月例会・見学

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 4月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年4月20日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30 会場発表
宍倉ゼミ「和紙と洋紙はどこが違うのか」宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 オンライン発表
「本物の藁半紙を探してー明治時代の新しい和紙ー」
大林 賢太郎 会員 (京都芸術大学)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ
「和紙と洋紙はどこが違うか」
宍倉佐敏 会員

和紙に関係する人々をはじめ和紙販売店、和紙生産者、和紙の文献などの殆どが、楮や三椏・雁皮など長い繊維の紙でも、中国でつくられる竹や稲ワラの短い繊維の手漉き紙でも機械でつくられた和紙風の紙も全てを和紙の範疇に入れていて解り難い。
亜麻やコットンの手漉き紙も木材パルプやワラパルプの機械すき高級印刷紙も新聞紙もトイレットペーパーもプリンター用紙も全て洋紙と称して解り難い。
私は二品の違いを考えた結果、次のような結論を出し多くの人に納得して頂いた。
和紙は植物繊維の持っている特性をそのまま紙にした「自然紙」で、洋紙は植物繊維を金属製の道具を動力で動かし、繊維を膨潤・フィブリル化・切断し、場合により鉱物を混ぜ、澱粉や松脂を加えた「人工紙」
とした。
今セミナーは人工紙と自然紙の違いを詳しく話します。

会員発表
題 名「本物の藁半紙を探してー明治時代の新しい和紙ー」
大林賢太郎 会員

「わら半紙」は私たち世代にとっては学校のプリントのイメージです。しかし、紙質検査をしてみると藁は全く入っていませんでした。その紙の本当の名称は「ざら紙」という下級印刷紙です。
稲藁を原料とする紙は中国の宣紙が有名です。日本では文献上は「藁」を冠した紙名が稀に出てきます
が実物は見つかってはいません。化学薬品で稲藁をパルプ化できるようになったのは19世紀です。洋紙における稲藁繊維の利用は、明治11年に大蔵省印刷局抄紙部がパルプ化実験に成功し翌年抄紙にも成功しました。民間でも日本の製紙王と呼ばれた大川平三郎が米国で見た麦藁の紙にヒントを得て明治16年に実用化しました。これが「わら半紙」の誤解の出発点でした。
そもそも、「半紙」は和紙の大きさを示す名前なので、本来、和紙だったはずです。『土佐紙業史』にその発明についての記述があり、さらにその「藁半紙」の実物を見つけることができました。

【プロフィール】
大林賢太郎 Ohbayashi Kentaro
京都芸術大学歴史遺産学科教授
関西大学文学部史学地理学科卒
1984年~(株)岡墨光堂、(株)文化財保存にて装潢文化財修理に携わり、2006年~京都芸術大学に勤務。2001年~NPO文化財保存支援機構副理事長兼関西支部長
研究分野:装潢文化財、歴史資料(写真、近現代紙資料)の保存修復
著書:『装潢文化財の保存修理 ー東洋絵画・書跡修理の現在ー』,国宝修理装潢師連盟,2015 年、『写真保存の実務』,岩田書院、2010 年等

予告:♠2024 年5月例会は、2024 年5月18 日(土)です。
5 月の前半は山田朗氏(明治大学平和教育登戸研究所資料館長)
『風船爆弾と贋札作り(仮)』
後半は、和紙文化研究会 第35 期・定期総会です。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

4月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは4月15日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/b07679ebb29dc8e088af1b292de86cc3
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年4月15日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 4月15日締切り
振込口座:郵便振替00140‐0‐568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 3月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年3月16日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30 会場発表
宍倉ゼミ「紫式部の使った紙と現代の紙」宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 オンライン発表
増田ゼミ「円山応挙が使った紙」増田勝彦 副会長

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

宍倉ゼミ
紫式部の使った紙と現代の紙           
                            宍倉佐敏 会員

平安時代中期、宮廷で活躍した紫式部。世界最古の長編小説とされる「源氏物語」を書いた作家で2024年のNHK大河ドラマ「光の君へ」でも描かれる注目の女性です。大陸から伝わった紙漉き技術が平安時代にかけてどのように発展していったのか、教養の高い女性である紫式部はどんな紙を使っていたのか、「源氏物語」の中にでてくる「うるわしき紙屋紙、陸奥紙などのふくだめるに…」などの記述から想像する平安時代の紙や紫式部の好んだ紙、当時の紙づくりとも関わりの深い藤原氏と紙など、紙の視点から平安時代に思いを馳せてみませんか。

 

 

増田ゼミ
「円山応挙が使った紙」
                           増田勝彦 副会長

以前の例会で、尾形光琳の紅白梅図屏風の料紙を、状況証拠からでも、ある程度紙の種類を推定できることを話したのですが、今回の話も、有名な国宝円山応挙筆雪松津屏風を直接現物調査をしないまま、その料紙について推定しようとする内容です。
円山応挙作、国宝「雪松図屏風」は、塗り残した紙の地肌で雪の白さを表現していて、さらにその白さが現在まで鮮やかに残っています。また、図版で見る限り、画面に紙の継ぎ手が見えなかった。どうも屏風一扇が一枚の紙に描かれているらしい。応挙は真っ白で大型の紙を選んで雪松図を描いたのでしょう。
大体、絵を描く人は、大型で真っ白なキャンバスを好むのではないでしょうか。
江戸時代の紙の中で、白さの際立っていたのが中国製の宣紙だと思うのです。ところが、中国で買い求めた宣紙についての本に、白さを自慢している文章が見当たりませんでした。紙の性能調査データにも白色度を測定したデータは1カ所だけでした。中国の宣紙工房は、高い白色度が誇って良い性能であることに、まだ気がついていないのかも知れません。
17世紀の長谷川等伯筆松林図の、料紙の継ぎ手から判断すると、大きな中国紙ではなく国産紙を使った様に見えます。念のため国産紙の寸法を「新選紙鑑(享保13年(1728)」にあたってみました。摂津名塩村大間似合が大きな料紙になりますが、巾は1メートルあるものの縦がせいぜい40センチ止まりなのです。
ただ、19世紀の応挙の雪松図は継ぎ手が見えない。 江戸時代に中国からの輸入が盛んになって大型紙の使用も普通のこととなったのはいつ頃からだったのでしょう。
ずいぶん大胆な判断を重ねていますが、和紙文化研究会の実地研修などで紙漉き産地を訪ねてみると、実際に紙を漉く人の手元の動きも見ることができます。紙漉きのそのような動作が、できあがった紙の大きさにも関係あるんだと実感するのです。ですから紙の大きさ調べは、絵描きの問題だけでなく料紙を造っている工房の問題へも話題を広げることになります。
さらに、雪松図の白さについては、ドウサ焼けの問題も考えなくてはなりません。

予告:2024 年4月例会は、2024 年4月20 日(土)です。
宍倉ゼミ「和紙と洋紙はどこが違うのか」
大林賢太郎会員「本物の藁半紙を探して―明治時代の新しい和紙-」

 

 

和紙研オンライン月例会の見学について

3月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは3月11日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/45e6e656c71eb95c895b55ad7d207870

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年3月11日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 3月11日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 2月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年2月17日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール

13:30~14:30 「宇陀紙の歴史と製法」福西正行氏(福西和紙工房)

14:40?15:40
「近現代における裏打紙としての宇陀紙」中野慎之氏(文化庁文化財第一課)

ライブ配信:上記時間の合間で、石川県文化財保存修復工房での寒糊炊きをライブ配信する予定です。

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表1
宇陀紙の歴史と製法           
                       福西和紙工房 福西正行氏

