1月2013

第20回和紙文化講演会「和紙に美と技を求めて━加飾紙の世界━」報告

20回和紙文化講演会「和紙に美と技を求めて━加飾紙の世界━」

盛会裡に終了

 

20121125日(日)昭和女子大学にて第20回和紙文化講演会はお蔭を持ちまして無事終了しました。入場者373名と多くの方々に参加いただき今回の講演会への興味の高さを感じております。

今回は加飾紙の歴史的流れを村上翠亭講師が紹介解説の後、石川満夫講師が江戸時代の越前工芸和紙を解説し、それを受けビデオ映像を使いながら岩野平三郎講師が技術的な部分を中心に対話式講演、その次に小室久講師・並木秀俊講師による講演と実演のライブ中継も評判で、時折会場が盛り上がり、実際みるより細部が見えたとの声もあり、内容はもちろんのこと5者それぞれバラエティーに富んだ進行でした。参加者の方々には充実した一日を味わっていただけたことと思います。

また、講師の方々のご厚意でエントランスホールの展示品も村上先生の平安時代の古筆5点・江戸時代古筆1点、紙の文化博物館所蔵の江戸時代越前美術工芸紙16点、岩野平三郎製紙所製造の紙9点、小室かな料紙工房製造のかな料紙と版木各種、並木氏製造截金作品・截金用道具・平家納経複製など(他に和紙研会員の作品)直接観覧することができ(展示品一覧参照)、一時は会場が満杯となり皆さんの眼は展示品に釘付けとなりました。

後援していただいた毎日新聞社から今回のことが1129日夕刊東京版及び関東地区や滋賀版の「書の世界」に「受け継がれる美と技 和紙文化研究講演会」として掲載されました。

 

会場風景(画像をクリックすると拡大画像を表示できます)

会員情報

「手漉き和紙&紙の新表現」

和紙に生かされ、生かすアーチストが独自のスタイルを表現する展覧会。和紙研会員の水木喜美男(グラフィックデザイン)・湯川浩秀(襖表装)・新井悦美(紙漉)と小津和紙の今井香子さん(書道)が繰り広げる和紙創造の世界。和紙の可能性をそれぞれの分野から追い求める展覧会。是非お誘い合わせの上お出かけ下さい。

会期:2013年1月30日(水)〜2月3日(日) 900170030日は1300〜、3日は〜1500

会場:川越市立美術館市民ギャラリー  埼玉県川越市郭町2ー30ー1

(詳細は以下パンフ参照)

 

12112_3647697010087_1394749325_n

 

 

月例会見学ご希望の方々へ

見学希望の方は、1月16日(水)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03−5685−7780)でお申し込み下さい。見学詳細をこちらからご連絡いたします。なお、当日見学代として2,000円ご用意下さい。

また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。

 

1月の月例会のお知らせ

日時:2013年1月19日(土)

会場:小津和紙6F(「小津和紙ご案内」参照)

13:30~14:30 原典購読『造紙説』 美濃図版部分

14:30~14:45 休憩

14:45~16:30 会員発表(下記)

16:30~17:00 事務連絡・片付け・退出

小津和紙ご案内<PDFファイルです>

会員発表

題名「復刻:観世紙縒りの長門編み」  谷野 裕子 会員

細川紙を用い、100年間途絶えていた長門編みの技法を文楽の胴掛け(三味線の胴にかぶせるもの)を通して復刻。その道のりと長門編みの研究を通して出会った素敵な小物達を紹介します。また、先人の技術の素晴らしさを色々な画像を用意してお伝えできればと考えています。

(画像をクリックすると拡大画像を表示できます)

 

一端途切れた伝統技術の復活は非常に困難である。谷野さんが精力を傾けるこの技法は、谷野さん自身が漉いた細川紙から紙縒り①を作り、色々な文様を入れて編み上げ②、漆で仕上げます。写真A・③の「胴掛け」は人間国宝の室瀬和美氏が漆を施したものです。15年程かかけ合計10個を制作して文楽の皆さん方に納品し終えたのが2〜3年前のことで、現在谷野さんの手元に残っているのは初期のものだそうです。

長門編みはかつて煙草入れやキセル入れ、馬上杯③や器等にも活かされていた技法です。なかなかおしゃれなもので、現在はその技法を絶やさぬために、印鑑入れなど普段使いのものに活用しています。

また一つ和紙の世界を発見。ご期待下さい。

FAX 申込書<PDFファイルです>

 

発表会員紹介        

  

谷野 裕子(Hiroko Tanino)  紙漉匠 埼玉県出身(ときがわ町在住)

埼玉県伝統工芸士

現在、埼玉伝統工芸会館和紙工房長、工房「手漉き和紙たにの」代表。

略歴と活動

平成4年頃から独学で紙に関わることの学習を始める

平成7年4月〜平成12年3月 小川和紙継承者育成事業研修生

平成9年7月〜 細川紙(国重要無形文化財)伝承者として細川紙技術者協会に所属

             この頃から「観世紙縒りの長門編み」復刻・伝承に取り組む

平成11年3月〜 「手漉き和紙たにの」工房開く

平成20年6月〜 埼玉伝統工芸会館和紙工房 現在和紙工房長

平成22年4月〜 埼玉県立大宮光陵高等学校書道科 非常勤講師

平成22年11月 埼玉県伝統工芸士認定

平成24年11月 彩の国優秀技能者賞授賞

その他の活動    

県内外での学校や博物館、生涯学習関係、いきがい大学等々での紙漉きの実践指導と座学