月例会見学ご希望の方々へ
見学希望の方は、2月18日(水)まで「添付申し込み書」に必要事項を記入の上、事務局へ月例会担当の日野宛にFAX(03-3759-7103)でお申し込み下さい。見学詳細こちらからご連絡いたしますので、必ずご連絡先を明記して下さい。もし明記がない場合は受付できません。なお、当日見学代として1,000円ご用意下さい。また、見学者が多い場合はお断りすることもありますので、お早めにお申し込み下さい。
月例会
日 時: 2月21日(土)13:30~17:00
会 場:小津和紙本社ビル 6階会議室
13:00~13:30 フリートーク
13:30~14:15 日常の和紙6「図書館資料を和紙でなおす~東京都立中央図書館で行っている資料の修復~」(下記参照)
14:15~14:30 休憩
14:30~16:20 会員発表「拓本から見る漢代の造紙図」(下記参照)
16:20~16:30 休憩
16:30~17:00 和紙文化in越前アンケート結果報告・
事務連絡・片付け・退出
会員発表
「拓本から見る漢代の造紙図」 日野楠雄 会員
PC・プロジェクター使用
紙の起源は今のところ考古学資料によれば中国前漢時代まで遡っている。長いの歴史を持ち、広大で、多くの人がいる中国という国は、未知なることが多く、いつどこで何が発見されるかわからない。どこまで遡るか新たな発見に期待するのは私だけではないと思う。
12月のある研究会で私の書の先生が一冊の本を取り出し「後漢の造紙図があったよ」と画像石の拓本画像を示された。まさか「天工開物」以前のものがあるのかと思ったが、確かにそうであった。そこで、「三椏と墨色」のテーマを変更して、私のもう一つの研究テーマである拓本が関わっているので、この造紙図について発表することにした。
この図は原材料~乾燥まで一通りの工程が描かれており、非常に興味深いが、解説を見て行くと特に原料・ネリ・漉きの3つに様々な考えが浮かび上がってきた。この点は私の手におえない所もあり、会員の皆さんにご意見をいただきながら検討したいと考えている。
後漢中期は祭倫の技術改良、そして「紙」という字を考える時必須の字書である許慎の「説文解字」が成った時代である。素材のこともあるが、あらためて、「紙」「帋」「絮」「苫」など「説文解字」関係の紙に関する文字の解釈も見直してみたい。
また、漢時代以降消滅していく「画像石」「画像甎」文化は、造紙図の信憑性とも関わってくるため、造紙とは関係ないが私が所有または山東省済南市で採拓した原物拓本資料を紹介しながら、その歴史的意義を考察したいと思う。
赤い「紙料撹拌図」
【講師プロフィール】 日野楠雄(Nanyu HINO)
1961年山形県生まれ 松窗印会会員 専門は文房四宝(筆墨硯紙)・拓本研究 学生時代より書体字典の編集制作に関わり、長らく書道専門出版社で企画・編集・販売に携わり、現在(有)東京文物(日本拓本社)企画制作部勤務。和紙研では月例会・HP・産地交流担当、「和紙における墨色の変化」及び「和紙の拓本利用」をテーマとして活動。
当日紹介する画像石拓本の色々
神仙世界を表す図(左は兎と蟾蜍、右は八咫烏と狐)
右上に永和4年(AD140)の銘があるもの
日常の和紙6
「図書館資料を和紙でなおす」
~東京都立中央図書館で行っている資料の修復~
東京都立中央図書館 資料修復専門員 佐々木紫乃 会員
東京都港区西麻布にある東京都立中央図書館は、1973(昭和48)年、都立日比谷図書館の蔵書を引き継いで開館しました。蔵書数は国内の公立図書館では最大級の188万冊(平成26年3月31日現在)で、国指定重要文化財から新刊書、雑誌、新聞など様々な資料を所蔵しています。また、前身の東京市立日比谷図書館開館(明治41年)以来、資料修復専門の部署(資料保全室)を有する図書館でもあります。
資料保全室では、資料の利用を保証するために「防ぐ」「点検する」「取り換える」「捨てる」「治す」という5つの方策で「利用のための資料保存」を行っています。今回の発表では、これら5つの方策のうち「治す」という処置、特に和紙を使った補修について紹介します。江戸時代の和装本や明治から平成までの図書・雑誌・地図等様々な資料の補修に和紙を使用しています。時間があれば日頃行っている「治す」以外の取り組みも合わせてお話しできたらと思います。
<東京都立中央図書館 資料保全のページ>
http://www.library.metro.tokyo.jp/about_us/syusyu_hozon/siryou_hozon/tabid/2104/Default.aspx
東京都立中央図書館概観、資料保全室
2015年2月2日 | トピック:例会