山地水明のこの地で清らかな軟水の山水を使って古くから伝統的な技術・技法を守り続けた宇陀紙を作っている。紙漉きには、48工程もの作業があるがその殆どは手作業で手が抜けない。福西家では、代々和紙を作るなら原料の楮作りからの言葉を守り楮の自家栽培を続けている。草刈りに芽かき、肥料をやったり鹿除けの保護柵を作る等、手間暇がかかるが自家栽培した楮を使うことで吉野の和紙と胸を張って言える。また、黒皮をさくり白楮にした楮を厳冬期の吉野川の清流で晒すと楮も締まるし気持ちもしまる。父の言葉に、伝統の技は、つづけて、つたえて、つなげなあきません。手漉き和紙の技が他の伝統を支え他の伝統の技が手漉き和紙を支えてます。一つの技が消えると複数の技が消える。だから途切れさせたらあかん。次の世代の為にも続けないけません。しかし、かたくなに昔ながらのやり方で伝統を守るのは容易なことではないとあります。
父より受け継いだ木灰煮による煮熟。古来から続けられてきた木の灰(樫・櫟)の木灰汁で時間をかけてじっくり楮を煮る。失敗も繰り返したが今では安定して上手く煮えるようになった。手打ち(紙素打ち)作業は、機械なら10分で終わる作業を1日漉く紙素を2時間手打ちする。この作業をすることで粘りのある強靭な紙に仕上がる。天日干し作業は、江戸時代より大切に使い続けられている松板に1枚ずつ天日干しをする。太陽の自然の光でゆっくりと乾燥した紙はくるいが生じにくいとされている。このように古い伝統に裏付けられた吉野の宇陀紙は紙に粘りがあるのが特徴で柔らかくも強靭なので国内外の国宝級の掛け軸の総裏紙に使用される。父が昭和55年から初めた町内の小学校の卒業証書作りを受け継ぎ14年前からは幼稚園3年前からは中学校の卒業証書も製作するようになり、また県内県外へ出向いて卒業証書や二分の一成人式用の証書作りの指導に行っている。昨年度は、奈良県で開催された全国豊かな海づくり大会の証書を製作した。子供達に和紙作りを実際に体験してもらったり遠足などで見学に来てもらうことで伝統産業や郷土に対する興味や理解を深めることに努めている。現在国内の国立博物館内で修復している国宝修理装?師連盟に木灰煮宇陀紙を供給させてもらうことで、木灰煮宇陀紙を使う側と作る側が意見を直接交換したり、研修に参加させて頂いたり、家まで見学に来て下さったりといろんな専門分野の方からの話を聞くことで、古い伝統の裏付けを確信することができ、製作意欲もわいてきている。また、ボストン美術館や韓国の三星美術館にも木灰煮宇陀紙を使って頂いているのを始め、ルーブル美術館、大英博物館より紙の修復家がほぼ毎年見学に来られていて、2012年にはルーブル美術館の修復作業現場と大英博物館の平山スタジオに見学に行かせて頂き貴重な体験をすることができた。
吉野で採れる白土を紙に漉きこむことで防虫効果があり、また紙が呼吸して自ら湿度を調節するといわれている。紙漉きは熟練の技術が必要であるし、紙漉きに使う簾も竹素材ならいくらでも出回っているが、宇陀紙は白土を入れて漉くので竹簾では滑ってしまうので、細い萱を編んだ萱簾が必要である。萱簾を作る職人がいないので、道具を新調するのも苦労している。しかしながら、全国手漉和紙用具製作技術保存会の皆さまの熱心な取り組みにより意見交換させて頂き萱簀の確保及び後継者も育てて頂き先行きが明るくなりました。私たち、紙漉き職人も良い道具がないと良い紙が漉く事が出来ません。今後とも、漉き手と用具の方々の連携が必要不可欠な事だと思います。

【プロフィール】
福西正行〈Masayuki FUKUNISHI〉
福西和紙本舗 6代目。昭和59年大学卒業後、家業の紙仕事に従事。国内外の美術館、博物館に修復用の和紙を納めるほか、お寺やショップの壁紙の作成、奈良県内の伝統工芸の授業で紙漉体験教室の開催、卒業証書・表彰状の作成などを行う。
平成27年 奈良県伝統工芸士、表具用宇陀紙選定保存技術保持者に認定。

1 漉く 簀 桁
2 漉く 汲上げ
3 漉く 揺すり
4 紙床へ
5 板貼り(天日干へ)

招聘講師発表2
「近現代における裏打紙としての宇陀紙」
                    文化庁文化財第一課 中野慎之氏

東洋の書画の存立基盤ともいえる表装の文化にとって、とりわけ裏打の技術は大きな意味を持ちます。その一方で、裏打や裏打紙の過去の実態については未解明な点が多いように思われます。裏打紙として重視されている宇陀紙や美栖紙の技術は、選定保存技術の制度が発足してまもなく選定・認定されますが、当時にはすでに「整然とした表具の方法がいつ確立したかがはっきりしない」と言われていました。本発表では、宇陀紙を中心に、裏打がかつてどのように行われていたのか、近現代における技術と材料の展開をたどってみたいと思います。(『書物学』23号〔勉誠出版、2023〕所収の拙稿をあわせてご参照ください)

【プロフィール】
中野慎之〈Noriyuki NAKANO〉文化庁文化財調査官(絵画部門)。京都府教育庁文化財保護課(絵画・彫刻・工芸品担当)を経て現職。
編 著
『日本の表装』(共著、京都大学総合博物館・京都文化博物館、2016年)
『保存と修理の文化史』(共著 京都文化博物館 2018年)
『古社寺保存法の時代』(共著 同 2019年)
『道具と材料の職人譜』(共著 同 2019年)
『日本の表装と修理』(共編 勉誠出版 2020年)
『近代京都日本画史』(共著 求龍堂 2020年)

予告:2024 年3月例会は、2024 年3月16 日(土)です。
宍倉ゼミ「紫式部の使った紙と現代の紙」
増田ゼミ「円山応挙が使った紙」 

 

和紙研オンライン月例会の見学について

2月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは1月12日となりますのでご注意ください。

申込方法:

1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。  https://sgfm.jp/f/1aaa7702ba73161d725bae7476b4a195

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

→→→ 

申込期間:2024年1月12日(月)まで

参加人数:40名まで(申込み順です)

見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の

明記がない場合は、受付・配信はできません。

見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)

見学料金:例会1回あたり500円

料金支払:事前振込制 1月12日締切り

振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 1月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2024年1月20日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30 宍倉ゼミ「お札のひみつ」        宍倉佐敏 会員

14:40~15:40 会員発表 「原料及び製造工程の違いが楮紙の特性に及ぼす影響について」                    有吉正明 氏(高知県立産業技術センター)

 

ライブ配信:上記時間の合間で、石川県文化財保存修復工房での寒糊炊きをライブ配信する予定です。

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

宍倉ゼミ「お札のひみつ」  
宍倉佐敏 会員

日本のお札の原料にも和紙の原料のひとつ三椏(みつまた)が用いられています。
「 お札の始まりっていつから?」
「 昔はどんなお札だったんだろう?」  などなど
江戸時代の藩札から現代のお札まで日本のお札の歴史や紙幣に隠されているたくさんの技術などのヒミツをお話します。

 

 

招聘講師発表                        
「原料及び製造工程の違いが楮紙の特性に及ぼす影響について  
                高知県立産業技術センター 有吉正明 氏

生活様式の変化により和紙の需要は減少し、現在は日常的な和紙需要は皆無となっています。そのため、和紙の需要を増やすためには、和紙がどこで使用されており、使用者が求めるニーズを把握し、そのニーズに合わせて製品開発をしていくことが不可欠と考えられます。 そのためには、和紙の原料や製造方法が最終的に製造される和紙の特性にどのような影響を及ぼすかを製造者が把握し、用途に合った特性を持つ紙を製造することが重要です。また、和紙製造者が製造工程の意味を説明できるようになることは、より多くの方に和紙に対して興味を持っていただくきっかけになると思われます。
本発表では、紙の特性に影響を及ぼすと考えられる製造工程のうち、原料の種類(土佐楮、那須楮)、加工方法(白皮、六分)、煮熟剤(炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム)の違いや、楮紙に含まれる微細組織が楮紙の物性に及ぼす影響について分析した結果について報告します。

 

プロフィール

有吉 正明(Masaaki ARIYOSHI)

2001年 信州大学大学院工学系研究科機能高分子学専攻修了

2003年 高知県庁入庁

現在、高知県立紙産業技術センター勤務 主任研究員 主な業務として、高知県内の製紙会社や手漉き和紙業者に対する技術支援、紙の分析、相談業務、研修等の人材育業務を実施。和紙の分析に関して光学顕微鏡を用いた紙文化財の繊維分析を行っている。

 

1 高知県立紙産業技術センターの外観

2 那須楮(白皮)の外観

3 土佐楮(白皮)の外観

予告:2024 年2月例会は、2024 年2月17 日(土)です。
『 福西正行氏(福西和紙工房)「宇陀紙の歴史と製法」』
『 中野慎之氏(文化財文化財第一課)「近現代における裏打紙としての宇陀紙」』

 

和紙研オンライン月例会の見学について

1月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは1月15日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/b740040f30f84f202aa3f107a466af03
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2024年1月15日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 1月15日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 12月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年12月16日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30
稲葉ゼミミ「楮紙の製造法と耐久性」
14:40?15:40
会員発表 「石川県文化財保存修復工房における修復作業について」
広部茂紀氏(石川県文化財保存修復協会)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

楮紙の製造法と耐久性           
                            稲葉政満 会長

楮皮に含まれているセルロースとヘミセルロース、そしてこれら多糖の酸あるいはアルカリによる分解機構について解説する。ついで、高知県紙産業技術センターで煮熟剤(木灰、ソーダ灰、石灰、苛性ソーダ)を変え、これに苛性ソーダ煮熟後漂白したものを加えた楮紙を特別に製造していただき、この楮紙を16週間湿熱劣化(80℃、65%rh)処理して、その劣化しやすさを評価した結果について発表する。

