場)

日 時:2024年10月19日(土) 13:30~16:25
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信

タイムスケジュール
13:30~15:10
「正倉院のしごと」
西川明彦氏(正倉院事務所前所長)【会場発表】

15:25~16:25
〈 シリーズ 原物を見る〉 第1回 「往来物」
日野楠雄会員【会場発表】

*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

招聘講師発表  【会場発表】

題名:「正倉院のしごと」
        西川明彦氏(正倉院事務所前所長)

正倉院宝物は「国宝」に指定されておらず、また、かねてより天皇の私有財産である「御物」と称されていたが実際には正式なものではなかった。さらに、その多くがシルクロードを通じて日本にもたらされ、タイムカプセルのように伝わったというイメージなど正倉院についての誤解を払拭したい。
『正倉院のしごと』は一義的には正倉院宝物というもの言わぬ相手のそばに寄り添って見守り、後世に伝えることである。しかし、形のある「モノ」を守るために奈良時代から続けてきた勅封や曝涼といった形のない「コト」を継承することも重要な“しごと”といえる。
それらの“しごと”の具体的な取り組みについて、歴史をふり返りながら概観し、今後の課題を抽出して、正倉院宝物に対して「してきたこと・していること・しなくてはならないこと」を述べる。

■ プロフィール
西川明彦 にしかわ あきひこ
1961年京都生まれ。
1986年 京都市立芸術大学美術学部美術科日本画専攻卒業。
1988年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。
2015年 博士(美術)京都市立芸術大学(論文博士)。
1988年 宮内庁正倉院事務所保存課勤務。整理室長、調査室長、保存科学室長、保存課長を経て2017年4月より所長就任。
2022年 定年退職後保存課調査室研究員として再任用。
2024年NHK「正倉院の扉」(Eテレ5分番組)にナビゲータとして出演。
主要著書;
『日本の美術486 正倉院宝物の装飾技法』(至文堂 2006)、『日本の美術523 正倉院の武器・
武具・馬具』(ぎょうせい 2009)、『正倉院宝物の構造と技法』(中央公論美術出版 2019)、『正倉院のしごと』(中央公論新社 2023)ほか。

関連WEB
https://shosoin.kunaicho.go.jp 宮内庁正倉院
https://shosoin.kunaicho.go.jp/bulletin/ 正倉院紀要

関連TV番組 「正倉院の扉」の第15回  NHK総合 10/19(土)午前5:10〜5:35 全国放送

以下、正倉院関係の画像については無断コピーを禁じます。

正倉全景

前室における宝物調査風景

正倉院宝物「伎楽面 酔胡王」

正倉院宝物「螺鈿紫檀五絃琵琶」

裂片の処理(塵芥整理風景)

西川氏肖像

 

〈シリーズ 原物を見る〉 

第1回 「往来物」                     日野楠雄会員

※こちらは会場およびZOOMの画面にて、実物を見ながらの発表となります。
コロナによってデジタル化が進み、時空間の広がりの中で様々な調査や研究、そして発信やコミュニケーションの形が模索され、ポストパンデミックにともない有効なものはスピーディに実行に移されています。特にリアルタイムで地球の裏側にいる者同士でも、オンライン会合など簡単に双方向で意志や画像のやり取りが可能になったことと、AIを利用した想像を越えた大量のデータの集積と分析が瞬時に行なわれるようになったことは、コロナ前には考えられないことで、一般生活にも大きく貢献しています。しかし、如何にデジタル化が進み、8Kなどの高解像度の画像を駆使しても、ものの質感や色彩、いわゆる本物の姿は原物を目の前で見たり触れたりすることには適わないところがあります。
和紙研では、コロナを抜けて以後調整を続けながら、ようやく月例会の形態もハイブリット型へ移行しており、一方で囁かれるデジタル惚けの覚醒剤として「原物を見る」という名称で、会場では原物観察という紙研究の原点を再認識する機会を徐々に作っていきたいと考えています。
その第一回として10月の月例会において、「往来物50種」の比較・実見を行ないたいと考えており、直接、見て触れることができるようにします。(ただ何かメモなど筆記する場合は鉛筆のみの使用とします。)
展示品は江戸時代のもので、寛延2年(1625)~慶応2年(1866)の発行時期がわかる130種から50種を選び、できるだけ一定時期に固まらないように、時系列で並べてみます。種類は「古状揃」「江戸往来」「商売往来」「庭訓往来」「消息往来」「百姓往来」など往来物で代表的なもの、「女大学」「女今川」など女性専用のもの、諸法度として「御成敗目録」、さらに「實語教・童子教」・「千字文」・「百人一首」などがあります。
紙質は本文が楮ですが、米粉入りのものなども確認できます。また、いくつかは分散したデジタルマイクロコープ(DMS)の繊維画像も用意し、会場では一つ一つカメラで追ってオンライン参加の方々にも様子を伝え、気になるものはその場でDMSの紙質チェックもしたいと考えています。

 

予告:
11 月例会は、2024 年11 月16 日(土)です。
内容は以下となります。  ※予定の為、変更する場合もあります。ご了承ください。
増田勝彦副会長 増田ゼミ「漉き返し」
宮坂弥代生氏「近代活版印刷の歴史とキリスト教伝道(仮)」

 

和紙研オンライン月例会の見学について

10月から見学も会場型が2通り(①②)とオンライン型③となります。お手数ですがどちらかを選びご対応のほどお願いします。
会場型:
① 一般の方々用ですが、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みとなります。参加料金1,000円で、事前入金締切りは10月14日(月)となります。当日会場(小津和紙6F)に直接お越し下さい。会場につきましては添付画像〔小津和紙こ案内〕を参照下さい。
② 会員紹介の方は会員と同伴し、当日参加費1,000円を会計担当にお支払ください。(複数の場合は会員が例会委員に前もって連絡してください)
③ オンライン型:専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みとなります。参加料金500円で、事前入金締切りは10月14日(月)となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/84c9bddf665f17688c0233f350e6923b
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年10月14日(月)まで
参加人数:会場型は10名まで。
     オンライン型は40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:会場型:例会1回あたり1,000円
オンライン型:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 10月14日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 9月例会 ハイブリット型 (オンライン+会場)

日 時:2024年9月21日(土) 13:30~16:10
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信

タイムスケジュール
13:30~14:30
「機械学習(画像認識)を使用した和本の繊維分析と時代的分類」
田中あずさ氏(ワシントン大学図書館)【会場発表】 14:40~15:40
「石州半紙を支える産地としての取り組みと将来について」
西田勝氏(西田和紙工房)【オンライン発表】
15:40~16:10
「研修旅行 古梅園を2倍楽しむ法」 日野楠雄会員【会場発表】

*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表1

題名:「 機械学習(画像認識)を使用した和本の繊維分析と時代的分類」
      田中あずさ氏(ワシントン大学図書館)

書籍の出版年を知ることは、その資料を歴史的な文脈に位置づけるうえで重要であり、歴史や自然科学など様々な分野にとって貴重なデータとなる。しかし、近代以前の日本の資料には肝心の出版年が記されていないことも多い。本プロジェクトでは、高倍率で撮影した江戸期の出版物の料紙を機械学習(画像認識)を用いて出版時期を推定する試みである。
ワシントン大学図書館で行われた2022年の調査によると、目録情報(著者、タイトル、出版社、出版地など)の追記が必要な80件の近代以前の日本語資料のうち、半数以上の48件で出版年不明が問題だった。現在、出版年を特定するためには、資料に紐づいた著者や版元が存在した年代を調べたり、内容や装丁を分析したりする方法、あるいは侵襲的な手段が取られるが、これらは専門知識や特殊な機材、技術を要し、特に日本国外の和本所蔵機関ではこうした専門性を持つケースは少ない。
本プロジェクトでは、出版年がわかっている『大名武鑑』や『伊勢暦』の料紙を高倍率で撮影し、画像認識処理することで、出版年が不明な資料の料紙の作成時期を推定する。これまでの実績として、1831年と1859年の『武鑑』に使われている料紙を正確に分類するテストに成功しており、今回の発表では、これまでの調査と観察について紹介する。

■プロフィール
田中あずさ(TANAKA Azusa)
ワシントン大学図書館(米国ワシントン州シアトル)日本研究司書。日本を研究する教職員、学生、などの情報探索の支援と日本研究資料構築(中世から現代までの主に人文・社会科学分野)を行う。
主な著作
『図書館情報学事典』(共著、丸善出版、2023年)
”Beyond the Books”( 共著、コロンビア大学出版、2022年)
『サブジェクト・ライブラリアン 海の向こうアメリカの学術図書館の仕事』(笠間書院、2017年)
“The Librarian Stereotype: Deconstructing Presentations and Perceptions of InformationWork ”(共著、大学研究図書館協会出版、2014年)

1 『伊勢暦』の撮影
2 『武鑑』の撮影
3 繊維画像

招聘講師発表2

題 名 「石州半紙を支える産地としての取り組みと将来について」
                       西田 勝氏(西田和紙工房)

島根県西部で手漉きの製法を守りながら続いている石州半紙はユネスコ無形文化遺産に登録されて今年で十年になります。
原料から地元産にこだわった石州半紙の製法を守り続けるためには、紙漉工房の力だけでは限界があり、原料を育てる農家の方々や、実際に紙を使用していただいている人々のおかげで続けられています。特に地元の伝統芸能である石見神楽には、面、衣装、装飾など様々なものに和紙が使用されており、お互いにとってなくてはならないものとなっています。
そんな石見神楽と石州半紙とのかかわりなどを中心に、石州和紙と地元の地域とがどう関わり合い、支えていただいているかを紹介したいと思います。
後半では、海外での販路拡大やインバウンドに向けた新たな取り組みや課題点など、今後に向けた取り組みなどについてお話ししたいと考えております。

■プロフィール:
西田 勝(NISHIDA Masaru) 1986年生まれ
2009年大学卒業後実家である西田和紙工房へ戻り、次期八代目として紙すきに従事。
2012年島根県内の工芸作家による異業種グループ“シマネRプロダクト発足”国内外の展示会等に出展。2019年石州半紙次世代協議会発足。

4 楮畑の西田氏
5 楮の刈り取った山
6 石州紙

 

11月の研修旅行に向けて

「研修旅行 古梅園を2倍楽しむ法」 日野楠雄会員

江戸開府前から430年をこえる歴史を持つ国内唯一の墨匠「古梅園」。現在も伝統的な原材料と方法で墨を作っている。
歴史的な多くの紙には墨が使われている。別な言い方をすれば、墨で書かれたり刷られたりしているから残され、そして保存できている。紙の保存はその墨も保存でもある。両者欠くべからざるものと言える。
和紙研の研修旅行では今回初めて墨作りを見学する。工房内100mを歩きながら材料の採取や製造(工程)を見ることができる。紙工房とは勝手が違うため、現場でより多くの知識を得たり、体験が可能になるように、古梅園見学のポイントを紹介する。

6  のれんの先は100m
7 採煙(原料の煤を採る)
8 自然乾燥(墨の乾燥)

予告:10月の例会は10月19 日(土)で内容は以下となります。
稲葉政満会長 稲葉ゼミ「日本画用紙(麻紙と打紙)」
西川明彦氏(正倉院事務所前所長)「正倉院のしごと」

 

和紙研オンライン月例会の見学について

9月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは9月16日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/217154dc61bd06f42138b20b56ef8de4
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年9月16日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 9月16日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 7月例会 ハイブリット型 (オンライン+会場)

日 時:2024年7月20日(土) 13:30~16:10
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信

タイムスケジュール

13:30~15:00 「幻の博物館の紙-日本実業史博物館旧蔵コレクション-」
青木睦会員
*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

