9月2016

産地交流

「北信濃内山和紙のふるさとを訪ねて」 内山和紙の今昔 4 

 今回は近代の紙漉きに貢献をした方を顕彰する「山田作左エ門旌徳碑」と、内山和紙の生産地を歴史に合わせてみていきます。時代と共に移り変わる地域を垣間みて下さい。

山田作左エ門旌徳碑

所在地 木島平村内柳久保地区国道403号北側
立 碑 明治27年1月
撰 文 綿貫香雲

1 碑全体Exif_JPEG_PICTURE
2 碑陽Exif_JPEG_PICTURE
3 碑陰Exif_JPEG_PICTURE
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 地面から台座を含め4段になり、1m20cm程上に碑石があり、この碑の重要性がわかります。碑陽は額が楷書で横書き「旌德碑」とあり、碑文も楷書で1行16字全8行、寸法が縦1m21cm×59.5cm。碑陰は上から3段が1列13人、4段目に8人、5段目に7人の名前が刻され、4、5段を通して左側に「三百人門弟中」とあり、最後に石工の名が刻されています。恐らく世話になった三百人の中から代表して五十余名の名を刻んだということでしょう。
 『石碑の香り』(昭和59年 木島村教育委員会刊行)には、この碑石が紹介され、略伝として、事業家であった山田作左エ門氏が産業開発に貢献されましたが、特に製紙法の改良に尽力され、近郷に名声が広がり、この顕彰碑が建てられるに至ったとあります。また、平成26年No.172号の「広報きじま平」にも「村の宝」として取上げられており、ここでは「信濃紙」を内山和紙のことと説明しています。

 

1 地図① 長野県北部‘S‘E’·–ì’n}
2 地図② 木島平村ƒvƒŠƒ“ƒg

 内山紙の歴史では、その起源の有力な説として、江戸時代の寛文元年(1661年)に信濃国高井郡内山村(現在の木島平村内山)の萩原喜右ヱ門が美濃の紙漉法を習得、帰郷して内山で漉いたといわれています。(地図② 内山地区参照)
 また、内山和紙協同組合によれば、江戸時代の宝永3年(1706年)の「信濃国高井郡・水内郡郷村高帳」に「紙漉運上銀二十五匁七分一原」という記載があるということから江戸中期には紙製造が徴税対象とされたことがうかがえるということです。その二つの地域は地図①を参照。
 そして、近代に入り技術の改良や動力も導入され、明治42年には製造1130戸、販売175戸、原料供給1354戸及び、明治44年には1町12ヶ村1,156戸で長野製紙同業組合が設立され、昭和16年には下高井郡と下水内郡667戸で高水和紙工業組合設立されたということです。その地域は、地図①を参照。
 戦後再編を繰り返し、平成15年名称を「内山紙協同組合」(所在:飯山市)に変え今日に至っています。(平成24年組合員7名)そして、木島平村でも昭和45年に絶えてしまったものを、昭和62年に内山紙の復興、そして、保存・伝承を目的に「内山手すき和紙体験の家」が創設され、現在に至っています。
 和紙研でも平成20年2月の研修旅行「長野県飯山市瑞穂・木島平内山和紙の里を訪ねる」でお邪魔したことがありました。

http://www.uchiyama-gami.jp/history.html
http://kamisukiya.com

◆会員情報

和紙作品展 「和紙、つくる、つかう、たのしむ」    北村春香会員 関係

私たちの紙作り―あきる野市旧五日布地区の自然水と自生楮(コウゾ)を使って紙漉きを始めました。活動のようすをパネルにしましたので作品と合わせてご覧くだきい。

日 期:2016年9月20(火)-25(日)11時-17時(最終日16時)
会 場:茶房ギャラリー土龍(どごめ)
    東京都あきる野市上代継416  TeI.042-559-9932
アクセス:タクシ-でJR秋川駅南口から約6分
     車で圏央道あきる野ICから約4分
          徒歩でJR秋川駅から約30分
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◆会員情報