 

会員発表
石川県文化財保存修復工房における修復作業について  
                        広部茂紀 会員

石川県文化財保存修復工房は平成9年に石川県立美術館に隣接する建物(旧大
学施設の一部)の2Fエリアに美術館の付属施設として開設されました。時を経て建物の老朽化により平成28年4月美術館の広阪別館横に新築移転し、一般財団法人石川県文化財保存修復協会として現在に至るまで文化財の修理を行ってまいりました。この施設は見学スペースを設けており、一般の方々が常時見学することがでる公開施設となっています。
北陸地方において文化財保存修理の重要な拠点となるべく現在まで実績を重ねてきました。文化財の修理を行う上で材料となる和紙は切っても切れない重要な存在と言えます。今回の発表では修復工房での実際の作業について写真を交えながらご紹介しようと思っております。

■プロフィール 
広部茂紀(Shigeki HIROBE)
平成9年 有限会社 中越商事入社。
平成13年 石川県文化財保存修復工房にて修復作業に従事。
令和6年 石川県文化財保存修復協会専務理事就任、現在に至る。

1 修復室(見学スぺースから)
2 施設全体(修復工房側から)

予告:1月の例会は2024年1月20日(土)です。
◇ 宍倉ゼミ 宍倉佐敏会員「お札のひみつ」
◇ 招聘講師発表 有吉正明氏(高知県立産業技術センター)
「原料及び製造工程の違いが楮紙の特性に及ぼす影響について」です。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

12月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは12月11日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/8273386b098b3702fd523e409c40ec59
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年12月11日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 12月11日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 11月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年11月18日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30
会員発表「抄紙会社150 年 ―洋紙発祥の地・王子」 山口紘加 会員
14:40~15:40
「八女手漉き和紙の特徴と、これまでの活動」 溝田俊和氏(溝田和紙)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
【注意】11月18日(土)山手線内・外回り線路切換工事に伴う列車の運休について
山手線外回りの大崎~渋谷~池袋間のすべての列車を運休し、その他区間でも本数を減らして運転します。埼京線・湘南新宿ラインや運転本数が減少する山手線の混雑が予想されますので、会場参加の方はご注意ください。※悪天候等により工事を実施できない場合は、12月に延期となります。(詳細はJRにご確認ください)

抄紙会社1 5 0 年―洋紙発祥の地・王子            
                            山口紘加 会員

今年2023年は、洋紙を製造する会社「抄紙会社」が、渋沢栄一の提唱によって明治6年(1873)に設立されてから、150年となる節目の年です。明治8年に東京・王子にできた抄紙会社の工場は、後に王子製紙(株)王子工場となりました。現在、工場跡地には「洋紙発祥之地」記念碑が建ち、当時の面影を伝えています。
抄紙会社は、王子ホールディングス(株)、日本製紙(株)のルーツとしてだけでなく、近年は、渋沢栄一が手掛けた多くの会社のひとつとして、また、地元北区の近代的産業のさきがけとしても、改めて注目されています。
紙の博物館では、今秋、日本の近代製紙業の原点ともいえる抄紙会社のあゆみと、東京・王子の工場跡地が洋紙発祥の地として受け継がれた歴史を紹介する企画展を開催しています。(12/17まで)本発表では、この企画展の内容と見どころをご紹介します。そして、王子工場に由来を持つ当館の沿革についてもお話いたします。

【山口紘加 プロフィール】
紙の博物館学芸員。2006年より現職。
企画展「抄紙会社150年 ―洋紙発祥の地・王子」担当。

関連Web
抄紙会社設立150年特設ページ -紙の博物館- Paper Museum
https://papermuseum.jp/ja/syoshigaisya150/

①開業式で飾られた小旗 明治8年(1875)

②錦絵「古今東京名所 飛鳥山公園地王子製紙会社」明治16年(1883)/歌川広重(三代)画
③王子製紙(株)王子工場平面図 昭和9年4月現在、昭和16年11月訂正
④航空写真「王子製紙(株)」昭和10年(1935)頃
⑤チラシ表
⑥チラシ裏

 

 

招聘講師発表                        
八女手漉き和紙の特徴と、これまでの活動      
                             溝田俊和氏

1.八女和紙の歴史
八女和紙の始まりは、おおよそ724年以降と言われています。
738年筑後国から送られた正税帳が残っています。
702年に筑前、豊前、美濃の戸籍用紙が保存されていますが、もしかしたら、
八女の豪族の筑紫野磐井は、新羅との交流もあった事を思うと紙がこの時代
に見られていたのではないのか、憶測も出来ます。
2.八女和紙の製紙技術
八女手漉き和紙の大半は、苛性ソーダで煮熟して漂白する和紙が主です。
その中で、自分は、肥後かご(楮)未晒しの紙を作っています。
作り方簡単に説明します。(皆さんは、よくご存知の事なので簡単に)
3.八女手漉き和紙の特徴と久留米大学の文化財保存科学部会での活動とIPM
の勉強
八女和紙の特徴と言ったら長い物で4cm以上ある繊維です。大半は、1cm~1.5cmです。今回、楮のシュウ酸カルシュームを久留米大学生物学の大沼先生に調べて頂きました。それを少しお話しします。

溝田和紙関連Web
http://ww7.tiki.ne.jp/~aloha/
https://note.com/ippoupcycle/n/n9397f280b94a

 

 

予告: 12 月例会は、2023 年12 月16 日(土)です。
◇【稲葉ゼミ】「楮紙の製造法と耐久性」 稲葉政満会長
◇ 【会員発表】「石川県文化財保存修復協会における修復作業について」
廣部茂紀会員(石川県文化財保存修復協会) 

 

和紙研オンライン月例会の見学について

11月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは11月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/e7ebab98f0d0f737309ba2ea4b4d8480

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します
QRコード画像

申込期間:2023年11月13日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 11月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 10月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年10月21日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:30~14:30
増田ゼミ「尾形光琳が紅白倍図を描くために選んだ和紙」 増田勝彦 副会長
14:40~15:40
会員発表「江戸大伝馬町と伊勢店(いせだな)、小津清左衛門物語」
松浦節也 会員

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

 

増田ゼミ「尾形光琳が紅白倍図を描くために選んだ和紙」
                           増田勝彦 副会長

MOA が所蔵する尾形光琳作紅白梅図屏風の科学的調査の結果、金箔だと思われていた箇所で金箔とは思えない分析結果が発表されて、大きなニュースになりました。その後2次調査が行われて、今度は金箔と判断して良いとの結果が出ました。世間では金箔論争として賑やかでした。
私は紙の専門家として2次調査の際に実物料紙の調査をしました。繊維分析はしてませんが、紙面の寸法は当時流通していたであろう料紙の寸法と比較するのに有効で、表面の表情は原料センイのある程度の推定が可能です。また、紙表面には紙が完成するまでの工程で固定された痕跡などを見つけることが
あります。
今回の例会では、それら観察して得た事実を総合して、紙の種類を推測した手順について話をする予定です。
話を準備するに当たって再認識したのは、普段から種々の和紙を直接手で触ったりした上で、各地の紙漉き場の見学を重ねている、和紙研会員としての活動から導かれた推測の手順の大切さでした。

「江戸大伝馬町と伊勢店(いせだな)、小津清左衛門物語」
                            松浦節也 会員

紙商小津は承応2(1653)年、江戸大伝馬町一丁目(現本社ビル所在地)で、伊勢松坂から出府した小津清左衛門長弘によって創業されました。
小津は和紙の伝統を大切に守り育ててきましたが、同時に時代の変化にも対応しながら様々な事業を営んできました。
昭和4(1929)年、松阪の創業家は事業から手を引くこととなり、江戸以来の東京三店の経営はそれぞれの番頭や店幹部に委ねられ、法人化しました。合資会社となった小津商店(1978年、株式会社に変更)は今までの「和紙の小津」の仕事を引き継ぎ、今日に至りました。
本年は創業370周年節目の年となりますので、その歩みを簡単に振り返ってみたいと思います。

■ プロフィール 
松浦節也〔Setuya MATSUURA〕 
小津史料館 館長
小津産業㈱を退職後、2005年より㈱小津商店・小津史料館に勤務。

予告: 11 月例会は、2023 年11 月18 日(土)です。
◇「抄紙会社1 5 0 年―洋紙発祥の地・王子」山口紘加氏(紙の博物館)
◇ 「八女和紙について」(仮) 溝田俊和氏(溝田和紙)
を予定しています。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

10月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは9月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
 https://sgfm.jp/f/44b00fade76e40b7346a590af87a0c2a