会員発表2-2

題 名 「幻の博物館の紙-日本実業史博物館旧蔵コレクション-」
                             青木 睦 会員

日本実業史博物館は、渋沢栄一の没後、その遺徳顕彰記念事業として企画された。資料収集は、栄一の孫である渋沢敬三を中心に行われたが、第二次世界大戦により博物館設立計画は頓挫し、収集資料は当館(旧文部省史料館→国文学研究資料館)に寄贈された。国文学研究資料館収蔵の「日本実業史博物館準備室旧蔵資料」の概要について紹介し、本報告では、『幻の博物館の「紙」』展示について詳しく紹介したい。
「紙」展示の目的は、渋沢栄一が関わったさまざまな産業部門のなかでの紙・製紙産業を実業史に関する博物館として、具体的にどのように展示しようとしたのか、遺されたコレクションから検証するところにあった。さらに、かつて生活を彩った紙製品の数々を紹介し、現在失われつつある紙文化の世界を再現、また楽しく見て触れる空間を演出した。
ここでは、「日本実業史博物館」がなぜ幻の博物館なのか、について記しておきたい。渋沢栄一が1931(昭和6)年11 月11 日に死去した後、遺言によって渋沢記念財団竜門社が渋沢栄一邸の寄贈を受けた(現在の飛鳥山公園内)。約8470 坪ほどの敷地及び建物である。1937(昭和12)年5 月、(財)竜門社は、旧渋沢栄一邸の利用に関する委員会を設置し、渋沢子爵家を栄一より継承した嫡孫の渋沢敬三ら9 名に委員を委嘱する(当時、敬三は(財)竜門社の評議員)。そして、この委員会は答申を提出し、同年7 月15 日に財団の理事会・評議員
会において、「渋沢青淵翁記念実業博物館」の建設が決議される。この決議された計画案は、渋沢敬三の「一つの提案」をベースにしたものであった。
渋沢敬三による「一つの提案」で示された「近世経済史博物館」の設立が構想された。その計画は(財)竜門社の事業として動き出し、1939(昭和14)年5 月13 日、渋沢栄一生誕百年記念祭に際し、「渋沢青淵翁記念実業博物館」建設地鎮祭を挙行する。この建設は、国家総動員法に基づく戦時経済統制の強まりによる建築資材の入手困難等により、竣工には至らなかった。その後も「日本実業史博物館」の名称でもって、その設立に向け、資料の収集および展示・収蔵のための施設の設置場所の模索が続けられが、まさに「幻の博物館」となった。

 


 

■プロフィール
青木 睦〈AOKI Mutsumi〉
1981 年~2023 年3 月 国文学研究資料館(国立史料館:国文学研究資料館史料館)に勤務。現在、学習院大学大学院でアーカイブズ管理研究Ⅲ(記録アーカイブズ保存と修復)、法政大学で文書館管理研究を担当。元全国歴史資料保存利用機関連絡協議会理事。
文化財保存修復学会業績賞(2011 年)、MLA(Museum・library・archives)、企業など、民間所在アーカイブズを含む、紙資料を主としたアーカイブズの保存修復に関する調査研究を専門としてきた。アーカイブズ保存のための物理的コントロールシステムの確立を目指す。
著書
『被災資料救助から考える資料保存 東日本大震災後の釜石市での文書レスキューを中心に』(けやき出版、2013 年)
『紙と本の保存科学』(共著、岩田書院、2009 年)
“Preservation and Conservation of Japanese Archival Documents in theVatican Library”(共編著、バチカン出版局、2019 年)など。

増田副会長からの「竹紙提供」
長らく増田副会長から皆さんに分けて下さいとして預かっていた竹紙
が1反あります。会場の制限が解錠されまし
たので、6月と7月の例会会場に来ていただければ2 枚ずつお分けし
ます。色や繊維画像(DMS200x)などはHP で紹介します。
名称:唐紙
入手:数十年前
寸法:106×54 ㎝
紙厚:0,08 ㎜
繊維:竹
なお、なくなり次第終了します。

予告:
8月例会は休会です。
9月例会は2024 年9月21 日(土)です。9月の内容は以下となります。
田中あずさ氏(ワシントン大学図書館)「AI を使用した繊維分析(仮)」
 西田勝氏(西田和紙工房)「石州和紙について(仮)」

 

和紙研オンライン月例会の見学について

7月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは7月15日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/3e9c22895411e1e136bb78bf3ab1b385
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年7月15日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 6月10日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 6月例会 ハイブリット型 (オンライン+会場)

日 時:2024年6月15日(土) 13:30~16:10
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信
Zoom配信は招聘講師発表の14:30までとなります。

タイムスケジュール
13:30~14:30 「銀座和紙プロジェクトとは
―銀座の楮で書画作品を作り、銀座で発表?」
ロギール・アウテンボ―ガルト・日野楠雄会員
14:40~16:10 「近世アーカイブズの紙質調査」      青木睦会員
16:15 お知らせ 増田副会長からの「竹紙提供」下記参照
*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

会員発表1

題名:「銀座和紙プロジェクトとは―銀座の楮で書画作品を作り、銀座で発表―」

         ロギール・アウテンボ―ガルト&日野楠雄会員 合同発表

10年以上前にオランダ人であるロギールさんが東京“銀座”に「楮」を植え始めた。その頃、私もロギールさんと知り合い、その話を聞き私では考えもしない面白いことをやっていると心が沸き立つのを覚えた。最近、その活動のきっかけに和紙原料の減産を危惧してのことがあったことを知り、あらためて考えさせられている。
色々な方々に協力いただき、ビルの屋上やベランダで少しずつ増えて行き、この冬、高知梼原町にあるロギールさんの工房で104×69㎝の楮100%の紙を100枚漉き上げることができた。この紙が“銀座和紙”である。
この紙を調査すると、一般の楮紙に比べてニジミやカスレなど墨色が特徴的で未知なる魅力を持っていることがわかり、今年の夏に国内の書家と画家(水墨)30人程に協力をいただき、この紙の芸術的な魅力を様々な書画表現で生み出そうとする「銀座和紙書画展」を開催することにした。
国内で最も地価の高い銀座で和紙原料の楮を植えて育てることや、それを紙にして銀座で発表・発信することには、そもそも、楮そのもの・植物を育てるという農業のあり方・日本で一番高い楮原料で紙を漉くこと・未知なる紙と向き合ってその魅力を書画で表現する・その作品を銀座で展示するなど、SDGの意味も重なって様々な要素が見えてきた。
さらに言えば、原料生産~紙利用の完結まで一直線上にあって、言うなれば「紙の一生」を通して見ることができ、それぞれに関わる人間たちが自分の守備範囲以外の部分を垣間みることになる。それは例えば、一般的に書画家は使っている紙の原料がどこで生まれているかなど一々考えない。自分の書画表現に向く紙であればいいのであるが、今回は「銀座」ということを意識せずにはいれない。また、楮を育てる人たちは、この植物の皮が芸術作品に変ることを知ることになり、その作品を見る観覧者は銀座で生まれ育った紙原料とそれを使った書画表現を見て感じることになる。
そして、この楮という植物は雑種だが、日本の気候風土が作り出したほとんど日本オリジナルの植物であり、その紙(楮紙)は聖徳太子の時代から今日まで日本の衣・住・記録・伝達・芸術を支えてきた「日本の紙」であり、まさに「日本」そのものとも言える。この日本性を知り、誰もが知る「銀座」で農業が行なわれ、書画家が芸術で銀座から国内外に発信するということの意味を考えていくと、作り手と使い手、そしてそれを取り巻く人々が紙というものへの認識や価値を問い直すいい機会にもなると考えている。ペーパーレスという時代にあって、敢えて胸を張って逆行するこの取組みは、楮紙産地と消費地の連携の側面もあって、成功したら各産地のいいモデルケースとなるのではないかとも考えている。
このように様々な意味を含んだ内容であり、それらを多くの方々に伝えるために、展覧会に先立って「なぜいま日本の紙か ―銀座和紙の誕生と書画表現―」というテーマでシンポジウムの開催も下記のように企画している。
このシンポジウムでは、基調講演とパネルデスカッションの間に、銀座和紙や他の楮紙・宣紙などを使い、紙によってどのように水墨表現が変化するのか、実際に筆をとって比較することも行ない、これによって基調講演で理論的な理解を得て、その比較試筆によって眼で確認できることになる。そして、理論と実践を踏まえて、パネルデスカッションで楮と書画表現や銀座からの発信について深めていきたいと考えている。
そのひと月後に予定している「銀座和紙書画展」において、書画家による様々な作品を観賞し思いを巡らすことで、作り手、使い手、そして紙を取巻く社会の方々が、銀座和紙の魅力や紙の生命力を感じ取れる機会になることを願っている。
これらのことを、画像を交え、オランダ滞在中(早朝)のロギールさんと、会場の日野がオンラインで結んで合同発表します。

 

銀座和紙シンポジウム
テーマ:「なぜいま日本の紙か―銀座和紙の誕生と書画表現―」
会 場:いきいきプラザ一番町 B1カスケードホール
〒102-0082 東京都千代田区一番町12 電話 03(3265)6311
日 時:2024年(R6)7月13(土)
13:00(12:30開場)~17:00(17:30閉場)
展覧会  銀座和紙書画展
テーマ:「なぜいま日本の紙か ―銀座和紙が生み出す書画表現―」
会 期:2024年8月12(月・休)~17(土)
10:00~17:00(最終日は~16:00)
会 場:東京画廊 〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7階
主 催:銀座和紙プロジェクト

特設HP https://ginzawashi.my.canva.site/

1 銀座2丁目 銀座フロッサム屋上の繁茂する楮
2 銀座8丁目のビルのベランダ
3 銀座フロッサム屋上で ①大学生が刈取り
4 銀座フロッサム屋上で ②刈取り発送準備
5 ロキールさんが楮を蒸す風景
6 紙を漉く

 

会員発表2

題 名 「近世アーカイブズの紙質調査」
                             青木 睦 会員

本報告では、近世史料を対象とした紙質調査方法とその成果の現状を概観し、近世期の料紙の使用事例を文献から抽出し、その紙名や形状・紙利用基準に留意しつつ、組織体の料紙使用の実態について紹介する。
近世以降の史料は、残存する量が彪大なこともあって、古代・中世史料に比べて史料群中の一点ごとの紙質調査が行われることは稀であったが、近年、前職の国文学研究資料館において、収蔵アーカイブズの紙質調査を目的とした利用が増えている。これからの紙を非破壊で分析診断するための技術について、分光分析やX 線分析などの先進的な技術を探るための方向性について提案したい。
まとめとして、紙質調査の目的の第一である、史料に用いられた料紙に関して、その原料、抄紙・色・用途・産地等によりさまざまな名称は何であるのか、また、それらの紙は、文書の発給者や使用者の身分や格式によってどのような使い分けがなされているかを調査し、史料の発生と機能を解明する重要な手掛かりとするために調査されてきたか。第二に、紙の材質は何か、どのように劣化・損傷しているのか、どのくらい劣化・損傷がひどいのか、などの科学的な調査・分析により、劣化損傷の原因を究明してアーカイブズの保存管理・修復・強化処置に役立てようとすべきか、現状と課題を整理しておきたい。
資料:「近世アーカイブズの紙質調査と組織体の料紙」(『アーカイブズの構造認識と編成記述』国文学研究資
料館編、思文閣出版 、2014 年)

■プロフィール
青木 睦〈AOKI Mutsumi〉
1981 年~2023 年3 月 国文学研究資料館(国立史料館:国文学研究資料館史料館)に勤務。現在、学習院大学大学院でアーカイブズ管理研究Ⅲ(記録アーカイブズ保存と修復)、法政大学で文書館管理研究を担当。元全国歴史資料保存利用機関連絡協議会理事。
文化財保存修復学会業績賞(2011 年)、MLA(Museum・library・archives)、企業など、民間所在アーカイブズを含む、紙資料を主としたアーカイブズの保存修復に関する調査研究を専門としてきた。アーカイブズ保存のための物理的コントロールシステムの確立を目指す。
著書
『被災資料救助から考える資料保存 東日本大震災後の釜石市での文書レスキューを中心に』(けやき出版、2013 年)
『紙と本の保存科学』(共著、岩田書院、2009 年)
“Preservation and Conservation of Japanese Archival Documents in theVatican Library”(共編著、バチカン出版局、2019 年)など。