展覧会
ESTUARY ARTS CENTERE「Fukuoka Day・福岡デイ ギャラリー展 」
                         青木真奈美 会員関係
会 期:2016年9月24日(土)~25日(日)10:00~16:00
会 場:PO Box 480 214B Hibiscus Coast Highway,Orewa New Zealand
電 話:09 4265570
http://www.estuaryarts.org/
お問い合わせ先:aklart2016@gmail.com
※Orewaというビーチのあるリゾート地のギャラリーです

 9/3(土)にニュージーランドで開催した、福岡市とオークランド市の姉妹都市提携30周年を記念したイベントFukuoka Dayに参加した日本人アーティスト作品のギャラリー展示です。
 今回、和紙造形作家 青木会員が、流し漉きの手法で作成した造形作品(和紙)で参加します。
・何点かの作品の販売も行います。

青木2写真

◆和紙情報

「森を漉く」ワークショップ       
日 程:2016年9月22日 (木・祝) 10時?16時
集 合:西会津国際芸術村
会 場: 西会津町奥川地区 寺清水広場(塩集落周辺)
参加費:無料
定 員: 10名
お問い合わせ: 0241-47-3200 西会津国際芸術村 担当:楢崎
morinohakobune.nishiaizu@gmail.com
www.morinohakobune.jp/
※ ぬれても良い服でお越しください!

☆スケジュール
10:00 西会津国際芸術村集合、広場に移動
10:15~ 体験説明、加工方法の実演説明動
10:45~ 森の中を散策、材料探し
11:20~ 材料加工
12:00~ 昼食休憩(各自でご用意ください)
13:00~ 紙漉き開始
14:30~ 休憩、圧搾
15:00~ 紙干し 
16:00~ 現地または芸術村で解散

<主催>
福島県|森のはこ舟アートプロジェクト実行委員会
実行委員会事務局:NPOふくしまアートネットワーク
<共催>東京都/アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) <協賛>日本たばこ産業株式会社 <協力>心の復興推進コンソーシアム
<助成>文化庁

パンフ

予告 和紙文化研究会月例会300回記念 

和紙文化研究会月例会300回記念 
谷野裕子会員・文教大学国際学部黛ゼミナール&NPO法人Bali Biodiversitas合同発表
「インドネシアバリ島での国際協力活動:
      紙すき活動で村に小産業を育てる ―細川紙の技術を学ぶ― 」 

 和紙研の月例会が300回を迎えるにあたり、国際的なテーマで日頃とは違ったアングルで紙・和紙を考えてみます。是非ご期待下さい。
例会日時:10月15日(土)13時30分~17時(開場13時)
     合同発表 14時50分頃から100分(予定) 
例会会場:小津和紙本社ビル 6階 (9月の月例会見学希望の方々へを参照)
          〒103-0023 東京都中央区日本橋3-6-2 TEL 03-3662-1184
発 表 者:谷野裕子会員
     文教大学国際学部黛ゼミナール:
          黛 陽子先生・矢川優希さん・佐藤麻耶さん(紙漉班)

 文教大学国際学科の黛ゼミではインタープリテーションをテーマに学習を進めています。その一環としてインドネシアバリ島バンリ県にあるバヌアという450人の小さな村で、脱貧困を目指す新たな産業を作り出す国際協力に取組んでいます。環境保全をしながら産業化を図るために様々な生産物を対象とする中で、3年前から「紙すきプロジェクト」を立ち上げました。
 その技術指導に当っているのが、和紙研の会員で細川紙技術保持者で埼玉伝統工芸士の谷野裕子会員(手漉き和紙たにの)です。現地は“紙ゼロ”地域、技術はもとより、原材料・道具など手探り状況からスタートでした。
 このプロジェクトのもつ意味、そして、この成果がもたらすものに、日本国内の和紙や国際的な紙の広がり等があるのかもしれません。

以下、現地の紙漉き風景を少し紹介します。

1 紙の原料、自生する植物ドラセナ1 (2)
2 収穫後のドラセナ2 (1)

 

3 漉き舟3 (1)
4 漉く4 (1)
5 乾燥(村で貴重なガラス窓で干す)

5 (1)