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年10月18日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 10月18日締切り
振込口座:郵便振替001400-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 9月例会(オンライン・一部会場)

日 時:2023年9月16日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ

タイムスケジュール
13:3~14:30
宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物:第7回『ワラ紙と茎幹繊維紙の研究』」
宍倉佐敏 会員
14:40~15:40
稲葉ゼミ「紙の保存性評価のための強度試験」 稲葉政満 会長

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
                                     

宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物:第7回『ワラ紙と茎幹繊維紙の研究』」     
                            宍倉佐敏 会員

水田のアゼ道に沿って早乙女( さおとめ) と呼ばれる女性たちが一列になって、稲の苗を植えている田植えの光景を近年は見る事が出来ない。全て機械化され稲の刈り入れまでも機械が行っている。これでも今もワラは紙になっている。
ワラはいつ頃からどの様な紙に使われたのか、記録によると奈良時代にはワラの紙はあったらしいが紙その物は無く、その製法もよく解らない。
ワラパルプで各種の洋紙を製造した経験から、和紙にワラをどの様に使ったかを知りたくて、歴史や製法を検討してみた。中国では7 世紀にワラが紙に使われ書の紙として好評であった、それは何故であるか、ワラの持つ成分がどの様な影響を与えているのかを考える。
海外ではワラと同じ茎幹繊維の紙が多く使われている、その代表的なバガス・エスパルト・ムギや草類も調べてみた。

【参考文献】『和紙文化研究第8号』宍倉佐敏「ワラ紙と茎幹繊維紙の研究」1999年刊

新講座が始まります
稲葉ゼミ「紙の保存性評価のための強度試験」     
稲葉政満 会長  

私の和紙に関する研究を振り返ってほしいとの希望がありましたので、今まで和紙研で発表してきた内容を再度行うことにしました。その第1回目として、和紙の保存性評価に用いられる強度試験についての基礎的な内容をお話することといたします。

予告:10月の例会は10月21日(土)13:30~
◇増田ゼミ「尾形光琳が紅白梅図を描くために選んだ和紙」増田勝彦 副会長
◇ 会員発表「江戸大伝馬町と伊勢店、小津清左衛門物語」松浦節也 会員
を予定しています。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

9月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは9月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
 https://sgfm.jp/f/009244d9dcf74acd4ec7b660e85ef80f

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年9月13日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 9月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

で配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 7月例会(オンライン・一部会場)
日 時:2023年7月15日(土) 13:30~16:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
タイムスケジュール
13:30~14:30
宍倉ゼミ「和紙と植物の深い関係~植物学者・牧野富太郎博士との関わり~」
宍倉佐敏会員
14:40~15:40
「水俣の一代紙漉き金刺潤平の紙漉きと不知火海東海岸の伝統的紙漉き」
金刺 潤平 氏(水俣浮浪雲工房)

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ『和紙と植物の深い関係~植物学者・牧野富太郎博士との関わり~』     
                            宍倉佐敏 会員

和紙とは植物繊維の持つ性質をそのまま生かした「自然なもの」。
ゆえに、和紙の本質を理解している和紙の研究者は植物の特性について研究し、植物博士である牧野富太郎博士の説明や解説を重んじてきました。
和紙研究の書籍として有名な「日本の和紙」の著者、寿岳文章氏も牧野博士の文章を引用し解説しています。
和紙作りにおいて欠かせない植物について、NHK 朝ドラ「らんまん」で注目されている牧野富太郎博士の解説を混じえてお話しします。

招聘講師発表                        
「水俣の一代紙漉き金刺潤平の紙漉きと不知火海東海岸の伝統的紙漉き」  
                    水俣浮浪雲工房 金刺 潤平 氏

工芸と何の縁も無かった自分は、石牟礼道子さんから、胎児性水俣病患者と紙漉きと言う仕事を興して欲しい、水上勉さんから、人間の価値判断で放り出されている植物に魂を吹き込むような仕事を目指せと二つの課題を抱えて39年間紙漉きを続けてきた。(画像①②)
始めてはみたが、自分たちが目指す仕事が見定まらない。暗中模索を続ける中、紙漉きの先輩たちが縁付けてくれたのは、非木材パルプの研究者大川昭典さんだった。師から繊維についての基礎や紙漉きの歴史を様々な角度から学んだ。水俣と言う場は、様々な縁を繋いでくれた。アマゾンでの就労の場作り(画像③)、サマルカンドのシルクペーパーの復元復興支援(画像④)、国内での様々な植物からの紙漉き。オリジナルな紙素材の開発。(画像⑤⑥⑦)地元不知火海沿岸は、古代において大陸や朝鮮半島と交流交易があり、様々な工芸が行われ、江戸期の封印された時代を経て、その片鱗が残る。紙は、原始布のボロを書くものではなくシートなどの生活用具用に漉いたようだ。(画像⑧)
近代化の中で和紙に求められる役割が変わってきた。仕事は、植物の繊維化、和紙のための原料処理、紙漉きと三要素からできあがっていた。

■プロフィール
金刺潤平〔Junpei KANAZASHI〕(本名:順一)
1959年 静岡県沼津市生まれ。
1983年 上智大学理工学部卒、同時にJY VA一年間派遣ボランティアとして水俣へ。
1984年 作家石牟礼道子氏の勧めで紙漉きを始める。熊本・宮地和紙の宮田寛氏、福岡・八女和紙の松尾成幸氏に手ほどきを受け、水俣浮浪雲工房主宰し、胎児性水俣病患者らと紙漉きを始める。高知県立紙産業技術センターの大川昭典氏と出会い大きな影響を受け、現在も師弟関係の交流を続ける。
【国内活動】
イグサの製紙原料繊維化技術、無廃棄物イグサパルプの開発等の特許を取得。高機能壁紙「かみいぐさアイビーウォール」を開発。立体紙、葦紙、杉皮紙等をさまざまな紙を作成。
【海外活動】
インドネシア・バリ島、ドイツ・ハノーバー、マレーシア・サラワク、ブラジル・アマゾン等でワークショップを実施。JICAの事業としてブラジル・アマゾン(環境と貧困をテーマにした「アマゾンの天然繊維を利用した住民の生活向上プロジェクト」:2001年~2008年)、ウズベキスタン(サマルカンドペーパー復元復興事業:2008年~2013年)へ関わる。
【その他】
本願の会事務局長(1994年~)、九州大学大学院言語文化研究所非常勤講師(2004年~2006年)、NPO植物資源の力理事長(2012年~)、実生の森実行委員会委員長、水俣市国際交流協会会長(2017年~)、熊本県伝統工芸協会会長(2020年~)熊本県伝統工芸師、水俣市環境マイスター、森の名人(紙漉き)

① 工房初期1
②工房初期2
③アマソンて紙漉

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④サマルカント・シルクヘーハー打紙・紙砥
⑤海苔も植物
⑥オリシナル素材織紙
⑦イ草て作ったかみいくさアイヒーウォール
⑧㉀貼り合わせて穀物袋にした150年前の紙

和紙研オンライン月例会の見学について

7月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは7月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/59b3e7b8528125d53c14a071662e916f

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年7月13日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 7月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 6月例会(オンライン・一部会場)
日 時:2023年6月17日(土) 13:30~16:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第6回」 宍倉佐敏会員
14:40~16:00「ガンピの人工栽培-増殖法と栽培について―」今井三千穂氏

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ『和紙原料に使う植物 第6回「竹と竹紙の研究」』     
                            宍倉佐敏 会員

竹は日本の各地に繁殖している、 人々はこれらの竹を利用して家具材や生活用具、工芸品などの他に楽器などを作っている。
竹類の種類は多くあり、大きくは笹類・竹類・バンブーに分けられる、 この違いは?
竹紙は中国産の貴重な紙であったので長い間その製法は秘密にされていたが、 近年中国の色々な情報が公表され、 歴史と共に竹紙に関する文献も発表されて竹紙の製法が明らかになった。 その記録によると若竹を割り石灰液を加えた池に漬け置き、レッチング ( 発酵精錬) して軟化させ、 臼で繊維を分散して
繊維化する製法で紙にするまで4 から5 カ月を要した。
台湾もほぼ同様の製法であるが石灰の使用はない。 日本ではレッチングによる製法の竹紙は無いので、私は庭でレッチングして竹紙や、筍の皮の紙を作った。
【 参考文献】
宍倉佐敏「竹と竹紙の研究」『和紙文化研究会』第7号 1999 年刊

 

 

招聘講師発表                        
「ガンピの人工栽培 ―増殖法と栽培についてー」  
                         樹木医 今井三千穂氏