 

増田副会長からの「竹紙提供」
長らく増田副会長から皆さんに分けて下さいとして預かっていた竹紙
が1反あります。会場の制限が解錠されまし
たので、6月と7月の例会会場に来ていただければ2 枚ずつお分けし
ます。色や繊維画像(DMS200x)などはHP で紹介します。
名称:唐紙
入手:数十年前
寸法:106×54 ㎝
紙厚:0,08 ㎜
繊維:竹
なお、なくなり次第終了します。

1 原物(1反)
2 DMS センイ画像 100倍
3 DMS センイ画像 200倍

4 DMS 紙面画像 100倍
5 DMS 紙面画像 200倍

予告:7月の例会は7月20 日(土)で内容は以下となります。
宍倉佐敏会員『宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物:第8回 木綿と木綿紙の研究」』
青木睦会員(学習院大学大学院非常勤講師、元国文学研究資料館准教授)「幻の博物館の紙?日本実業史博物館旧蔵コレクションー」

 

和紙研オンライン月例会の見学について

6月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは6月10日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/c357a8becaf468da6546aa97d94105d0

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年6月10日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 6月10日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 5月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年5月18日(土) 13:30~15:40
会 場:小津和紙6FとZoomによるオンライン配信
    Zoom配信は招聘講師発表の14:30までとなります。

タイムスケジュール
13:30~14:30「風船爆弾と偽札作り」
山田 朗 氏(明治大学平和教育登戸研究所資料館館長)
14:40~15:40 第35回定期総会

*13:00からZoomの会議室への接続ができますが。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表
題 名「風船爆弾と偽札作り」  
           山田 朗 氏(明治大学平和教育登戸研究所資料館館長)

陸軍の秘密戦兵器・資材の開発・生産のための総合的な機関として設立された登戸研究所(正式名称:第九陸軍技術研究所)では、アジア太平洋戦争中には、和紙(手漉き)を使った風船爆弾と洋紙(機械漉き)を使った偽札(主に中国の蒋介石政権の紙幣)の製造に当たっていました。今回の発表では、「紙と戦争」「紙産業の戦争動員」に焦点をあて、陸軍の気球製造の歴史、風船爆弾製造のプロセス、実際に行なわれたアメリカに対する風船爆弾作戦の本来の狙いと現実、極めて大規模に実施された中国に対する偽札散布作戦の目的(経済謀略)と顛末、偽札作戦がもたらしたもの、紙製謀略資材(偽パスポートなど)の製造が大戦後にアメリカ軍の手によって継続されたことなどについて登戸研究所資料館での調査・研究の最新の成果を解
説します。

風船爆弾模型

■プロフィール
山田 朗〈YAMADA Akira〉
 1956 年大阪府生まれ。明治大学平和教育登戸研究所資料館長(文学部教授)。専門は日本近現代の軍事史・天皇制研究。主な著作に『軍備拡張の近代史』(吉川弘文館)、『大元帥 昭和天皇』(ちくま学芸文庫)、『帝銀事件と日本の秘密戦』(新日本出版社)、『軍事力で平和は守れるのか』(岩波書店:共著)などがある。

予告:6月の例会は6 月15 日(土)で内容は以下となります。
ロギール・アウテンボーガルトと日野楠雄会員「銀座和紙プロジェクトとその活動」(仮)
青木睦会員(元国文学研究資料館准教授)「近世アーカイブズの紙質調査」

和紙研オンライン月例会の見学について

5月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは5月13日となりますのでご注意ください。
なお、今回は定時総会

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://us02web.zoom.us/j/83309260494?pwd=dUZGR0VwMzZ4M2p6dVl0ZEFSaDFuUT09

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年5月13日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 5月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 4月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年4月20日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30 会場発表
宍倉ゼミ「和紙と洋紙はどこが違うのか」宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 オンライン発表
「本物の藁半紙を探してー明治時代の新しい和紙ー」
大林 賢太郎 会員 (京都芸術大学)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ
「和紙と洋紙はどこが違うか」
宍倉佐敏 会員

和紙に関係する人々をはじめ和紙販売店、和紙生産者、和紙の文献などの殆どが、楮や三椏・雁皮など長い繊維の紙でも、中国でつくられる竹や稲ワラの短い繊維の手漉き紙でも機械でつくられた和紙風の紙も全てを和紙の範疇に入れていて解り難い。
亜麻やコットンの手漉き紙も木材パルプやワラパルプの機械すき高級印刷紙も新聞紙もトイレットペーパーもプリンター用紙も全て洋紙と称して解り難い。
私は二品の違いを考えた結果、次のような結論を出し多くの人に納得して頂いた。
和紙は植物繊維の持っている特性をそのまま紙にした「自然紙」で、洋紙は植物繊維を金属製の道具を動力で動かし、繊維を膨潤・フィブリル化・切断し、場合により鉱物を混ぜ、澱粉や松脂を加えた「人工紙」
とした。
今セミナーは人工紙と自然紙の違いを詳しく話します。

会員発表
題 名「本物の藁半紙を探してー明治時代の新しい和紙ー」
大林賢太郎 会員

「わら半紙」は私たち世代にとっては学校のプリントのイメージです。しかし、紙質検査をしてみると藁は全く入っていませんでした。その紙の本当の名称は「ざら紙」という下級印刷紙です。
稲藁を原料とする紙は中国の宣紙が有名です。日本では文献上は「藁」を冠した紙名が稀に出てきます
が実物は見つかってはいません。化学薬品で稲藁をパルプ化できるようになったのは19世紀です。洋紙における稲藁繊維の利用は、明治11年に大蔵省印刷局抄紙部がパルプ化実験に成功し翌年抄紙にも成功しました。民間でも日本の製紙王と呼ばれた大川平三郎が米国で見た麦藁の紙にヒントを得て明治16年に実用化しました。これが「わら半紙」の誤解の出発点でした。
そもそも、「半紙」は和紙の大きさを示す名前なので、本来、和紙だったはずです。『土佐紙業史』にその発明についての記述があり、さらにその「藁半紙」の実物を見つけることができました。

【プロフィール】
大林賢太郎 Ohbayashi Kentaro
京都芸術大学歴史遺産学科教授
関西大学文学部史学地理学科卒
1984年~(株)岡墨光堂、(株)文化財保存にて装潢文化財修理に携わり、2006年~京都芸術大学に勤務。2001年~NPO文化財保存支援機構副理事長兼関西支部長
研究分野:装潢文化財、歴史資料(写真、近現代紙資料)の保存修復
著書:『装潢文化財の保存修理 ー東洋絵画・書跡修理の現在ー』,国宝修理装潢師連盟,2015 年、『写真保存の実務』,岩田書院、2010 年等

予告:♠2024 年5月例会は、2024 年5月18 日(土)です。
5 月の前半は山田朗氏(明治大学平和教育登戸研究所資料館長)
『風船爆弾と贋札作り(仮)』
後半は、和紙文化研究会 第35 期・定期総会です。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

4月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは4月15日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/b07679ebb29dc8e088af1b292de86cc3
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年4月15日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 4月15日締切り
振込口座:郵便振替00140‐0‐568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 3月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年3月16日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30 会場発表
宍倉ゼミ「紫式部の使った紙と現代の紙」宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 オンライン発表
増田ゼミ「円山応挙が使った紙」増田勝彦 副会長

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

宍倉ゼミ
紫式部の使った紙と現代の紙           
                            宍倉佐敏 会員

平安時代中期、宮廷で活躍した紫式部。世界最古の長編小説とされる「源氏物語」を書いた作家で2024年のNHK大河ドラマ「光の君へ」でも描かれる注目の女性です。大陸から伝わった紙漉き技術が平安時代にかけてどのように発展していったのか、教養の高い女性である紫式部はどんな紙を使っていたのか、「源氏物語」の中にでてくる「うるわしき紙屋紙、陸奥紙などのふくだめるに…」などの記述から想像する平安時代の紙や紫式部の好んだ紙、当時の紙づくりとも関わりの深い藤原氏と紙など、紙の視点から平安時代に思いを馳せてみませんか。

 

 

増田ゼミ
「円山応挙が使った紙」
                           増田勝彦 副会長

以前の例会で、尾形光琳の紅白梅図屏風の料紙を、状況証拠からでも、ある程度紙の種類を推定できることを話したのですが、今回の話も、有名な国宝円山応挙筆雪松津屏風を直接現物調査をしないまま、その料紙について推定しようとする内容です。
円山応挙作、国宝「雪松図屏風」は、塗り残した紙の地肌で雪の白さを表現していて、さらにその白さが現在まで鮮やかに残っています。また、図版で見る限り、画面に紙の継ぎ手が見えなかった。どうも屏風一扇が一枚の紙に描かれているらしい。応挙は真っ白で大型の紙を選んで雪松図を描いたのでしょう。
大体、絵を描く人は、大型で真っ白なキャンバスを好むのではないでしょうか。
江戸時代の紙の中で、白さの際立っていたのが中国製の宣紙だと思うのです。ところが、中国で買い求めた宣紙についての本に、白さを自慢している文章が見当たりませんでした。紙の性能調査データにも白色度を測定したデータは1カ所だけでした。中国の宣紙工房は、高い白色度が誇って良い性能であることに、まだ気がついていないのかも知れません。
17世紀の長谷川等伯筆松林図の、料紙の継ぎ手から判断すると、大きな中国紙ではなく国産紙を使った様に見えます。念のため国産紙の寸法を「新選紙鑑(享保13年(1728)」にあたってみました。摂津名塩村大間似合が大きな料紙になりますが、巾は1メートルあるものの縦がせいぜい40センチ止まりなのです。
ただ、19世紀の応挙の雪松図は継ぎ手が見えない。 江戸時代に中国からの輸入が盛んになって大型紙の使用も普通のこととなったのはいつ頃からだったのでしょう。
ずいぶん大胆な判断を重ねていますが、和紙文化研究会の実地研修などで紙漉き産地を訪ねてみると、実際に紙を漉く人の手元の動きも見ることができます。紙漉きのそのような動作が、できあがった紙の大きさにも関係あるんだと実感するのです。ですから紙の大きさ調べは、絵描きの問題だけでなく料紙を造っている工房の問題へも話題を広げることになります。
さらに、雪松図の白さについては、ドウサ焼けの問題も考えなくてはなりません。

予告:2024 年4月例会は、2024 年4月20 日(土)です。
宍倉ゼミ「和紙と洋紙はどこが違うのか」
大林賢太郎会員「本物の藁半紙を探して―明治時代の新しい和紙-」

 

 

和紙研オンライン月例会の見学について

3月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは3月11日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/45e6e656c71eb95c895b55ad7d207870

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年3月11日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 3月11日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 2月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年2月17日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール

13:30~14:30 「宇陀紙の歴史と製法」福西正行氏(福西和紙工房)

14:40?15:40
「近現代における裏打紙としての宇陀紙」中野慎之氏(文化庁文化財第一課)

ライブ配信:上記時間の合間で、石川県文化財保存修復工房での寒糊炊きをライブ配信する予定です。

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表1
宇陀紙の歴史と製法           
                       福西和紙工房 福西正行氏

