月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、9月17日(木)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

FAX 申し込み書<Wordファイルです>

今月の月例会  
日 時:9月19日(土)13:30?17:00 
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
   13:00~13:30 フリートーク
   13:30~14:45 報告「飯能紙再生プロジェクトと
                       出ヶ原紙再生計画始動に当たって(仮)」
                     (下記参照)
   14:45~15:00 休憩
   15:00~16:40 会員発表 「関義城とその業績」(下記参照)  
   16:40~17:00 事務連絡・片付け・退出 

会員発表                   PC・プロジェクター使用

題  名 「関義城とその業績」             辻本直彦 会員
長く製紙業に従事し、古今東西の多種多様な紙の収集家であり、紙研究の草分けの一人でもあった関義城氏。そのコレクションは、現在では製造されていない貴重な和紙・洋紙、染紙や千代紙、ちりめん紙などの加工紙、古文書や記録、紙漉き図などの浮世絵、広告、商標や、和書・洋書、見本帳、製紙機械のカタログや図面、製紙原料まで多岐に渡ります。これらを見本帖として、多数の見本紙を添付した出版物を自費出版され、また、日本、中国の紙に関する文献を網羅した貴重な文献集も出版されています。これらの出版物を中心にお話します。
※当日の参考資料「百万塔143号 関義城コレクション展記念特別号」

①紙の博物館企画展『関義城コレクション』(平成24年9月)1 関コレ

②関義城 著作集
2 著作集

③The Handmade Papers of Japan
3 the handmade papers of Japan

④関義城肖像写真とThe Handmade Papers of Japan
4 肖像写真

⑤繊維分析写真
5 繊維分析写真

⑥『古今和紙譜』の見本紙
6 古今和紙紙譜の見本紙

⑦光明皇后が書写させた「四分律」の一部が『古紙之鑑』に貼付
7 光明皇后が書写させた「四分律」の一部が『古紙之鑑』に貼付 調整

【講師プロフィール】
公益財団法人 紙の博物館 学芸部長 1973年京都大学大学院農学研究科終了後、王子製紙株式会社(現在王子ホールディングス株式会社)入社。研究開発業務で25年間研究所勤務。米国ウィスコンシン州「紙化学研究所」、およびニューヨーク州立シラキュース大学「ESPRI研究所」へ会社派遣留学。2006年から紙の博物館勤務。2009年11月の企画展示「手漉き和紙の今」では皇后陛下の御行啓を賜り御説明係を担当。紙の博物館は企業系博物館として我国でその歴史は古く、今年で創立65周年を迎える。

 

 
報告
「飯能紙再生プロジェクトと出ヶ原紙再生計画始動に当たって」 滝澤徹也氏   
PC・プロジェクター使用
この度8月16日(日)~8月30日(日)の間、埼玉県飯能市において、かつて武蔵国有数の紙生産を誇りながら、忘れられた飯能の製紙と現在の飯能在住の紙漉きや造形作家を繋げた、展覧会「飯能の紙」を開催いたしました。この報告では展示した古文書や作品の記録から、飯能の紙の状況について、また、今後の飯能の紙についての取り組みについて紹介いたします。また西会津の地で始動する会津藩御用紙「出ヶ原紙」の再生プロジェクトについても少し紹介できればと思います。

飯能紙再生プロジェクト (飯能の紙展の報告)
飯能の村々は、江戸前期の武蔵田園簿によれば、武蔵国有数の紙産地であったとされています。また716年の高句麗人の高麗郡移住による技術の流入や774年の正倉院文書に武蔵国の紙生産の初めての記録があることと重ね合わせると、武蔵国の手漉紙の根源や、展開にとって重要な地域である可能性があります。
この展覧会では歴史的な資料展示から、前述の歴史性を裏付けたいと考え、文書を探し展示いたしました。その文書類は正倉院文書の写真を始め、延喜式の武蔵国の中、男作物としての紙の記述(享保8年公刊)、慶長2年(1597)に行われ、徳川家により行われた最初の検地の際に作られた、「武州高麗之郡下吾野郷御地詰帳」(大野家文書 飯能市郷土館所蔵)に見られる楮生産の記録など、江戸から明治にいたる紙の生産記録文書、第2次大戦中のトロロアオイ生産の記録などになります。
その他、この地域は江戸時代「うりはかえで」(瓜木)の生産地であったといわれます。「うりはかえで」は殺菌力があるとされ、幕府で使われた楊枝などの原木とも言われますが、皮は「ねり」としても使うことができるものです。これに関する文書も展示いたしました。
また、現在の飯能の紙漉きとして、かつて盛んに紙生産を行っていた記録がある飯能市原市場地区に在住する紙漉きや造形作家、浅岡優索・加茂孝子・藤浪佳子・柳井嗣雄の4人を紹介しました。そして、会期中には吾野の紙のスタートとして、飯能の楮で紙を漉く「飯能紙 再生体験ツアー」も行いました。この報告も行いたいと思います。
〈展覧会及び展示資料「紙舟役・川運上・綿紬紙売出改帳 文政7年(1824)」
「武州高麗之郡下吾野郷御地詰帳 慶長2年(1597)」は8月の和紙研HP参照〉

(仮称) 出ヶ原プロジェクト (出ヶ原紙再生計画)
かつて会津藩御用紙であり、今の福島県西会津町の出ヶ原の集落で作られていた出ヶ原紙。この度、これを調査し、出ヶ原の集落で、復元を地域住民らとともに行い、過程を現代アートとして提示、また新たな紙工房にて、地域の産物を作るプロジェクトが始動します。

① 展示1
1 展示1

② 展示2
2 展示2

③ 展示3
3 展示3

④ 飯能紙再生体験ツアー 紙漉き場全景
4 体験 紙漉場全景

⑤ 飯能紙再生体験ツアー ちりより
5 体験 ちりより

⑥ 飯能紙再生体験ツアー 叩く
6 体験 叩く

⑦ 飯能紙再生体験ツアー 紙漉
7 紙漉き

⑧ 飯能紙再生体験ツアー 板干し
8 体験 紙干し

【講師プロフィール】 紙との関わりについて
東京造形大学絵画専攻 5年間にわたる小川和紙技術継承者育成事業で小川和紙の基本的な技術を修得後、小川和紙の生産や体験学習、一方、東京都無形文化財軍道紙(東京都あきる野市)の生産に携わる。これまで、埼玉伝統工芸会館20周年にあたり、小川和紙資文書の調査及び展示、小川和紙年表の作成、図録制作。また現代美術作品として、昨年の青森市ねぶた祭りの大型ねぶた数台に使われていた紙を再生したり、インドの手漉き紙の調査とあわせ、バラナシ市を流れるガンジス川の中でインドの素材で紙を造り、岩手県東和町における取り壊しの建物に在った古文書を再生するなどいくつかの側面から活動している。

小津和紙ご案内200