古来栽培が困難また不可能とされてきたガンピの増殖法と栽培を解明し、ガンピの人工栽培技術の体系を確立したので、その要点について述べる。野生のガンピは有性・無性繁殖によって更新を繰り返している。人為的な繁殖は種子を用いるのが最も有効であるが、種子はそのまま播いたのでは発芽が極めて悪いので,発芽促進処理として温度シフト処理(一定量の水分を含んだ土中埋蔵中の種子を取り出して水洗し、直ちに55℃の湯に1分間浸漬後冷却する)を見いだした。播種年に多くの苗木を生産するにはこの発芽促進法は不可欠である。また、無性繁殖にはさし木・根ざし・とり木方法などで苗木を作ることができるが、いずれの方法とも発根促進剤を用いることが必要である。無性繁殖は種子の凶作時に有効な方法である。苗木の移植栽培については密植多収栽培法を確立しているので、この栽培法によるガンピの栽培環境・生長・初刈り収量(黒皮・白皮)・歩留まりなどについて述べる。

■プロフィール
今井三千穂 〔Michiho IMAI〕 岐阜県本巣市出身
昭和45年3月 東京教育大学大学院農学研究科(修士課程)終了
昭和45年4月 福井県庁入庁後
       福井県立短期大学助教授 福井県総合グリーンセンター林業試験部長
平成18年3月 福井県庁退職。退職後樹木医として主に福井県内で活躍中

参照Web http://fukui-ringyou-fukyu.net/?page_id=76福井県山林協会

https://fncc.pref.fukui.lg.jp/wp-content/uploads/2016/05/3926eadab9be2ada9a4ec8a157958a7d.pdf 福井県森林保護センター
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/green-c/morikenn_d/fil/019.pdf 福井県総合グリーンセンター
http://washiken.sakura.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/50786bfe4074205950f4c40c5fd937561.pdf 越前生漉鳥の子保存会
http://www.nature.museum.city.fukui.fukui.jp/shuppan/tayori/newsletterNo.341.pdf  福井市自然史博物館

1 種子 左:温湯処理 右:無処理
2 発芽状況 55℃と無処理
3 発芽ホット 2
4 発芽ホット 3
5 畑栽培 植付4年目 福井県丸岡町
6 畑栽培 植付6年目 福井県丸岡町
7 生育調査 長さ 福井県丸岡町
8 人工栽培取組みナシオン 2017年 兵庫県名塩

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和紙研オンライン月例会の見学について

6月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは6月13日となりますのでご注意ください。
なお、総会は会員のみの参加となりますのでご了承ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。

https://sgfm.jp/f/ffb7012e0e6d0ecd836c2e110451ca1a
 
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年6月13日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 6月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0ー568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 5月例会(オンライン・一部会場)
日 時:2023年5月20日(土) 13:30~16:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:00「㈱山路製紙所と越前和紙の産地紹介」山路勝海 会員
        ※この後は会員のみの参加となります。
15:10~16:10 第34回定期総会

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
         

会員発表
題 名 「(株)山路製紙所と越前和紙の産地紹介」     
                             山路勝海氏

(株) 山路製紙所は越前和紙(福井県越前市)の機械抄き和紙メーカーです。
屋号は嘉右衛門(カヨモン)。主力商品は無地の襖紙『特漉( 壱~四) 号紙』です。襖紙の流通業者・表具店では「ヤマカ 特漉(とくずき)」として広く認知され、永年のご愛顧をいただいています。
和紙文化研究会には福井県和紙工業協同組合が会員として参加させていただいており、今回のお声掛けをいただきました。当日は組合のweb サイトを表示しながら以下のように2部構成で発表を進めます。
質疑応答では会員の方々とのざっくばらんなお話ができましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

第1部 (株) 山路製紙所の紹介
https://echizen-washi.com/people/washimakers/washimakers-807/
①工場沿革
②製品紹介
③原料仕込み・設備・抄紙工程など、動画を交えて解説
④質疑応答

第2部 越前和紙の産地紹介
①産地と歴史
歴史:https://echizen-washi.com/heritage/place/
②和紙紹介
原料:https://echizen-washi.com/heritage/material/
技法:https://echizen-washi.com/heritage/technique/
和紙一覧:https://echizen-washi.com/washi-archive/
和紙検索:https://echizen-washi.com/bespoke/
③質疑応答

関連web:https://echizen-washi.com/

山路 勝海(YAMAJI Katsumi)
昭和50 年(1975) 生まれ (株) 山路製紙所 代表取締役(福井県和紙工業協同組合員)
製品を酸性紙から中性紙へ転換する際にさまざまな著書に出会い、手漉き和紙と和紙研究に魅了された。好きな言葉は「温故知新」

1、原料仕込み
2、抄紙機
3、越前和紙の一覧

 

 

紙研オンライン月例会の見学について

5月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは5月17日となりますのでご注意ください。
なお、総会は会員のみの参加となりますのでご了承ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/89889e69d2a1043b75c24312ec79757c
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年5月17日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 5月17日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 4月オンライン例会
日 時:2023年4月15日(土) 13:30~15:30
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:30「明治の和紙を変えた技術と人々-高知県・吉井源太の活動-」
村上弥生氏
15:40 退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表
題 名 「明治の和紙を変えた技術と人々 -高知県・吉井源太の活動-」
                             村上弥生 氏

和紙の歴史は大変古く、多くの顔を持ちます。この中で、現代の多くの和紙や、機能紙と呼ばれる特別な用途のための紙に関心を持って研究をしています。その基礎をつくることに大きな力を発揮したのが、高知県の吉井源太でした。幕末から明治期を通して行われた吉井源太の活動について研究し、まとめた
のが標題の著書です。
源太の残した日記を読み解くことによってわかったことを、紙や技術の開発、各地への技術指導、販路と組織形成、受賞や交流という枠でいくつかの章にまとめました。今回は、紙の開発に関連する内容のご紹介を中心として発表します。また、現在Facebook で行っている、源太の日記の内容紹介についても少しご案内します。

発表内容は、以下のようになります。
1. 吉井源太とはどういう人か-その背景としての御用紙漉き
2. 吉井源太の活動の全体像
3. 吉井源太の開発した器具と各種の紙について
4. 吉井源太の原料増産のための取り組み
5. 吉井源太による混合物等の種類拡大
6. 現在行っている日記の内容紹介について
【参加文献】
『明治の和紙を変えた技術と人々 高知県・吉井源太の活動』 南の風社 2020 年

■プロフィール
村上 弥生 氏
奈良女子大学修士課程修了後、短期大学勤務。家庭経済学、家族心理学などを講義する中、日本人のあり方についての関心に基づいて、山村民俗学としての「生業」分野の研究をおこなってきた。日本文化論なども講義内容に加えて、短大や大学で勤務した後、博士後期課程に編入学、学位論文のテーマを、山村の生産物であり、現代にも大きな意味を持って存在している和紙とした。在学中は、高知県吾川郡いの町(現在)の吉井源太の日記を読み解くことにより、明治期に開発された和紙の新しい種類や原料の開発についての研究を中心として、伝統的和紙生産とその産地、明治期の洋紙生産の状況と和紙製造への機械の導入の歴史などについて研究を行った。これらをまとめて、論文「明治期における和紙製造の技術開発とその展開」を提出して2009年に京都大学博士(農学)の学位を授与された。2007年にいの町紙の博物館で開催された「吉井源太 没後百年記念展」以来、9回の企画展の監修及び関連講演を行ってきた。また吉井源太の業績を紹介する内容を2008年に連載した高知新聞の記事を中心としてまとめ、2020年に上記著書を出版した。吉井源太の業績を意味づけ、さらに明治期の和紙製造の歴史を世界史などの視点も加えて明らかにすることを目標として考察を継続している。

-書籍『明治の和紙を変えた技術と人々 高知県・吉井源太の活動』

 

和紙研オンライン月例会の見学について

4月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは4月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/4bd5d988704c92ac30620c49c5f3b8b3
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年4月13日(木)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の
明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円
料金支払:事前振込制 4月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 3月オンライン例会
日 時:2023年3月18日(土) 13:30~16:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:30 「パピルスの歴史・製造・修復について
-東海大学のパピルスプロジェクトを中心に-」
小野智仁氏(国立国会図書館 洋装本保存係員)
16:00 退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

招聘講師発表
題 名 「パピルスの歴史・製造・修復について
             -東海大学のパピルスプロジェクトを中心に-」
      国立国会図書館収集書誌部資料保存課洋装本保存係員 小野智仁

パピルスは古代エジプト世界において人々の生活と密接に関わり、多種多様な用途で利用されていました。その中でも記録媒体(パピルス紙)としての利用が最も盛んで、様々な内容が記されたパピルス文書が作成されました。
現在では世界中の博物館や図書館、大学などの研究機関が所蔵しており、日本においても例外ではありません。パピルス文書の保存状態は様々ですが、基本的に劣化が著しく、研究者による解読や博物館展示などの活用を行う前には保存処置が必要になります。
本発表ではパピルスの歴史や製造方法に触れつつ、本邦最大規模のパピルス文書コレクションを有する東海大学での「パピルスプロジェクト」を中心に取り上げ、その中で培われたパピルス文書の保存修復についてお話いたします。