山地水明のこの地で清らかな軟水の山水を使って古くから伝統的な技術・技法を守り続けた宇陀紙を作っている。紙漉きには、48工程もの作業があるがその殆どは手作業で手が抜けない。福西家では、代々和紙を作るなら原料の楮作りからの言葉を守り楮の自家栽培を続けている。草刈りに芽かき、肥料をやったり鹿除けの保護柵を作る等、手間暇がかかるが自家栽培した楮を使うことで吉野の和紙と胸を張って言える。また、黒皮をさくり白楮にした楮を厳冬期の吉野川の清流で晒すと楮も締まるし気持ちもしまる。父の言葉に、伝統の技は、つづけて、つたえて、つなげなあきません。手漉き和紙の技が他の伝統を支え他の伝統の技が手漉き和紙を支えてます。一つの技が消えると複数の技が消える。だから途切れさせたらあかん。次の世代の為にも続けないけません。しかし、かたくなに昔ながらのやり方で伝統を守るのは容易なことではないとあります。
父より受け継いだ木灰煮による煮熟。古来から続けられてきた木の灰(樫・櫟)の木灰汁で時間をかけてじっくり楮を煮る。失敗も繰り返したが今では安定して上手く煮えるようになった。手打ち(紙素打ち)作業は、機械なら10分で終わる作業を1日漉く紙素を2時間手打ちする。この作業をすることで粘りのある強靭な紙に仕上がる。天日干し作業は、江戸時代より大切に使い続けられている松板に1枚ずつ天日干しをする。太陽の自然の光でゆっくりと乾燥した紙はくるいが生じにくいとされている。このように古い伝統に裏付けられた吉野の宇陀紙は紙に粘りがあるのが特徴で柔らかくも強靭なので国内外の国宝級の掛け軸の総裏紙に使用される。父が昭和55年から初めた町内の小学校の卒業証書作りを受け継ぎ14年前からは幼稚園3年前からは中学校の卒業証書も製作するようになり、また県内県外へ出向いて卒業証書や二分の一成人式用の証書作りの指導に行っている。昨年度は、奈良県で開催された全国豊かな海づくり大会の証書を製作した。子供達に和紙作りを実際に体験してもらったり遠足などで見学に来てもらうことで伝統産業や郷土に対する興味や理解を深めることに努めている。現在国内の国立博物館内で修復している国宝修理装?師連盟に木灰煮宇陀紙を供給させてもらうことで、木灰煮宇陀紙を使う側と作る側が意見を直接交換したり、研修に参加させて頂いたり、家まで見学に来て下さったりといろんな専門分野の方からの話を聞くことで、古い伝統の裏付けを確信することができ、製作意欲もわいてきている。また、ボストン美術館や韓国の三星美術館にも木灰煮宇陀紙を使って頂いているのを始め、ルーブル美術館、大英博物館より紙の修復家がほぼ毎年見学に来られていて、2012年にはルーブル美術館の修復作業現場と大英博物館の平山スタジオに見学に行かせて頂き貴重な体験をすることができた。
吉野で採れる白土を紙に漉きこむことで防虫効果があり、また紙が呼吸して自ら湿度を調節するといわれている。紙漉きは熟練の技術が必要であるし、紙漉きに使う簾も竹素材ならいくらでも出回っているが、宇陀紙は白土を入れて漉くので竹簾では滑ってしまうので、細い萱を編んだ萱簾が必要である。萱簾を作る職人がいないので、道具を新調するのも苦労している。しかしながら、全国手漉和紙用具製作技術保存会の皆さまの熱心な取り組みにより意見交換させて頂き萱簀の確保及び後継者も育てて頂き先行きが明るくなりました。私たち、紙漉き職人も良い道具がないと良い紙が漉く事が出来ません。今後とも、漉き手と用具の方々の連携が必要不可欠な事だと思います。

【プロフィール】
福西正行〈Masayuki FUKUNISHI〉
福西和紙本舗 6代目。昭和59年大学卒業後、家業の紙仕事に従事。国内外の美術館、博物館に修復用の和紙を納めるほか、お寺やショップの壁紙の作成、奈良県内の伝統工芸の授業で紙漉体験教室の開催、卒業証書・表彰状の作成などを行う。
平成27年 奈良県伝統工芸士、表具用宇陀紙選定保存技術保持者に認定。

1 漉く 簀 桁
2 漉く 汲上げ
3 漉く 揺すり
4 紙床へ
5 板貼り(天日干へ)

招聘講師発表2
「近現代における裏打紙としての宇陀紙」
                    文化庁文化財第一課 中野慎之氏

東洋の書画の存立基盤ともいえる表装の文化にとって、とりわけ裏打の技術は大きな意味を持ちます。その一方で、裏打や裏打紙の過去の実態については未解明な点が多いように思われます。裏打紙として重視されている宇陀紙や美栖紙の技術は、選定保存技術の制度が発足してまもなく選定・認定されますが、当時にはすでに「整然とした表具の方法がいつ確立したかがはっきりしない」と言われていました。本発表では、宇陀紙を中心に、裏打がかつてどのように行われていたのか、近現代における技術と材料の展開をたどってみたいと思います。(『書物学』23号〔勉誠出版、2023〕所収の拙稿をあわせてご参照ください)

【プロフィール】
中野慎之〈Noriyuki NAKANO〉文化庁文化財調査官(絵画部門)。京都府教育庁文化財保護課(絵画・彫刻・工芸品担当)を経て現職。
編 著
『日本の表装』(共著、京都大学総合博物館・京都文化博物館、2016年)
『保存と修理の文化史』(共著 京都文化博物館 2018年)
『古社寺保存法の時代』(共著 同 2019年)
『道具と材料の職人譜』(共著 同 2019年)
『日本の表装と修理』(共編 勉誠出版 2020年)
『近代京都日本画史』(共著 求龍堂 2020年)

予告:2024 年3月例会は、2024 年3月16 日(土)です。
宍倉ゼミ「紫式部の使った紙と現代の紙」
増田ゼミ「円山応挙が使った紙」 

 

和紙研オンライン月例会の見学について

2月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは1月12日となりますのでご注意ください。

申込方法:

1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。  https://sgfm.jp/f/1aaa7702ba73161d725bae7476b4a195

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

→→→ 

申込期間:2024年1月12日(月)まで

参加人数:40名まで(申込み順です)

見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の

明記がない場合は、受付・配信はできません。

見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)

見学料金:例会1回あたり500円

料金支払:事前振込制 1月12日締切り

振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 1月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年1月20日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30 宍倉ゼミ「お札のひみつ」        宍倉佐敏 会員

14:40~15:40 会員発表 「原料及び製造工程の違いが楮紙の特性に及ぼす影響について」                    有吉正明 氏(高知県立産業技術センター)

 

ライブ配信:上記時間の合間で、石川県文化財保存修復工房での寒糊炊きをライブ配信する予定です。

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

宍倉ゼミ「お札のひみつ」  
宍倉佐敏 会員

日本のお札の原料にも和紙の原料のひとつ三椏(みつまた)が用いられています。
「 お札の始まりっていつから?」
「 昔はどんなお札だったんだろう?」  などなど
江戸時代の藩札から現代のお札まで日本のお札の歴史や紙幣に隠されているたくさんの技術などのヒミツをお話します。

 

 

招聘講師発表                        
「原料及び製造工程の違いが楮紙の特性に及ぼす影響について  
                高知県立産業技術センター 有吉正明 氏

生活様式の変化により和紙の需要は減少し、現在は日常的な和紙需要は皆無となっています。そのため、和紙の需要を増やすためには、和紙がどこで使用されており、使用者が求めるニーズを把握し、そのニーズに合わせて製品開発をしていくことが不可欠と考えられます。 そのためには、和紙の原料や製造方法が最終的に製造される和紙の特性にどのような影響を及ぼすかを製造者が把握し、用途に合った特性を持つ紙を製造することが重要です。また、和紙製造者が製造工程の意味を説明できるようになることは、より多くの方に和紙に対して興味を持っていただくきっかけになると思われます。
本発表では、紙の特性に影響を及ぼすと考えられる製造工程のうち、原料の種類(土佐楮、那須楮)、加工方法(白皮、六分)、煮熟剤(炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム)の違いや、楮紙に含まれる微細組織が楮紙の物性に及ぼす影響について分析した結果について報告します。

 

プロフィール

有吉 正明(Masaaki ARIYOSHI)

2001年 信州大学大学院工学系研究科機能高分子学専攻修了

2003年 高知県庁入庁

現在、高知県立紙産業技術センター勤務 主任研究員 主な業務として、高知県内の製紙会社や手漉き和紙業者に対する技術支援、紙の分析、相談業務、研修等の人材育業務を実施。和紙の分析に関して光学顕微鏡を用いた紙文化財の繊維分析を行っている。

 

1 高知県立紙産業技術センターの外観

2 那須楮(白皮)の外観

3 土佐楮(白皮)の外観

予告:2024 年2月例会は、2024 年2月17 日(土)です。
『 福西正行氏(福西和紙工房)「宇陀紙の歴史と製法」』
『 中野慎之氏(文化財文化財第一課)「近現代における裏打紙としての宇陀紙」』

 

和紙研オンライン月例会の見学について

1月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは1月15日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/b740040f30f84f202aa3f107a466af03
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年1月15日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 1月15日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 12月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年12月16日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30
稲葉ゼミミ「楮紙の製造法と耐久性」
14:40?15:40
会員発表 「石川県文化財保存修復工房における修復作業について」
広部茂紀氏(石川県文化財保存修復協会)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

楮紙の製造法と耐久性           
                            稲葉政満 会長

楮皮に含まれているセルロースとヘミセルロース、そしてこれら多糖の酸あるいはアルカリによる分解機構について解説する。ついで、高知県紙産業技術センターで煮熟剤(木灰、ソーダ灰、石灰、苛性ソーダ)を変え、これに苛性ソーダ煮熟後漂白したものを加えた楮紙を特別に製造していただき、この楮紙を16週間湿熱劣化(80℃、65%rh)処理して、その劣化しやすさを評価した結果について発表する。

 

会員発表
石川県文化財保存修復工房における修復作業について  
                        広部茂紀 会員

石川県文化財保存修復工房は平成9年に石川県立美術館に隣接する建物(旧大
学施設の一部)の2Fエリアに美術館の付属施設として開設されました。時を経て建物の老朽化により平成28年4月美術館の広阪別館横に新築移転し、一般財団法人石川県文化財保存修復協会として現在に至るまで文化財の修理を行ってまいりました。この施設は見学スペースを設けており、一般の方々が常時見学することがでる公開施設となっています。
北陸地方において文化財保存修理の重要な拠点となるべく現在まで実績を重ねてきました。文化財の修理を行う上で材料となる和紙は切っても切れない重要な存在と言えます。今回の発表では修復工房での実際の作業について写真を交えながらご紹介しようと思っております。

■プロフィール 
広部茂紀(Shigeki HIROBE)
平成9年 有限会社 中越商事入社。
平成13年 石川県文化財保存修復工房にて修復作業に従事。
令和6年 石川県文化財保存修復協会専務理事就任、現在に至る。

1 修復室(見学スぺースから)
2 施設全体(修復工房側から)

予告:1月の例会は2024年1月20日(土)です。
◇ 宍倉ゼミ 宍倉佐敏会員「お札のひみつ」
◇ 招聘講師発表 有吉正明氏(高知県立産業技術センター)
「原料及び製造工程の違いが楮紙の特性に及ぼす影響について」です。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

12月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは12月11日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/8273386b098b3702fd523e409c40ec59
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年12月11日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 12月11日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 11月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年11月18日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30
会員発表「抄紙会社150 年 ―洋紙発祥の地・王子」 山口紘加 会員
14:40~15:40
「八女手漉き和紙の特徴と、これまでの活動」 溝田俊和氏(溝田和紙)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
【注意】11月18日(土)山手線内・外回り線路切換工事に伴う列車の運休について
山手線外回りの大崎~渋谷~池袋間のすべての列車を運休し、その他区間でも本数を減らして運転します。埼京線・湘南新宿ラインや運転本数が減少する山手線の混雑が予想されますので、会場参加の方はご注意ください。※悪天候等により工事を実施できない場合は、12月に延期となります。(詳細はJRにご確認ください)

抄紙会社1 5 0 年―洋紙発祥の地・王子            
                            山口紘加 会員

今年2023年は、洋紙を製造する会社「抄紙会社」が、渋沢栄一の提唱によって明治6年(1873)に設立されてから、150年となる節目の年です。明治8年に東京・王子にできた抄紙会社の工場は、後に王子製紙(株)王子工場となりました。現在、工場跡地には「洋紙発祥之地」記念碑が建ち、当時の面影を伝えています。
抄紙会社は、王子ホールディングス(株)、日本製紙(株)のルーツとしてだけでなく、近年は、渋沢栄一が手掛けた多くの会社のひとつとして、また、地元北区の近代的産業のさきがけとしても、改めて注目されています。
紙の博物館では、今秋、日本の近代製紙業の原点ともいえる抄紙会社のあゆみと、東京・王子の工場跡地が洋紙発祥の地として受け継がれた歴史を紹介する企画展を開催しています。(12/17まで)本発表では、この企画展の内容と見どころをご紹介します。そして、王子工場に由来を持つ当館の沿革についてもお話いたします。

【山口紘加 プロフィール】
紙の博物館学芸員。2006年より現職。
企画展「抄紙会社150年 ―洋紙発祥の地・王子」担当。

関連Web
抄紙会社設立150年特設ページ -紙の博物館- Paper Museum
https://papermuseum.jp/ja/syoshigaisya150/

①開業式で飾られた小旗 明治8年(1875)

②錦絵「古今東京名所 飛鳥山公園地王子製紙会社」明治16年(1883)/歌川広重(三代)画
③王子製紙(株)王子工場平面図 昭和9年4月現在、昭和16年11月訂正
④航空写真「王子製紙(株)」昭和10年(1935)頃
⑤チラシ表
⑥チラシ裏

 

 

招聘講師発表                        
八女手漉き和紙の特徴と、これまでの活動      
                             溝田俊和氏

1.八女和紙の歴史
八女和紙の始まりは、おおよそ724年以降と言われています。
738年筑後国から送られた正税帳が残っています。
702年に筑前、豊前、美濃の戸籍用紙が保存されていますが、もしかしたら、
八女の豪族の筑紫野磐井は、新羅との交流もあった事を思うと紙がこの時代
に見られていたのではないのか、憶測も出来ます。
2.八女和紙の製紙技術
八女手漉き和紙の大半は、苛性ソーダで煮熟して漂白する和紙が主です。
その中で、自分は、肥後かご(楮)未晒しの紙を作っています。
作り方簡単に説明します。(皆さんは、よくご存知の事なので簡単に)
3.八女手漉き和紙の特徴と久留米大学の文化財保存科学部会での活動とIPM
の勉強
八女和紙の特徴と言ったら長い物で4cm以上ある繊維です。大半は、1cm~1.5cmです。今回、楮のシュウ酸カルシュームを久留米大学生物学の大沼先生に調べて頂きました。それを少しお話しします。

溝田和紙関連Web
http://ww7.tiki.ne.jp/~aloha/
https://note.com/ippoupcycle/n/n9397f280b94a

 

 

予告: 12 月例会は、2023 年12 月16 日(土)です。
◇【稲葉ゼミ】「楮紙の製造法と耐久性」 稲葉政満会長
◇ 【会員発表】「石川県文化財保存修復協会における修復作業について」
廣部茂紀会員(石川県文化財保存修復協会) 

 

和紙研オンライン月例会の見学について

11月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは11月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/e7ebab98f0d0f737309ba2ea4b4d8480

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します
QRコード画像

申込期間:2023年11月13日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 11月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 10月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年10月21日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30
増田ゼミ「尾形光琳が紅白倍図を描くために選んだ和紙」 増田勝彦 副会長
14:40~15:40
会員発表「江戸大伝馬町と伊勢店(いせだな)、小津清左衛門物語」
松浦節也 会員

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

増田ゼミ「尾形光琳が紅白倍図を描くために選んだ和紙」
                           増田勝彦 副会長

MOA が所蔵する尾形光琳作紅白梅図屏風の科学的調査の結果、金箔だと思われていた箇所で金箔とは思えない分析結果が発表されて、大きなニュースになりました。その後2次調査が行われて、今度は金箔と判断して良いとの結果が出ました。世間では金箔論争として賑やかでした。
私は紙の専門家として2次調査の際に実物料紙の調査をしました。繊維分析はしてませんが、紙面の寸法は当時流通していたであろう料紙の寸法と比較するのに有効で、表面の表情は原料センイのある程度の推定が可能です。また、紙表面には紙が完成するまでの工程で固定された痕跡などを見つけることが
あります。
今回の例会では、それら観察して得た事実を総合して、紙の種類を推測した手順について話をする予定です。
話を準備するに当たって再認識したのは、普段から種々の和紙を直接手で触ったりした上で、各地の紙漉き場の見学を重ねている、和紙研会員としての活動から導かれた推測の手順の大切さでした。

「江戸大伝馬町と伊勢店(いせだな)、小津清左衛門物語」
                            松浦節也 会員

紙商小津は承応2(1653)年、江戸大伝馬町一丁目(現本社ビル所在地)で、伊勢松坂から出府した小津清左衛門長弘によって創業されました。
小津は和紙の伝統を大切に守り育ててきましたが、同時に時代の変化にも対応しながら様々な事業を営んできました。
昭和4(1929)年、松阪の創業家は事業から手を引くこととなり、江戸以来の東京三店の経営はそれぞれの番頭や店幹部に委ねられ、法人化しました。合資会社となった小津商店(1978年、株式会社に変更)は今までの「和紙の小津」の仕事を引き継ぎ、今日に至りました。
本年は創業370周年節目の年となりますので、その歩みを簡単に振り返ってみたいと思います。

■ プロフィール 
松浦節也〔Setuya MATSUURA〕 
小津史料館 館長
小津産業㈱を退職後、2005年より㈱小津商店・小津史料館に勤務。

予告: 11 月例会は、2023 年11 月18 日(土)です。
◇「抄紙会社1 5 0 年―洋紙発祥の地・王子」山口紘加氏(紙の博物館)
◇ 「八女和紙について」(仮) 溝田俊和氏(溝田和紙)
を予定しています。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

10月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは9月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
 https://sgfm.jp/f/44b00fade76e40b7346a590af87a0c2a

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年10月18日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 10月18日締切り
振込口座:郵便振替001400-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 9月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年9月16日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:3~14:30
宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物:第7回『ワラ紙と茎幹繊維紙の研究』」
宍倉佐敏 会員
14:40~15:40
稲葉ゼミ「紙の保存性評価のための強度試験」 稲葉政満 会長

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
                                     

宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物:第7回『ワラ紙と茎幹繊維紙の研究』」     
                            宍倉佐敏 会員

水田のアゼ道に沿って早乙女( さおとめ) と呼ばれる女性たちが一列になって、稲の苗を植えている田植えの光景を近年は見る事が出来ない。全て機械化され稲の刈り入れまでも機械が行っている。これでも今もワラは紙になっている。
ワラはいつ頃からどの様な紙に使われたのか、記録によると奈良時代にはワラの紙はあったらしいが紙その物は無く、その製法もよく解らない。
ワラパルプで各種の洋紙を製造した経験から、和紙にワラをどの様に使ったかを知りたくて、歴史や製法を検討してみた。中国では7 世紀にワラが紙に使われ書の紙として好評であった、それは何故であるか、ワラの持つ成分がどの様な影響を与えているのかを考える。
海外ではワラと同じ茎幹繊維の紙が多く使われている、その代表的なバガス・エスパルト・ムギや草類も調べてみた。

【参考文献】『和紙文化研究第8号』宍倉佐敏「ワラ紙と茎幹繊維紙の研究」1999年刊

新講座が始まります
稲葉ゼミ「紙の保存性評価のための強度試験」     
稲葉政満 会長  

私の和紙に関する研究を振り返ってほしいとの希望がありましたので、今まで和紙研で発表してきた内容を再度行うことにしました。その第1回目として、和紙の保存性評価に用いられる強度試験についての基礎的な内容をお話することといたします。

予告:10月の例会は10月21日(土)13:30~
◇増田ゼミ「尾形光琳が紅白梅図を描くために選んだ和紙」増田勝彦 副会長
◇ 会員発表「江戸大伝馬町と伊勢店、小津清左衛門物語」松浦節也 会員
を予定しています。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

9月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは9月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
 https://sgfm.jp/f/009244d9dcf74acd4ec7b660e85ef80f

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年9月13日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 9月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

で配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 7月例会(オンライン・一部会場)
日 時:2023年7月15日(土) 13:30~16:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
タイムスケジュール
13:30~14:30
宍倉ゼミ「和紙と植物の深い関係~植物学者・牧野富太郎博士との関わり~」
宍倉佐敏会員
14:40~15:40
「水俣の一代紙漉き金刺潤平の紙漉きと不知火海東海岸の伝統的紙漉き」
金刺 潤平 氏(水俣浮浪雲工房)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ『和紙と植物の深い関係~植物学者・牧野富太郎博士との関わり~』     
                            宍倉佐敏 会員

和紙とは植物繊維の持つ性質をそのまま生かした「自然なもの」。
ゆえに、和紙の本質を理解している和紙の研究者は植物の特性について研究し、植物博士である牧野富太郎博士の説明や解説を重んじてきました。
和紙研究の書籍として有名な「日本の和紙」の著者、寿岳文章氏も牧野博士の文章を引用し解説しています。
和紙作りにおいて欠かせない植物について、NHK 朝ドラ「らんまん」で注目されている牧野富太郎博士の解説を混じえてお話しします。

招聘講師発表                        
「水俣の一代紙漉き金刺潤平の紙漉きと不知火海東海岸の伝統的紙漉き」  
                    水俣浮浪雲工房 金刺 潤平 氏

工芸と何の縁も無かった自分は、石牟礼道子さんから、胎児性水俣病患者と紙漉きと言う仕事を興して欲しい、水上勉さんから、人間の価値判断で放り出されている植物に魂を吹き込むような仕事を目指せと二つの課題を抱えて39年間紙漉きを続けてきた。(画像①②)
始めてはみたが、自分たちが目指す仕事が見定まらない。暗中模索を続ける中、紙漉きの先輩たちが縁付けてくれたのは、非木材パルプの研究者大川昭典さんだった。師から繊維についての基礎や紙漉きの歴史を様々な角度から学んだ。水俣と言う場は、様々な縁を繋いでくれた。アマゾンでの就労の場作り(画像③)、サマルカンドのシルクペーパーの復元復興支援(画像④)、国内での様々な植物からの紙漉き。オリジナルな紙素材の開発。(画像⑤⑥⑦)地元不知火海沿岸は、古代において大陸や朝鮮半島と交流交易があり、様々な工芸が行われ、江戸期の封印された時代を経て、その片鱗が残る。紙は、原始布のボロを書くものではなくシートなどの生活用具用に漉いたようだ。(画像⑧)
近代化の中で和紙に求められる役割が変わってきた。仕事は、植物の繊維化、和紙のための原料処理、紙漉きと三要素からできあがっていた。

■プロフィール
金刺潤平〔Junpei KANAZASHI〕(本名:順一)
1959年 静岡県沼津市生まれ。
1983年 上智大学理工学部卒、同時にJY VA一年間派遣ボランティアとして水俣へ。
1984年 作家石牟礼道子氏の勧めで紙漉きを始める。熊本・宮地和紙の宮田寛氏、福岡・八女和紙の松尾成幸氏に手ほどきを受け、水俣浮浪雲工房主宰し、胎児性水俣病患者らと紙漉きを始める。高知県立紙産業技術センターの大川昭典氏と出会い大きな影響を受け、現在も師弟関係の交流を続ける。
【国内活動】
イグサの製紙原料繊維化技術、無廃棄物イグサパルプの開発等の特許を取得。高機能壁紙「かみいぐさアイビーウォール」を開発。立体紙、葦紙、杉皮紙等をさまざまな紙を作成。
【海外活動】
インドネシア・バリ島、ドイツ・ハノーバー、マレーシア・サラワク、ブラジル・アマゾン等でワークショップを実施。JICAの事業としてブラジル・アマゾン(環境と貧困をテーマにした「アマゾンの天然繊維を利用した住民の生活向上プロジェクト」:2001年~2008年)、ウズベキスタン(サマルカンドペーパー復元復興事業:2008年~2013年)へ関わる。
【その他】
本願の会事務局長(1994年~)、九州大学大学院言語文化研究所非常勤講師(2004年~2006年)、NPO植物資源の力理事長(2012年~)、実生の森実行委員会委員長、水俣市国際交流協会会長(2017年~)、熊本県伝統工芸協会会長(2020年~)熊本県伝統工芸師、水俣市環境マイスター、森の名人(紙漉き)