■プロフィール
小野 智仁
国立国会図書館収集書誌部資料保存課洋装本保存係員。
東海大学文学部歴史学科考古学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界遺産専攻修了(修士:学術)。令和2年度博物館・美術館保存担当学芸員研修、文化財修復技術者のための科学知識基礎研修(令和3年)を修了。藤沢市生涯学習部郷土歴史課非常勤職員を経て現職。
専門はパピルス文書及び図書館資料の保存修復。文化財IPMコーディネータ、文化財虫菌害防除作業主任者。

1 パピルス

2 修復風景

 

和紙研オンライン月例会の見学について

3月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは3月16日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
   https://sgfm.jp/f/1ce518f8a0d2b5ca8599f502cf6e6633
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年3月16日(木)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 3月16日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 2月オンライン例会
日 時:2023年2月18日(土) 13:30~15:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第5回」 宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 「家庭紙卸から紙の温度へ」
花岡成治会員(紙の温度(株)代表取締役)
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。
                                     

宍倉ゼミ 『和紙原料に使う植物 第5回
     「麻の研究に使われてる麻の種類と特徴」』
                            宍倉佐敏 会員

古代から神事をはじめとして人々の衣料用の織物として広い用途に使われてきた床は、綿の栽培が始まる前の繊維資源として最も貴重で重要なものであったと思われる。
アサは広い意味では繊維原料になる植物の総称で狭い意味ではクワ科の大麻(たいま) をさす。
中国では大麻のほかイラクサ科の苧麻(ちょま)、アオイ科のイチビやケナフなどがあるがアサとは大麻であった。苧麻は日本にも自生し栽培記録は少ない。
ヨーロッパにはアマ科の亜麻(あま) があり衣類の他にいろいろな織物にも使われている。
日本では漁網や綱・紐などに使われる葉鞘繊維のバショウ科のアバカ(マニラ麻)・バナナ(芭蕉) やヒガンバナ科のニュージーランド麻も麻と称し紛らわしいのでこれを整理して、紙の原料として代表的な中国の大麻 日本の苧麻 ヨーロッパの亜麻葉鞘繊維のマニラ麻の特徴などを検討した。

【参考文献】宍倉佐敏「麻の研究」『和紙文化研究会6号』〈1998年12月〉

 

会員発表                        
「家庭紙卸から紙の温度へ」
                           花岡成治 会員

昭和17年11月20日出生(名古屋市熱田区) 1942年。
大平洋戦争の熱田大空襲で店舗、倉庫、自宅全焼(昭和20年3月) 。
父は徴用、母と祖母に乳母車で帳面と一諸に疎開。
一人っ子の為、幼少より祖母に家業を継ぐと云れ続けた。
高校卒業(愛知県立明和高校)後、修業見習せず花岡紙店に入社。
洋紙、和紙、家庭紙の特長のない紙卸商から家庭紙に方向性を定め、量販店との取引が早かった為、順調に年商40億円を越えるまでに成った。その後、量販店同士の合併や倒産など大混乱になり、家庭卸は他社にM&Aし、和紙を中心とした小売専門店を1993年3月紙の温度としてスタート。その後海外の輸入紙、紙
加工品も加え「手漉和紙と世界の紙」の専門店として現在に至る。

紙の温度発行「紙の見本帳」
「繊維判定用 和紙見本帳」第2版 宍倉佐敏 企画・編集 本体10,000円
「三宅賢三の竹紙見本帳」宍倉佐敏 企画・編集 本体9,000円

関連Web:https://www.kaminoondo.co.jp/

1 紙の温度の店舗入口外観
2 店内1・2F
3 店内風景
4 ヨーロッパ輸入紙コーナー
5 海外の見本市「ペーパーワールド」にて(右から2番目が花岡氏)
6 海外の見本市「ぺーパーワールド」風景(ドイツのフランクフルトにて)
7 『紙の温度が出会った世界の紙と日本の和紙』
紙の温度(株)著 グラフィック社 2022年11月 本体2,300円
「紙の温度」が出会った 世界の紙と日本の和紙セット
紙の温度(株)編 グラフィック社 2022年11月 本体1,500円

 

和紙研オンライン月例会の見学について

2月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは2月14日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
   https://sgfm.jp/f/65fc41e50f82cbf9a24f9d66b8a23a89
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年2月14日(火)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 2月14日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 1月オンライン例会
日 時:2022年1月21日(土) 13:30~15:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第4回」 宍倉佐敏 会員
14:40~15:40  「添加物と機械を使わない和紙の現代でのあり方」
ロギール・アウテンボーガルト会員(手漉き和紙作家・土佐の匠)
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください

宍倉ゼミ 『和紙原料に使う植物 第4回
「椿の研究 (Ⅱ) ー多くの和紙に使われている楮はどの様な和紙に適しているかー」』
                            宍倉佐敏 会員

楮の種類は多くあり地方に依って名称も異なり全国的に統一されていないので大変わかりにくい。
楮紙の産地を訪れその地方の特色を探ると、 越前は那須コウゾを十分洗滌して厚みのある「 奉書」を丁寧に漉き木版画用紙に多く使用されている。
薄くて縦横に強度の高い美濃の「書院紙」 と呼ばれる紙は、古来は地元産の津保草 (ツボクサ) と呼ばれる楮を原料にしていたが現在は那須コウゾで古文書などの重要文化財の修復用紙として欠かせない、土佐の極薄の「典具帖」は地元産のアカソと呼ばれる楮を原料にして貴金属や宝石、高級和菓子などの
包装紙に使われ、これらは殆どヒメコウゾ系の紙である。
東大寺二月堂の「お水取り」の際に僧侶達が着る「 紙衣」 は厚くて水に強いので長い繊維の楮が適し、提灯紙・傘・型紙原紙に使用される土佐でタオリと呼ばれる楮はカジノ木系のコウゾが使われている。
日本のコウゾの産地から樹皮を送付して頂き繊維化してその特徴を検討してみた、その結果からその地方の紙にはどの様な特色があるかなどを纏めて報告する。
【参加文献】
宍倉佐敏「楮の研究(二)」『和紙文化研究』9 号 〔2001年11月〕

会員発表                        
「添加物と機械を使わない和紙の現代でのあり方」

                   ロギール・アウテンボーガルト会員

私は1980年にオランダの製本工房で1枚の和紙に出会って以来、その自然な美しさを追及してきました。その美しさは製造工程での自然との深い関わりの中で生まれると、全国の工房を見学したことやこれまでの私自身の紙作りの経験から感じています。そのために、漂白剤や保存料などの添加物と機械を使わない作り方が、私の和紙作りの基本になっています。
また、原料を自家栽培することも、原料の安定的な確保や品質の管理というメリットに加えて、里山に工房を構えて自然に直接触れるという、私の紙作りの大切な要素になっています。もちろん、その分効率が悪くなり仕事も複雑になりますので、製作のスピードは遅くなりますし、結果として値段も高くなるというデメリットがあります。
しかし一方で、このような作り方が、自然素材が再評価されている現代では強みになっているという実感もあります。この価値を届けるためには、ネットを活用する・ワークショップをする・アートを発表する・哲学を深める、などの手法が欠かせません。また里山に迫る人口減少による人手不足の問題や、速度の速いビジネスの世界にどうやって自然相手の仕事を合わせるかなど、現代ならではの伝統製法の和紙作りのあり方をお伝えします。

1 「水」四万十川の源流を使って
2 「発信」「手漉き和紙の空」展 2022/11/23
3 「三椏の苗」コンパニオンプランツの研究
4 「蒸す」土佐の伝統的な道具と方法
5 「漉く」土佐の昔ながらの簀で

発表者プロフィール
ロギール アウテンボーガルト(Rogier Uitenboogaart)
1955年 オランダ・ハーグ市生まれ。現在高知県檮原在住の手漉き和紙作家・土佐の匠。宿泊とワークショップができる工房「和紙スタジオかみこや」にて、主に内装用紙、美術紙、アート作品を制作している。原料は自家栽培の楮と三椏に加え、オーガニックタオルのメーカーから仕入れたコットンも使う。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

1月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは1月17日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
https://sgfm.jp/f/abbdfb5b1568af4b7bd4fef1315adbc8

2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2023年1月17日(水)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 1月17日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 12月オンライン例会
日 時:2022年12月17日(土) 13:30~15:10
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ「和紙原料に使う植物 第3回」 宍倉佐敏 会員
14:40~15:10 「和紙の材料であるコウゾ属の分類のよる
渡来経路の解明の試み」本橋令子氏(静岡大学教授)
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※ プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第3回
「椿の研究 (Ⅰ) ー和紙原料で最も量が多く重要なコウゾー」
                            宍倉佐敏 会員