① 工房初期1
②工房初期2
③アマソンて紙漉

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④サマルカント・シルクヘーハー打紙・紙砥
⑤海苔も植物
⑥オリシナル素材織紙
⑦イ草て作ったかみいくさアイヒーウォール
⑧㉀貼り合わせて穀物袋にした150年前の紙

和紙研オンライン月例会の見学について

7月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは7月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/59b3e7b8528125d53c14a071662e916f

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年7月13日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 7月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 6月例会(オンライン・一部会場)
日 時:2023年6月17日(土) 13:30~16:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第6回」 宍倉佐敏会員
14:40~16:00「ガンピの人工栽培-増殖法と栽培について―」今井三千穂氏

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ『和紙原料に使う植物 第6回「竹と竹紙の研究」』     
                            宍倉佐敏 会員

竹は日本の各地に繁殖している、 人々はこれらの竹を利用して家具材や生活用具、工芸品などの他に楽器などを作っている。
竹類の種類は多くあり、大きくは笹類・竹類・バンブーに分けられる、 この違いは?
竹紙は中国産の貴重な紙であったので長い間その製法は秘密にされていたが、 近年中国の色々な情報が公表され、 歴史と共に竹紙に関する文献も発表されて竹紙の製法が明らかになった。 その記録によると若竹を割り石灰液を加えた池に漬け置き、レッチング ( 発酵精錬) して軟化させ、 臼で繊維を分散して
繊維化する製法で紙にするまで4 から5 カ月を要した。
台湾もほぼ同様の製法であるが石灰の使用はない。 日本ではレッチングによる製法の竹紙は無いので、私は庭でレッチングして竹紙や、筍の皮の紙を作った。
【 参考文献】
宍倉佐敏「竹と竹紙の研究」『和紙文化研究会』第7号 1999 年刊

 

 

招聘講師発表                        
「ガンピの人工栽培 ―増殖法と栽培についてー」  
                         樹木医 今井三千穂氏

古来栽培が困難また不可能とされてきたガンピの増殖法と栽培を解明し、ガンピの人工栽培技術の体系を確立したので、その要点について述べる。野生のガンピは有性・無性繁殖によって更新を繰り返している。人為的な繁殖は種子を用いるのが最も有効であるが、種子はそのまま播いたのでは発芽が極めて悪いので,発芽促進処理として温度シフト処理(一定量の水分を含んだ土中埋蔵中の種子を取り出して水洗し、直ちに55℃の湯に1分間浸漬後冷却する)を見いだした。播種年に多くの苗木を生産するにはこの発芽促進法は不可欠である。また、無性繁殖にはさし木・根ざし・とり木方法などで苗木を作ることができるが、いずれの方法とも発根促進剤を用いることが必要である。無性繁殖は種子の凶作時に有効な方法である。苗木の移植栽培については密植多収栽培法を確立しているので、この栽培法によるガンピの栽培環境・生長・初刈り収量(黒皮・白皮)・歩留まりなどについて述べる。

■プロフィール
今井三千穂 〔Michiho IMAI〕 岐阜県本巣市出身
昭和45年3月 東京教育大学大学院農学研究科(修士課程)終了
昭和45年4月 福井県庁入庁後
       福井県立短期大学助教授 福井県総合グリーンセンター林業試験部長
平成18年3月 福井県庁退職。退職後樹木医として主に福井県内で活躍中

参照Web http://fukui-ringyou-fukyu.net/?page_id=76福井県山林協会

https://fncc.pref.fukui.lg.jp/wp-content/uploads/2016/05/3926eadab9be2ada9a4ec8a157958a7d.pdf 福井県森林保護センター
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/green-c/morikenn_d/fil/019.pdf 福井県総合グリーンセンター
http://washiken.sakura.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/50786bfe4074205950f4c40c5fd937561.pdf 越前生漉鳥の子保存会
http://www.nature.museum.city.fukui.fukui.jp/shuppan/tayori/newsletterNo.341.pdf  福井市自然史博物館

1 種子 左:温湯処理 右:無処理
2 発芽状況 55℃と無処理
3 発芽ホット 2
4 発芽ホット 3
5 畑栽培 植付4年目 福井県丸岡町
6 畑栽培 植付6年目 福井県丸岡町
7 生育調査 長さ 福井県丸岡町
8 人工栽培取組みナシオン 2017年 兵庫県名塩

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和紙研オンライン月例会の見学について

6月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは6月13日となりますのでご注意ください。
なお、総会は会員のみの参加となりますのでご了承ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。

https://sgfm.jp/f/ffb7012e0e6d0ecd836c2e110451ca1a
 
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年6月13日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 6月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0ー568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 5月例会(オンライン・一部会場)
日 時:2023年5月20日(土) 13:30~16:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:00「㈱山路製紙所と越前和紙の産地紹介」山路勝海 会員
        ※この後は会員のみの参加となります。
15:10~16:10 第34回定期総会

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
         

会員発表
題 名 「(株)山路製紙所と越前和紙の産地紹介」     
                             山路勝海氏

(株) 山路製紙所は越前和紙(福井県越前市)の機械抄き和紙メーカーです。
屋号は嘉右衛門(カヨモン)。主力商品は無地の襖紙『特漉( 壱~四) 号紙』です。襖紙の流通業者・表具店では「ヤマカ 特漉(とくずき)」として広く認知され、永年のご愛顧をいただいています。
和紙文化研究会には福井県和紙工業協同組合が会員として参加させていただいており、今回のお声掛けをいただきました。当日は組合のweb サイトを表示しながら以下のように2部構成で発表を進めます。
質疑応答では会員の方々とのざっくばらんなお話ができましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

第1部 (株) 山路製紙所の紹介
https://echizen-washi.com/people/washimakers/washimakers-807/
①工場沿革
②製品紹介
③原料仕込み・設備・抄紙工程など、動画を交えて解説
④質疑応答

第2部 越前和紙の産地紹介
①産地と歴史
歴史:https://echizen-washi.com/heritage/place/
②和紙紹介
原料:https://echizen-washi.com/heritage/material/
技法:https://echizen-washi.com/heritage/technique/
和紙一覧:https://echizen-washi.com/washi-archive/
和紙検索:https://echizen-washi.com/bespoke/
③質疑応答

関連web:https://echizen-washi.com/

山路 勝海(YAMAJI Katsumi)
昭和50 年(1975) 生まれ (株) 山路製紙所 代表取締役(福井県和紙工業協同組合員)
製品を酸性紙から中性紙へ転換する際にさまざまな著書に出会い、手漉き和紙と和紙研究に魅了された。好きな言葉は「温故知新」

1、原料仕込み
2、抄紙機
3、越前和紙の一覧

 

 

紙研オンライン月例会の見学について

5月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは5月17日となりますのでご注意ください。
なお、総会は会員のみの参加となりますのでご了承ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/89889e69d2a1043b75c24312ec79757c
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年5月17日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 5月17日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 4月オンライン例会
日 時:2023年4月15日(土) 13:30~15:30
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:30「明治の和紙を変えた技術と人々-高知県・吉井源太の活動-」
村上弥生氏
15:40 退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表
題 名 「明治の和紙を変えた技術と人々 -高知県・吉井源太の活動-」
                             村上弥生 氏

和紙の歴史は大変古く、多くの顔を持ちます。この中で、現代の多くの和紙や、機能紙と呼ばれる特別な用途のための紙に関心を持って研究をしています。その基礎をつくることに大きな力を発揮したのが、高知県の吉井源太でした。幕末から明治期を通して行われた吉井源太の活動について研究し、まとめた
のが標題の著書です。
源太の残した日記を読み解くことによってわかったことを、紙や技術の開発、各地への技術指導、販路と組織形成、受賞や交流という枠でいくつかの章にまとめました。今回は、紙の開発に関連する内容のご紹介を中心として発表します。また、現在Facebook で行っている、源太の日記の内容紹介についても少しご案内します。

発表内容は、以下のようになります。
1. 吉井源太とはどういう人か-その背景としての御用紙漉き
2. 吉井源太の活動の全体像
3. 吉井源太の開発した器具と各種の紙について
4. 吉井源太の原料増産のための取り組み
5. 吉井源太による混合物等の種類拡大
6. 現在行っている日記の内容紹介について
【参加文献】
『明治の和紙を変えた技術と人々 高知県・吉井源太の活動』 南の風社 2020 年

■プロフィール
村上 弥生 氏
奈良女子大学修士課程修了後、短期大学勤務。家庭経済学、家族心理学などを講義する中、日本人のあり方についての関心に基づいて、山村民俗学としての「生業」分野の研究をおこなってきた。日本文化論なども講義内容に加えて、短大や大学で勤務した後、博士後期課程に編入学、学位論文のテーマを、山村の生産物であり、現代にも大きな意味を持って存在している和紙とした。在学中は、高知県吾川郡いの町(現在)の吉井源太の日記を読み解くことにより、明治期に開発された和紙の新しい種類や原料の開発についての研究を中心として、伝統的和紙生産とその産地、明治期の洋紙生産の状況と和紙製造への機械の導入の歴史などについて研究を行った。これらをまとめて、論文「明治期における和紙製造の技術開発とその展開」を提出して2009年に京都大学博士(農学)の学位を授与された。2007年にいの町紙の博物館で開催された「吉井源太 没後百年記念展」以来、9回の企画展の監修及び関連講演を行ってきた。また吉井源太の業績を紹介する内容を2008年に連載した高知新聞の記事を中心としてまとめ、2020年に上記著書を出版した。吉井源太の業績を意味づけ、さらに明治期の和紙製造の歴史を世界史などの視点も加えて明らかにすることを目標として考察を継続している。

-書籍『明治の和紙を変えた技術と人々 高知県・吉井源太の活動』

 

和紙研オンライン月例会の見学について

4月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは4月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/4bd5d988704c92ac30620c49c5f3b8b3
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年4月13日(木)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 4月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 3月オンライン例会
日 時:2023年3月18日(土) 13:30~16:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:30 「パピルスの歴史・製造・修復について
-東海大学のパピルスプロジェクトを中心に-」
小野智仁氏(国立国会図書館 洋装本保存係員)
16:00 退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表
題 名 「パピルスの歴史・製造・修復について
             -東海大学のパピルスプロジェクトを中心に-」
      国立国会図書館収集書誌部資料保存課洋装本保存係員 小野智仁

パピルスは古代エジプト世界において人々の生活と密接に関わり、多種多様な用途で利用されていました。その中でも記録媒体(パピルス紙)としての利用が最も盛んで、様々な内容が記されたパピルス文書が作成されました。
現在では世界中の博物館や図書館、大学などの研究機関が所蔵しており、日本においても例外ではありません。パピルス文書の保存状態は様々ですが、基本的に劣化が著しく、研究者による解読や博物館展示などの活用を行う前には保存処置が必要になります。
本発表ではパピルスの歴史や製造方法に触れつつ、本邦最大規模のパピルス文書コレクションを有する東海大学での「パピルスプロジェクト」を中心に取り上げ、その中で培われたパピルス文書の保存修復についてお話いたします。

■プロフィール
小野 智仁
国立国会図書館収集書誌部資料保存課洋装本保存係員。
東海大学文学部歴史学科考古学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界遺産専攻修了(修士:学術)。令和2年度博物館・美術館保存担当学芸員研修、文化財修復技術者のための科学知識基礎研修(令和3年)を修了。藤沢市生涯学習部郷土歴史課非常勤職員を経て現職。
専門はパピルス文書及び図書館資料の保存修復。文化財IPMコーディネータ、文化財虫菌害防除作業主任者。

1 パピルス

2 修復風景

 

和紙研オンライン月例会の見学について

3月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは3月16日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
   https://sgfm.jp/f/1ce518f8a0d2b5ca8599f502cf6e6633
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年3月16日(木)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 3月16日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 2月オンライン例会
日 時:2023年2月18日(土) 13:30~15:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第5回」 宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 「家庭紙卸から紙の温度へ」
花岡成治会員(紙の温度(株)代表取締役)
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
                                     

宍倉ゼミ 『和紙原料に使う植物 第5回
     「麻の研究に使われてる麻の種類と特徴」』
                            宍倉佐敏 会員

古代から神事をはじめとして人々の衣料用の織物として広い用途に使われてきた床は、綿の栽培が始まる前の繊維資源として最も貴重で重要なものであったと思われる。
アサは広い意味では繊維原料になる植物の総称で狭い意味ではクワ科の大麻(たいま) をさす。
中国では大麻のほかイラクサ科の苧麻(ちょま)、アオイ科のイチビやケナフなどがあるがアサとは大麻であった。苧麻は日本にも自生し栽培記録は少ない。
ヨーロッパにはアマ科の亜麻(あま) があり衣類の他にいろいろな織物にも使われている。
日本では漁網や綱・紐などに使われる葉鞘繊維のバショウ科のアバカ(マニラ麻)・バナナ(芭蕉) やヒガンバナ科のニュージーランド麻も麻と称し紛らわしいのでこれを整理して、紙の原料として代表的な中国の大麻 日本の苧麻 ヨーロッパの亜麻葉鞘繊維のマニラ麻の特徴などを検討した。

【参考文献】宍倉佐敏「麻の研究」『和紙文化研究会6号』〈1998年12月〉

 

会員発表                        
「家庭紙卸から紙の温度へ」
                           花岡成治 会員

昭和17年11月20日出生(名古屋市熱田区) 1942年。
大平洋戦争の熱田大空襲で店舗、倉庫、自宅全焼(昭和20年3月) 。
父は徴用、母と祖母に乳母車で帳面と一諸に疎開。
一人っ子の為、幼少より祖母に家業を継ぐと云れ続けた。
高校卒業(愛知県立明和高校)後、修業見習せず花岡紙店に入社。
洋紙、和紙、家庭紙の特長のない紙卸商から家庭紙に方向性を定め、量販店との取引が早かった為、順調に年商40億円を越えるまでに成った。その後、量販店同士の合併や倒産など大混乱になり、家庭卸は他社にM&Aし、和紙を中心とした小売専門店を1993年3月紙の温度としてスタート。その後海外の輸入紙、紙
加工品も加え「手漉和紙と世界の紙」の専門店として現在に至る。

紙の温度発行「紙の見本帳」
「繊維判定用 和紙見本帳」第2版 宍倉佐敏 企画・編集 本体10,000円
「三宅賢三の竹紙見本帳」宍倉佐敏 企画・編集 本体9,000円

関連Web:https://www.kaminoondo.co.jp/

1 紙の温度の店舗入口外観
2 店内1・2F
3 店内風景
4 ヨーロッパ輸入紙コーナー
5 海外の見本市「ペーパーワールド」にて(右から2番目が花岡氏)
6 海外の見本市「ぺーパーワールド」風景(ドイツのフランクフルトにて)
7 『紙の温度が出会った世界の紙と日本の和紙』
紙の温度(株)著 グラフィック社 2022年11月 本体2,300円
「紙の温度」が出会った 世界の紙と日本の和紙セット
紙の温度(株)編 グラフィック社 2022年11月 本体1,500円

 

和紙研オンライン月例会の見学について

2月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは2月14日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
   https://sgfm.jp/f/65fc41e50f82cbf9a24f9d66b8a23a89
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年2月14日(火)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 2月14日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 1月オンライン例会
日 時:2022年1月21日(土) 13:30~15:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第4回」 宍倉佐敏 会員
14:40~15:40  「添加物と機械を使わない和紙の現代でのあり方」
ロギール・アウテンボーガルト会員(手漉き和紙作家・土佐の匠)
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください

宍倉ゼミ 『和紙原料に使う植物 第4回
「椿の研究 (Ⅱ) ー多くの和紙に使われている楮はどの様な和紙に適しているかー」』
                            宍倉佐敏 会員

楮の種類は多くあり地方に依って名称も異なり全国的に統一されていないので大変わかりにくい。
楮紙の産地を訪れその地方の特色を探ると、 越前は那須コウゾを十分洗滌して厚みのある「 奉書」を丁寧に漉き木版画用紙に多く使用されている。
薄くて縦横に強度の高い美濃の「書院紙」 と呼ばれる紙は、古来は地元産の津保草 (ツボクサ) と呼ばれる楮を原料にしていたが現在は那須コウゾで古文書などの重要文化財の修復用紙として欠かせない、土佐の極薄の「典具帖」は地元産のアカソと呼ばれる楮を原料にして貴金属や宝石、高級和菓子などの
包装紙に使われ、これらは殆どヒメコウゾ系の紙である。
東大寺二月堂の「お水取り」の際に僧侶達が着る「 紙衣」 は厚くて水に強いので長い繊維の楮が適し、提灯紙・傘・型紙原紙に使用される土佐でタオリと呼ばれる楮はカジノ木系のコウゾが使われている。
日本のコウゾの産地から樹皮を送付して頂き繊維化してその特徴を検討してみた、その結果からその地方の紙にはどの様な特色があるかなどを纏めて報告する。
【参加文献】
宍倉佐敏「楮の研究(二)」『和紙文化研究』9 号 〔2001年11月〕

会員発表                        
「添加物と機械を使わない和紙の現代でのあり方」

                   ロギール・アウテンボーガルト会員

私は1980年にオランダの製本工房で1枚の和紙に出会って以来、その自然な美しさを追及してきました。その美しさは製造工程での自然との深い関わりの中で生まれると、全国の工房を見学したことやこれまでの私自身の紙作りの経験から感じています。そのために、漂白剤や保存料などの添加物と機械を使わない作り方が、私の和紙作りの基本になっています。
また、原料を自家栽培することも、原料の安定的な確保や品質の管理というメリットに加えて、里山に工房を構えて自然に直接触れるという、私の紙作りの大切な要素になっています。もちろん、その分効率が悪くなり仕事も複雑になりますので、製作のスピードは遅くなりますし、結果として値段も高くなるというデメリットがあります。
しかし一方で、このような作り方が、自然素材が再評価されている現代では強みになっているという実感もあります。この価値を届けるためには、ネットを活用する・ワークショップをする・アートを発表する・哲学を深める、などの手法が欠かせません。また里山に迫る人口減少による人手不足の問題や、速度の速いビジネスの世界にどうやって自然相手の仕事を合わせるかなど、現代ならではの伝統製法の和紙作りのあり方をお伝えします。

1 「水」四万十川の源流を使って
2 「発信」「手漉き和紙の空」展 2022/11/23
3 「三椏の苗」コンパニオンプランツの研究
4 「蒸す」土佐の伝統的な道具と方法
5 「漉く」土佐の昔ながらの簀で

発表者プロフィール
ロギール アウテンボーガルト(Rogier Uitenboogaart)
1955年 オランダ・ハーグ市生まれ。現在高知県檮原在住の手漉き和紙作家・土佐の匠。宿泊とワークショップができる工房「和紙スタジオかみこや」にて、主に内装用紙、美術紙、アート作品を制作している。原料は自家栽培の楮と三椏に加え、オーガニックタオルのメーカーから仕入れたコットンも使う。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

1月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは1月17日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/abbdfb5b1568af4b7bd4fef1315adbc8

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年1月17日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 1月17日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 12月オンライン例会
日 時:2022年12月17日(土) 13:30~15:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第3回」 宍倉佐敏 会員
14:40~15:10 「和紙の材料であるコウゾ属の分類のよる
渡来経路の解明の試み」本橋令子氏(静岡大学教授)
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第3回
「椿の研究 (Ⅰ) ー和紙原料で最も量が多く重要なコウゾー」
                            宍倉佐敏 会員

古い日本の田舎の風景画などに観られる、 畑の周りに植えられたクワやコウゾを見ると人々は心が安らぐ、 なぜこれらの植物は心安らぎ、そこに植えられているのだろうか?
実際のコウゾを詳しく観察すると枝葉の姿が異なる物や成長の仕方が違う物がある、 よく考えるとコウゾにはいくつかの種類があるのかもしれない、 これらの違いが在るなら何故なのか、 種類か? 生産地の差か? 紙の原料の他に何か使用目的があるのか?
楮の繊維は長いと言われるがどの位の長さで、種類によってどの様な違いがあるのか、紙にすると、どの様な特徴が生まれてくるのか、 楮は本当に強いのか等を検討します。(資料は和紙文化研究第五号)

招聘講師発表                        
「和紙の材料であるコウゾ属の分類のよる渡来経路の解明の試み」
                        静岡大学教授 本橋令子

古くから日本の紙の原材料としてクワ科コウゾ属が使用されることが多い。コウゾ属はカジノキ(B.papyr i fera)、ヒメコウゾ(B.kazinoki)、及びツルコウゾ(B.kaempfer i)の3 種と、ヒメコウゾとカジノキの交雑により生じた雑種コウゾ(B.kazinoki×B.papyr i fera)によって構成されているが、分類学的背景が非常に複雑で、現在も明確な区分わけがされていない。また、日本においてカジノキは外来種とされており、いつどのような経路を辿って日本に渡来したのか未だ解明されていない。日本全国のクワ科コウゾ属、クワ科クワ属、海外のコウゾ属の葉の標本について、母性遺伝する葉緑体ゲノムのPS-ID,Tand-2,Tand-3 領域、父親と母親それぞれから遺伝情報を反映する核ゲノムのTOPO6 領域の配列を決定し、コウゾ属の分類を行った。葉緑体ゲノムを用いた解析結果では、5 つのグループ型に分類することができ、Ⅰ型には日本本土のカジノキ、Ⅱ型には沖縄や奄美大島のカジノキ、Ⅲ,Ⅳ型にはヒメコウゾ、
雑種コウゾ、ツルコウゾ、Ⅴ型にはクワ科クワ属のヤマグワが分類された。日本には日本本土のカジノキ、沖縄のカジノキの2つの葉緑体ゲノム型(母親の祖先が異なる2つのグループ)が存在し、カジノキとそれ以外の種に分けることができた。

発表者プロフィール
本橋令子(MOTOHASHI Reiko)
所 属:静岡大学 学術院農学領域、分子育種研究室、教授・副学長
学 位:博士(農学)東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻
    論文名『 レトロトランスポゾンp-SINE1 の解析とイネ系統の分類への応用』
    平成 9 年 3 月東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻 博士
    後期課程 学位取得
職 歴:平成9年4月 理化学研究所ゲノム科学総合研究センター植物ゲノム機能情
           報研究グループ
    平成16年4月 静岡大学 農学部植物変異開発研究チーム 研究員 
専 門:葉緑体の機能解明 (植物分子遺伝学)

 

和紙研オンライン月例会の見学について

12月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは12月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
   https: //sgfm. jp/f/872b2df081aa5ddf39e791bf801dcc2a
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2022年12月13日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 12月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

 

◆ 11月オンライン例会
日 時:2022年11月19日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
招聘講師:
柴崎幸次氏(愛知県立芸術大学美術部デザイン・工芸科デザイン専攻教授)
大柳陽一氏(文溪堂工房)
神谷直希氏(愛知県立大学大学院情報科学研究科准教授)
吉里 友氏(愛知県立大学情報科学部)
周 業欣氏(愛知県立芸術大学大学院博士後期課程 美術専攻)

13:30~14:00
題名1「データサイエンスによる紙の道の解明―量的
・質的調査とAI多面的解析に基づいて―」
柴崎幸次氏・大柳陽一氏
14:00~14:30
題名2「民生品デジタルカメラを用いたパッチ分類による
紙の繊維推定の現状と課題」
神谷直希氏・吉里 友氏
14:30~14:40 休憩
14:40~15:40
代名3「中国における紙の文化史に関する研究とドキュメンタリー映像の制作
~製紙文化のデジタルアーカイブ、保護と存続に向けて~」
周 業欣氏
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