古い日本の田舎の風景画などに観られる、 畑の周りに植えられたクワやコウゾを見ると人々は心が安らぐ、 なぜこれらの植物は心安らぎ、そこに植えられているのだろうか?
実際のコウゾを詳しく観察すると枝葉の姿が異なる物や成長の仕方が違う物がある、 よく考えるとコウゾにはいくつかの種類があるのかもしれない、 これらの違いが在るなら何故なのか、 種類か? 生産地の差か? 紙の原料の他に何か使用目的があるのか?
楮の繊維は長いと言われるがどの位の長さで、種類によってどの様な違いがあるのか、紙にすると、どの様な特徴が生まれてくるのか、 楮は本当に強いのか等を検討します。(資料は和紙文化研究第五号)

招聘講師発表                        
「和紙の材料であるコウゾ属の分類のよる渡来経路の解明の試み」
                        静岡大学教授 本橋令子

古くから日本の紙の原材料としてクワ科コウゾ属が使用されることが多い。コウゾ属はカジノキ(B.papyr i fera)、ヒメコウゾ(B.kazinoki)、及びツルコウゾ(B.kaempfer i)の3 種と、ヒメコウゾとカジノキの交雑により生じた雑種コウゾ(B.kazinoki×B.papyr i fera)によって構成されているが、分類学的背景が非常に複雑で、現在も明確な区分わけがされていない。また、日本においてカジノキは外来種とされており、いつどのような経路を辿って日本に渡来したのか未だ解明されていない。日本全国のクワ科コウゾ属、クワ科クワ属、海外のコウゾ属の葉の標本について、母性遺伝する葉緑体ゲノムのPS-ID,Tand-2,Tand-3 領域、父親と母親それぞれから遺伝情報を反映する核ゲノムのTOPO6 領域の配列を決定し、コウゾ属の分類を行った。葉緑体ゲノムを用いた解析結果では、5 つのグループ型に分類することができ、Ⅰ型には日本本土のカジノキ、Ⅱ型には沖縄や奄美大島のカジノキ、Ⅲ,Ⅳ型にはヒメコウゾ、
雑種コウゾ、ツルコウゾ、Ⅴ型にはクワ科クワ属のヤマグワが分類された。日本には日本本土のカジノキ、沖縄のカジノキの2つの葉緑体ゲノム型(母親の祖先が異なる2つのグループ)が存在し、カジノキとそれ以外の種に分けることができた。

発表者プロフィール
本橋令子(MOTOHASHI Reiko)
所 属:静岡大学 学術院農学領域、分子育種研究室、教授・副学長
学 位:博士(農学)東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻
    論文名『 レトロトランスポゾンp-SINE1 の解析とイネ系統の分類への応用』
    平成 9 年 3 月東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻 博士
    後期課程 学位取得
職 歴:平成9年4月 理化学研究所ゲノム科学総合研究センター植物ゲノム機能情
           報研究グループ
    平成16年4月 静岡大学 農学部植物変異開発研究チーム 研究員 
専 門:葉緑体の機能解明 (植物分子遺伝学)

 

和紙研オンライン月例会の見学について

12月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは12月13日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
   https: //sgfm. jp/f/872b2df081aa5ddf39e791bf801dcc2a
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2022年12月13日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 12月13日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

 

◆ 11月オンライン例会
日 時:2022年11月19日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
招聘講師:
柴崎幸次氏(愛知県立芸術大学美術部デザイン・工芸科デザイン専攻教授)
大柳陽一氏(文溪堂工房)
神谷直希氏(愛知県立大学大学院情報科学研究科准教授)
吉里 友氏(愛知県立大学情報科学部)
周 業欣氏(愛知県立芸術大学大学院博士後期課程 美術専攻)

13:30~14:00
題名1「データサイエンスによる紙の道の解明―量的
・質的調査とAI多面的解析に基づいて―」
柴崎幸次氏・大柳陽一氏
14:00~14:30
題名2「民生品デジタルカメラを用いたパッチ分類による
紙の繊維推定の現状と課題」
神谷直希氏・吉里 友氏
14:30~14:40 休憩
14:40~15:40
代名3「中国における紙の文化史に関する研究とドキュメンタリー映像の制作
~製紙文化のデジタルアーカイブ、保護と存続に向けて~」
周 業欣氏
*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

要旨紹介

題 名1.
令和4年度より、愛知県立芸術大学では、科学研究費助成事業 基盤研究(A)「データサイエンスによる紙の道の解明―量的・質的調査とAI多面的解析に基づいて―」に取り組んでいます。
この研究は、現在も不明な点が多い“ 紙の道”(紙の伝播)の解明に焦点をあて、歴史の時系列の中でどのような紙の文化であったかを、データサイエンス領域と共同し、紙の文化に潜んだ真実を明らかにし、その多様性を解明する研究です。民生品のデジタルカメラによる多くのサンプル撮影とディープラーニングによる画像解析を活用し、非破壊で簡易に撮影できる画像を用いた紙質分析の飛躍的な向上を目指します。
また、様々な観察や計測、画像シミュレーションを用いた多面的解析システムによる観察を融合させ研究を進めます。
この報告では、研究概要、今後の研究計画、顕微鏡により構築する紙の解析システム、さらに紙の観察のための「標品」ポリシーについて報告します。

題 名2.
昨今の民生品のデジタルカメラでは、顕微鏡モードによるマクロ撮影が可能であり、レンズ先端から1cm の距離にある被写体に対し、光学ズームと併用することで顕微鏡写真のような拡大撮影が可能です。この機能に着目し紙を対象としたマクロ撮影による画像において、紙の繊維が観察可能なことを確認しました。ここではEfficientNet ベースの紙の繊維推定について、これまでのパッチベース(複数の小さい画像)分類による取り組みを紹介します。また、パッチベース分類からマクロ画像全体における繊維推定への展開や解析対象の拡大に向けた現状のアプローチとその課題について報告します。

題名3
紙の発祥地は中国であり、2000 年以上の歴史の中で、それぞれの時代の製紙文化の変遷があったと推測されるが、その手漉き紙の多様性は、現状では失われており、技術や文化的背景も学術的には未整理のままで、紙の組成や伝播については不明な点が多い。
また、中国においては急速に文化・経済ともにグローバリゼーションが浸
透する中、現代社会においてどのように伝統文化への関心を喚起し、その
独自性を守り、どのように継承していくかを考えることが、今後の文化遺
産の伝承への課題となっている。
本研究は中国伝統文化の保護と存続の問題に焦点をあて、これまで製紙文化の多様性と存続に携わった人々の活動に敬意を表しながら、ドキュメンタリー映像の制作と中国製紙文化のデジタルアーカイブを構築することである。過去の歴史と、現在の製紙に関する情報を結びつけ、映像、インフォグラフィック、デジタル技術により、製紙文化の再現? 評価? 保存を研究するシステムを築き上げる。具体的には、現地調査と文献調査に基づき、旧来の生産様式や道具などを調査、または推定し、紙のデジタルアーカイブ化を試みる。歴史的な事象の影響により失われてきた多くの伝統的な技術? 製法の歴史的空白部分を明らかにし、記録として残す手法を提案する。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

11月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは11月5日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
  https://sgfm.jp/f/27004e3d8497d6101f7ae5d98622f557
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2022年11月14日(月)まで
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 11月15日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

◆ 10月オンライン例会
日 時:2022年10月15日(土) 13:30~15:40
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30 宍倉ゼミ
14:40〜15:40 「すべて和紙を使った雑誌をつくって、おもしろかったこと、
驚いたこと、気づいたこと。」津田淳子氏(グラフィック社)
15:50     退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第2回
「雁皮の研究 ー和紙の製法・仮名文字・西洋印刷機に貢献した雁皮紙ー」
                           宍倉佐敏 会員

和紙は 「流し漉き法」 で地合いの良い綺麗な紙ができる。 楮や麻に水中でヌルヌルする雁皮繊維を混ぜると美しい紙になったことから、ヌルヌルする物質(ネリ剤)を加えてみると雁皮混合紙と同様な紙となることを知り、 今日の和紙製法が確立した。
漢字は字数が多く角があり書くのが難しい、 仮名文字は字数が少なく曲線が多いので書き易い。
雁皮紙は表面が平滑で強いので、柔らかい筆で筆走りが良いので、 紫式部や清少納言などの女流作家や旅に持ち運ぶ俳諧師などに好まれた。
西洋の印刷機が日本に移入された時 雁皮を中心とした紙が適していて「 聖書」などが印刷され海外に輸出された、 鳥の子紙や間似合い紙なども外国人に高い評価を受けた。
今回ゼミでは雁皮の基礎を学びます。