要旨紹介

題 名1.
令和4年度より、愛知県立芸術大学では、科学研究費助成事業 基盤研究(A)「データサイエンスによる紙の道の解明―量的・質的調査とAI多面的解析に基づいて―」に取り組んでいます。
この研究は、現在も不明な点が多い“ 紙の道”(紙の伝播)の解明に焦点をあて、歴史の時系列の中でどのような紙の文化であったかを、データサイエンス領域と共同し、紙の文化に潜んだ真実を明らかにし、その多様性を解明する研究です。民生品のデジタルカメラによる多くのサンプル撮影とディープラーニングによる画像解析を活用し、非破壊で簡易に撮影できる画像を用いた紙質分析の飛躍的な向上を目指します。
また、様々な観察や計測、画像シミュレーションを用いた多面的解析システムによる観察を融合させ研究を進めます。
この報告では、研究概要、今後の研究計画、顕微鏡により構築する紙の解析システム、さらに紙の観察のための「標品」ポリシーについて報告します。

題 名2.
昨今の民生品のデジタルカメラでは、顕微鏡モードによるマクロ撮影が可能であり、レンズ先端から1cm の距離にある被写体に対し、光学ズームと併用することで顕微鏡写真のような拡大撮影が可能です。この機能に着目し紙を対象としたマクロ撮影による画像において、紙の繊維が観察可能なことを確認しました。ここではEfficientNet ベースの紙の繊維推定について、これまでのパッチベース(複数の小さい画像)分類による取り組みを紹介します。また、パッチベース分類からマクロ画像全体における繊維推定への展開や解析対象の拡大に向けた現状のアプローチとその課題について報告します。

題名3
紙の発祥地は中国であり、2000 年以上の歴史の中で、それぞれの時代の製紙文化の変遷があったと推測されるが、その手漉き紙の多様性は、現状では失われており、技術や文化的背景も学術的には未整理のままで、紙の組成や伝播については不明な点が多い。
また、中国においては急速に文化・経済ともにグローバリゼーションが浸
透する中、現代社会においてどのように伝統文化への関心を喚起し、その
独自性を守り、どのように継承していくかを考えることが、今後の文化遺
産の伝承への課題となっている。
本研究は中国伝統文化の保護と存続の問題に焦点をあて、これまで製紙文化の多様性と存続に携わった人々の活動に敬意を表しながら、ドキュメンタリー映像の制作と中国製紙文化のデジタルアーカイブを構築することである。過去の歴史と、現在の製紙に関する情報を結びつけ、映像、インフォグラフィック、デジタル技術により、製紙文化の再現? 評価? 保存を研究するシステムを築き上げる。具体的には、現地調査と文献調査に基づき、旧来の生産様式や道具などを調査、または推定し、紙のデジタルアーカイブ化を試みる。歴史的な事象の影響により失われてきた多くの伝統的な技術? 製法の歴史的空白部分を明らかにし、記録として残す手法を提案する。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

11月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは11月5日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
  https://sgfm.jp/f/27004e3d8497d6101f7ae5d98622f557
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2022年11月14日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 11月15日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

◆ 10月オンライン例会
日 時:2022年10月15日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ
14:40〜15:40 「すべて和紙を使った雑誌をつくって、おもしろかったこと、
驚いたこと、気づいたこと。」津田淳子氏(グラフィック社)
15:50     退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第2回
「雁皮の研究 ー和紙の製法・仮名文字・西洋印刷機に貢献した雁皮紙ー」
                           宍倉佐敏 会員

和紙は 「流し漉き法」 で地合いの良い綺麗な紙ができる。 楮や麻に水中でヌルヌルする雁皮繊維を混ぜると美しい紙になったことから、ヌルヌルする物質(ネリ剤)を加えてみると雁皮混合紙と同様な紙となることを知り、 今日の和紙製法が確立した。
漢字は字数が多く角があり書くのが難しい、 仮名文字は字数が少なく曲線が多いので書き易い。
雁皮紙は表面が平滑で強いので、柔らかい筆で筆走りが良いので、 紫式部や清少納言などの女流作家や旅に持ち運ぶ俳諧師などに好まれた。
西洋の印刷機が日本に移入された時 雁皮を中心とした紙が適していて「 聖書」などが印刷され海外に輸出された、 鳥の子紙や間似合い紙なども外国人に高い評価を受けた。
今回ゼミでは雁皮の基礎を学びます。

 

 

招聘講師発表                        
「すべて和紙を使った雑誌をつくって、おもしろかったこと、驚いたこと、気づいたこと。」
                       グラフィック社 津田淳子

2021 年6 月刊行の『デザインのひきだし43』では、「和紙のステキさ再発見」と題し、和紙の特集記事を掲載しました。
記事作成のリサーチとして和紙を漉いている/抄いている方々、和紙を販売している方々、和紙を使っている方々からお話を伺う中で感じたことや驚いたことがたくさんありました。
また和紙特集という内容にあわせ、表紙から本文まですべて和紙で雑誌自体を作成しまし、また和紙見本帳も作成し付録しましたが、その制作にはおもしろさと同時に、いくつものハードルもありました。表紙は本誌用にオリジナル和紙を抄いていただきましたが、そのすばらしさや読者からの反応なども大きいものがありました。
現在、本づくりの現場ではほぼ洋紙が使われており、その商習慣や印刷加工適正、納期などに慣れてしまっている者から見た、和紙を使った本づくりで感じたこと、気づいたこと、驚いたことなどを率直にお話しします。洋紙、和紙どちらがいい、という話ではなく、和紙と洋紙でのものづくりの違いをお話しします。

■ 発表者プロフィール
津田淳子(TSUDA Junko)
編集者・デザインのひきだし編集長。1974 年神奈川県生まれ。編集プロダクション、出版社を経て、2005 年にグラフィック社入社。2007 年『デザインのひきだし』を創刊する。デザイン、印刷、紙、加工に傾倒し、それらに関する書籍を日々編集中。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

10月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは10月14日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
  https://sgfm.jp/f/29792a9e29db56fbf61713a05f790294
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2022年9月18日(土)~10月11日(火)
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 10月14日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 9月オンライン例会
日 時:2022年9月17日(土) 13:30~15:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:00 「羊皮紙の基礎・特徴・用途」八木健治氏(羊皮紙工房)
15:10     退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

招聘講師発表
題 名 「羊皮紙の基礎・特徴・用途」    羊皮紙工房 八木健治

東洋で植物繊維から作る紙が生まれ、発展したのと並行して、中東や欧州では動物の皮から作る「羊皮紙」が使われてきました。今回の発表では、「基礎・特徴・用途」という3 つの視点から、羊皮紙について紹介します。
基礎編では、羊皮紙の製法を中心に概説。毛の生えた動物の皮が「紙」になる工程を見ていきましょう。
特徴編では、表裏差、線維、表面処理、品質などについて、数百年前の羊皮紙写本を適宜リアルタイムで拡大表示しながら解説します。用途編では、過去から現代まで、羊皮紙で作られたさまざまな作品を紹介し、今なお活用されている羊皮紙の世界をご覧いただきます。
また、和紙は羊皮紙写本の修復に欠かせないものとして世界中で使われています。和紙と羊皮紙のさらなるコラボを期待し、質疑応答で皆様からのご質問やご意見、ご提案を楽しみにしています。

■発表者プロフィール
八木健治
自宅の風呂場でひつじの毛を剥ぎ羊皮紙を作ることから出発し、現在は羊皮紙の販売、羊皮紙写本等の展示、および羊皮紙や写本に関する執筆・講演等を中心に活動。
『羊皮紙の世界』(岩波書店2022 年)
『羊皮紙のすべて』(青土社2021 年)
『図書館情報資源概論』(分担執筆、ミネルヴァ書房2018 年)
『モノとヒトの新史料学』(分担執筆、勉誠出版2016 年)をはじめ、羊皮紙や中世ヨーロッパの写本などに関する文章を多数執筆。西洋中世学会会員。羊皮紙専門サイト「羊皮紙工房」(https://www.youhishi.com)主宰。

見学希望の方は添付wordファイルをご確認ください。

→→→見学申込み(wordデータ)添付

 

■10月例会予告
次回の和紙文化研究会のオンライン月例会は10月15日(土)です。
この回は「デザインの引き出し」編集長 津田淳子氏(グラフィック社)招聘しています。
オンライン見学申込みにつきましては、試験的に新しい方法を用意していますので、見学希望の方はすべて(会員・会員以外の方々にかかわらず)、ネットでの申し込みとさせていただきます。
用意ができましたら、ここでお知らせいたしますのでよろしくお願いいたします。

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 7月オンライン例会
日 時:2022年7月16日(土) 13:30~15:30
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30  宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第1回
「三椏の研究」        宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 「絵因果経の料紙」      増田勝彦 副会長

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第1回 「三椏の研究」
                                                                        宍倉佐敏 会員

近年は繁殖している三椏を見ることが少なくなったが、かつては正月を過ぎると人工栽培や自然に生えた三椏の黄色いかわいい花を山間や近在でも見ることができた。
三椏は楮や雁皮に比べ和紙に使用されたのは遅いといわれるが、三椏はいつ頃から和紙用に、どこで栽培されていたのか、外来種と言われるがどこの国から伝来したのか、三椏の繊維は和紙原料としてどのような特徴を持ち、明治時代に紙幣に使われたいきさつなどを考察し、三椏紙の発展の様子を研究しましょう。

 

「絵因果経の料紙」    
                                    増田勝彦 副会長

一人の和紙愛好家として、観察と推測を重ねて、奈良時代の紙漉き工人に考えをめぐらせました。
1.滲みから料紙を読む
2.奈良時代の麻紙- 絵因果経
3.墨の滲みが物語る奈良時代の紙漉工人
奈良時代の絵画遺品として有名な蓮台寺本過去現在絵因果経ですが、美術書に掲載されている奈良国立博物館所蔵分では、薄墨で描かれている樹木、岩、土坡の線に奇妙な滲みが見られます。
奇妙な滲み方から紙の製造方法、仕上げ方法までを推測しようとしました。
墨の滲み方については、本会会員である日野氏の発表があって、推測を重ねるヒントになりましたし、以前に試作した麻紙も、滲みの実験に役に立ちました。
そうした推測と実験を重ねたところ、納入期限までに時間が少なく念入りな仕事をしたくても出来ない状況だった紙漉き工人の様子まで想像した経緯をお話ししようとおもいます。

 

 

「絵因果経」関連HP
https://www.narahaku.go.jp/collection/757-0.html 
(奈良国立博物館収蔵品データベース)
https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100051&content_part_id=0&content_pict_id=0
(e國寶 国立文化財機構所蔵国宝・重要文化財)

 

 

 

Zoomで配信 オンライン月例会・見学のご案内

◆ 6月オンライン例会
日 時:2022年6月18日(土) 13:30~15:30
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:30 宮内庁書陵部の保存・修補について 第3回
吉野敏武会員 三浦修子会員

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

連続3回シリーズ「和紙宮内庁書陵部の保存・修補について」第二回
                      吉野敏武・三浦修子 会員

このシリーズでは、宮内庁書陵部及び蔵書史料の閲覧・出納業務や、書庫内での保存管理と閲覧停止本の調査などのほか、修補係の史料修補の道具や修補方法を説明することにしています。和紙研には書稜部関係者が3名おり、各業務を担当していた者がそれぞれお話しすることにします。
出納係という資料の管理部分は、元出納係書庫担当の櫛笥節男氏にご説明をいただき、修補係という修補部分に関しては元修補師長の吉野敏武が話した上で、現在修補係員で修補をしている三浦修子氏が簡単な虫損直し方法をお見せすることなど、3回に分けて紹介します。
第3回目の今回は、書陵部の保存利用業務を中心に紹介予定です。