 

 

招聘講師発表                        
「すべて和紙を使った雑誌をつくって、おもしろかったこと、驚いたこと、気づいたこと。」
                       グラフィック社 津田淳子

2021 年6 月刊行の『デザインのひきだし43』では、「和紙のステキさ再発見」と題し、和紙の特集記事を掲載しました。
記事作成のリサーチとして和紙を漉いている/抄いている方々、和紙を販売している方々、和紙を使っている方々からお話を伺う中で感じたことや驚いたことがたくさんありました。
また和紙特集という内容にあわせ、表紙から本文まですべて和紙で雑誌自体を作成しまし、また和紙見本帳も作成し付録しましたが、その制作にはおもしろさと同時に、いくつものハードルもありました。表紙は本誌用にオリジナル和紙を抄いていただきましたが、そのすばらしさや読者からの反応なども大きいものがありました。
現在、本づくりの現場ではほぼ洋紙が使われており、その商習慣や印刷加工適正、納期などに慣れてしまっている者から見た、和紙を使った本づくりで感じたこと、気づいたこと、驚いたことなどを率直にお話しします。洋紙、和紙どちらがいい、という話ではなく、和紙と洋紙でのものづくりの違いをお話しします。

■ 発表者プロフィール
津田淳子(TSUDA Junko)
編集者・デザインのひきだし編集長。1974 年神奈川県生まれ。編集プロダクション、出版社を経て、2005 年にグラフィック社入社。2007 年『デザインのひきだし』を創刊する。デザイン、印刷、紙、加工に傾倒し、それらに関する書籍を日々編集中。

 

和紙研オンライン月例会の見学について

10月の見学は、下記2つの方法のいずれかで、専用〈申し込みフォーム〉からWeb申込みができます。(お手数をかけますが、これまでの方法では申込みができません)参加料金500円は同じですが、事前入金締切りは10月14日となりますのでご注意ください。

申込方法:
1、〈申し込みフォーム〉のURLを下記します。
  https://sgfm.jp/f/29792a9e29db56fbf61713a05f790294
2、QRコードから読み込めます。画像を添付します。

申込期間:2022年9月18日(土)~10月11日(火)
参加人数:40名まで(申込み順です)
見学詳細:配信URLなどは和紙研からご連絡いたします。もし、必要事項の 
     明記がない場合は、受付・配信はできません。
見学回数:5回まで(以後は会員登録が必要です)
見学料金:例会1回あたり500円 
料金支払:事前振込制 10月14日締切り
振込口座:郵便振替00140-0-568810 和紙文化研究会

 

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 9月オンライン例会
日 時:2022年9月17日(土) 13:30~15:00
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:00 「羊皮紙の基礎・特徴・用途」八木健治氏(羊皮紙工房)
15:10     退出

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

招聘講師発表
題 名 「羊皮紙の基礎・特徴・用途」    羊皮紙工房 八木健治

東洋で植物繊維から作る紙が生まれ、発展したのと並行して、中東や欧州では動物の皮から作る「羊皮紙」が使われてきました。今回の発表では、「基礎・特徴・用途」という3 つの視点から、羊皮紙について紹介します。
基礎編では、羊皮紙の製法を中心に概説。毛の生えた動物の皮が「紙」になる工程を見ていきましょう。
特徴編では、表裏差、線維、表面処理、品質などについて、数百年前の羊皮紙写本を適宜リアルタイムで拡大表示しながら解説します。用途編では、過去から現代まで、羊皮紙で作られたさまざまな作品を紹介し、今なお活用されている羊皮紙の世界をご覧いただきます。
また、和紙は羊皮紙写本の修復に欠かせないものとして世界中で使われています。和紙と羊皮紙のさらなるコラボを期待し、質疑応答で皆様からのご質問やご意見、ご提案を楽しみにしています。

■発表者プロフィール
八木健治
自宅の風呂場でひつじの毛を剥ぎ羊皮紙を作ることから出発し、現在は羊皮紙の販売、羊皮紙写本等の展示、および羊皮紙や写本に関する執筆・講演等を中心に活動。
『羊皮紙の世界』(岩波書店2022 年)
『羊皮紙のすべて』(青土社2021 年)
『図書館情報資源概論』(分担執筆、ミネルヴァ書房2018 年)
『モノとヒトの新史料学』(分担執筆、勉誠出版2016 年)をはじめ、羊皮紙や中世ヨーロッパの写本などに関する文章を多数執筆。西洋中世学会会員。羊皮紙専門サイト「羊皮紙工房」(https://www.youhishi.com)主宰。

見学希望の方は添付wordファイルをご確認ください。

→→→見学申込み(wordデータ)添付

 

■10月例会予告
次回の和紙文化研究会のオンライン月例会は10月15日(土)です。
この回は「デザインの引き出し」編集長 津田淳子氏(グラフィック社)招聘しています。
オンライン見学申込みにつきましては、試験的に新しい方法を用意していますので、見学希望の方はすべて(会員・会員以外の方々にかかわらず)、ネットでの申し込みとさせていただきます。
用意ができましたら、ここでお知らせいたしますのでよろしくお願いいたします。

 

Zoomで配信 和紙研オンライン月例会・見学のご案内

◆ 7月オンライン例会
日 時:2022年7月16日(土) 13:30~15:30
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~14:30  宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第1回
「三椏の研究」        宍倉佐敏 会員
14:40~15:40 「絵因果経の料紙」      増田勝彦 副会長

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

 

宍倉ゼミ 和紙原料に使う植物 第1回 「三椏の研究」
                                                                        宍倉佐敏 会員

近年は繁殖している三椏を見ることが少なくなったが、かつては正月を過ぎると人工栽培や自然に生えた三椏の黄色いかわいい花を山間や近在でも見ることができた。
三椏は楮や雁皮に比べ和紙に使用されたのは遅いといわれるが、三椏はいつ頃から和紙用に、どこで栽培されていたのか、外来種と言われるがどこの国から伝来したのか、三椏の繊維は和紙原料としてどのような特徴を持ち、明治時代に紙幣に使われたいきさつなどを考察し、三椏紙の発展の様子を研究しましょう。

 

「絵因果経の料紙」    
                                    増田勝彦 副会長

一人の和紙愛好家として、観察と推測を重ねて、奈良時代の紙漉き工人に考えをめぐらせました。
1.滲みから料紙を読む
2.奈良時代の麻紙- 絵因果経
3.墨の滲みが物語る奈良時代の紙漉工人
奈良時代の絵画遺品として有名な蓮台寺本過去現在絵因果経ですが、美術書に掲載されている奈良国立博物館所蔵分では、薄墨で描かれている樹木、岩、土坡の線に奇妙な滲みが見られます。
奇妙な滲み方から紙の製造方法、仕上げ方法までを推測しようとしました。
墨の滲み方については、本会会員である日野氏の発表があって、推測を重ねるヒントになりましたし、以前に試作した麻紙も、滲みの実験に役に立ちました。
そうした推測と実験を重ねたところ、納入期限までに時間が少なく念入りな仕事をしたくても出来ない状況だった紙漉き工人の様子まで想像した経緯をお話ししようとおもいます。

 

 

「絵因果経」関連HP
https://www.narahaku.go.jp/collection/757-0.html 
(奈良国立博物館収蔵品データベース)
https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100051&content_part_id=0&content_pict_id=0
(e國寶 国立文化財機構所蔵国宝・重要文化財)

 

 

 

Zoomで配信 オンライン月例会・見学のご案内

◆ 6月オンライン例会
日 時:2022年6月18日(土) 13:30~15:30
会 場:Zoomによるオンライン配信のみ
13:30~15:30 宮内庁書陵部の保存・修補について 第3回
吉野敏武会員 三浦修子会員

*13:00からZoomの会議室への接続ができます。
※プログラムや機材の関係で、時間が変わる可能性があります。予めご了承ください。

連続3回シリーズ「和紙宮内庁書陵部の保存・修補について」第二回
                      吉野敏武・三浦修子 会員

このシリーズでは、宮内庁書陵部及び蔵書史料の閲覧・出納業務や、書庫内での保存管理と閲覧停止本の調査などのほか、修補係の史料修補の道具や修補方法を説明することにしています。和紙研には書稜部関係者が3名おり、各業務を担当していた者がそれぞれお話しすることにします。
出納係という資料の管理部分は、元出納係書庫担当の櫛笥節男氏にご説明をいただき、修補係という修補部分に関しては元修補師長の吉野敏武が話した上で、現在修補係員で修補をしている三浦修子氏が簡単な虫損直し方法をお見せすることなど、3回に分けて紹介します。
第3回目の今回は、書陵部の保存利用業務を中心に紹介予定です。